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by ruhiginoue

水戸黄門は左翼だったから面白かった

 大人気シリーズだった『水戸黄門』も、かなり振るわなくなったそうで、視聴率の長期にわたる低下とともに、新しく依頼した出演者に断られるなどしているそうだ。
 かつてアメリカで、日本の国民的人気番組だからと『水戸黄門』を放送してみたらブーイングだった。『七人の侍』は素晴らしいが、『水戸黄門』は馬鹿げていると言われたのは、民衆が自らの尊厳のため立ち上がり戦うのは共感するが、民衆が権力者に助けてもらって土下座して感謝し目出度し、なんてふざけているということだ。
 しかし、それでも最初のころの『水戸黄門』は面白かったと、よく言われる。それがだんだん、つまらなくなった。
 それは、最初に黄門様にふんした東野栄治郎が特に良かったから言われる。番組の見せ場の多くも東野栄治郎の発案であった。
 もともと彼は左翼である。新劇界は左翼のたまり場で、そこから彼は劇団の資金稼ぎのために、映画やテレビに出ていた。
 その東野栄治郎と、もっとも親しかったのが風車の弥七の役の中谷一郎であった。黄門様が危機に至ったとき必ず飛んでくる風車は、ご都合主義の象徴となってしまったので、制作筋から懇願され東野降板の後も出演し続けたが、彼は東野に誘われての出演だったから、東野と一緒に降板するつもりだった。
 その二人は、山本薩夫監督など社会派とか左翼系の映画に、よく出ていたものだ
 そして、東野栄治郎はもともと悪役が多く、『七人の侍』でも志村喬に斬られていたけれど、それが権力者のナンバー2になり、しかし庶民と交流することで庶民の側にシンパシーを持ち、そこから地方代官など悪い権力者をねじ伏せるので、そんな意外性があって面白かったのだ。
 それが失われてしまい、老人が惰性で見続ける番組となってしまったのだから、人気低下も仕方ない。

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Commented by 石畳 at 2010-05-25 19:09 x
『水戸黄門』に限らず、『暴れん坊将軍』や『遠山の金さん』等を見ても解るように、TV時代劇の「痛快娯楽性」の本質は、まさに「権力者世直し劇」(こういう構図自体が矛盾に満ちており、歴史認識を無視したものであるのは言うまでも無いが)的なストーリー展開にあるのではないか。これらのシリーズが始まった時期が、「一億総中流」幻想が支配していた頃であるのは象徴的である。それが「格差社会」の現実が露呈していくにつれ、テレビ画面から次々と姿を消していったのは時代の必然なのではないだろうか。

「それでも、何時の世になろうとも武士ばかりがまことの人じゃ・・・。上に武士あっての民百姓じゃ」
「さて、いつまで、このままでおりましょう。世の中は人も知らぬ間に変わりまする」

(大佛次郎 『赤穂浪士』)
Commented by ruhiginoue at 2010-05-25 22:39
 水戸黄門はダークヒーローだったのです。デビルマンと同じです。
 だから、本当は変な図式が逆に面白くなった。
 左翼演劇出身で主に悪役だった東野が扮しているご隠居は、権力者でありながら庶民の側に立ち持てる権力で権力者と闘う、裏切り者で、悪魔の力を身につけた正義のヒーローだったのです。
Commented by ぱる at 2010-05-26 16:12 x
言われてみればそうですね。
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by ruhiginoue | 2010-05-22 13:07 | 映画 | Comments(3)