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by ruhiginoue

足利事件の菅家氏が再審

 足利事件で再審の菅家利和氏は大学で講演したさい、警察の取り調べで虚偽の自白をした状況について「朝から晩まで『お前が犯人だ』の繰り返し。このやろうと思ったが、密室で周りは警察官ですから言えない。どうでもいいと思い自白した」と話したそうだ。
 この話から、「警察は真面目にやらないでケシカラン」とか、「だから取り調べの可視化をしなければ」と誰でも思うはずだ。それでも可視化しなくていいと言っていた麻生前総理のような人もいたが、そんな人が総理をしているから、制度そのものが間違っていて当然だ。もちろん現場の警察にも問題はあるが、それ以前に司法制度が悪いのだ。
 そもそも警察が暴力的な取り調べに及ぶのは、それが「やった者勝ち」「やり得」となるためだ。つまり裁判で通用してしまうからだ。事件を早く解決しなければならないが証拠がなくて焦っているところへ、自白さえあればその内容が多少おかしくても裁判で有罪にできるのならば、いけないと思っている警官ですら、ついやってしまうはずだ。
 この問題については前にも指摘したが、東京の弁護士三会が、法曹先進国の北欧でも特に進んでいるデンマーク(日本と違って貧困の度合いも低いそうだ)の司法制度を調べ発表していて、デンマークでは警察の取り調べ調書がそのまま裁判で証拠採用されることはなく、法廷での尋問でないと証拠とならない。
 取り調べ調書は、法廷で尋問する予備の資料として位置づけられ、その内容を法廷で確認したうえ、警察の作った調書と法廷での尋問証言と一致すればよいが、食い違っていたら「それはなぜか」「他の証人や物的証拠と照らしてどうか」などを裁判官と陪審員の前でやりとりされたうえで判断されるのである。
 だから、警察も調書を作ってから、それに被疑者の署名を求めはしない。あっても意味が無いから当然だ。もちろん、取り調べには必ず弁護士が立ち会わなければならない。ここで弁護士は警官の尋問を途中で邪魔してはいけない。よほど非常識な問いつめ方があれば別で、そこで抗議するのが弁護士の仕事だ。そして終わってから、確認とか訂正を求めるのも仕事だ。
 これなら、公正だし間違いはかなり防止できるはずである。
 ところが日本では、密室で複数の警官に取り囲まれ弁護士も立ち会わないまま作られた調書がそのまま裁判で採用されてしまう。これだけで「日本は先進国か」と諸外国から驚かれる。日本の司法は中国と北朝鮮とともにワーストスリーだとアメリカなどから言われる始末で、だからこれを口実にアメリカは、米兵が日本で犯罪をしても、日本の司法は信用できないから引き渡せないという。
 そして日本の刑事裁判では今なお自白が証拠の王様で、裁判官の多くは自白調書さえ有れば、他に証言や物的証拠が無くても、あるいは、有るがつじつまが合わなくても、また調書内容自体に矛盾が存在しても、「自白調書には高度の信用性がある」「調書に間違いはあるが主要な部分は真実と認められる」という決まり文句で有罪にする。この決まり文句、今はパソコンに登録され、昔はハンコになっていたとまで言われている。
 こんな調子の裁判だから、当然に警察は自白調書さえ作ればいいと考えてしまい、「自白すれば釈放してやるがそれまで帰さない」という「人質司法」となり、もちろん誘導とか拷問もする。例の「踏み字」も同じ構造によるものだ。
 また、なにも訊かず勝手に作った調書に無理矢理サインさせることもあるし、どう脅しても署名しなければ数人で押さえつけて力ずくで拇印を押させることもある。これに対して指を食いちぎって抵抗したおかげで難を逃れ無罪となった人までいる。
 つまり、警察の取り調べに問題がおきるのは、そもそも裁判制度に欠陥があるため不正のやり得となってしまっているからだ。まともな裁判になるよう制度を改め、せめて弁護士の立ち会い無く作られた調書をそのまま証拠採用してはならないという規定にすれば、自白強要事件も冤罪も大きく減少するはずだし、取り調べ室の録画と録音など無用ともいえる。
 では、なんで改善されないのか。それは、日本には真実を軽視する体質があるからだと言われて久しい。つまり、権力の側にいる人は体面を重視し、国民大衆は権力に丸投げして盲信したがり、それらが相互作用しあっているのだ。
 
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by ruhiginoue | 2009-10-20 22:02 | 司法 | Comments(0)