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by ruhiginoue

吹奏中は爆弾が落ちても動いては駄目

 真珠湾攻撃の時ちょうど米軍楽隊は国歌吹奏中だったが、途中でやめては国の権威に対する冒涜となるので、日本軍機の猛爆撃の中テンポを早め急いで演奏し終えてから大慌てで逃げ出した。
 これは映画『トラ!トラ!トラ!』にある場面だが、笑いをとるために作った場面かと思ったら本当にあったことだった。もちろん見ていて滑稽で、軍隊の特殊性への皮肉も感じる。
 さて、ニューヨークのヤンキー・スタジアムで大リーグ観戦していた男性が、愛国歌「ゴッド・ブレス・アメリカ」の演奏中にトイレに行こうと席を離れようとしたところ警官に制止され、従わなかったため退場させられた。これは市民権の侵害に当たるとして、マンハッタンの連邦地裁に訴えを起こしたそうだ。
 男性の言い分は「愛国的な行動を強制することは、米国の建国の精神である自由の価値をおとしめることにつながる」。
 ニューヨーク市警は「男性が座席の上に立って悪態をつくなどし、酒の臭いもしたため、周囲の迷惑を考慮して球場外に連れ出した」。
 事実上、警察は男性側の主張を否定はせず、強制の意図からではなく迷惑行為に及んだからだと言う。これがほんとうかどうかは不明で、ここが後に裁判で争われるのだろう。
 ただ、そのように警察が抗弁したということは、アメリカは少なくとも「非国民をつまみ出して何が悪い」と言えば簡単に済む国ではないということであり、また、もし警察が嘘をついていたら、そのこと自体は大問題だが、しかし同時に、権力が市民の自由を侵害したと認めるよりは嘘をついたほうがまだマシだということでもある。
 つまり、愛国的行為も強要されたら従わない自由があり、それを認める国だから愛せるというのが、アメリカの建前ということだ。それだけの度量が実際にある社会なら、それは確かに立派なことだ。


 ヤンキースタジアム「退場」の男性、市民権侵害と提訴 | Excite エキサイト
by ruhiginoue | 2009-04-16 17:51 | 国際