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by ruhiginoue

ヤマト教祖の死

 『宇宙戦艦ヤマト』の製作者・西崎義展氏が事故死したそうだ。つい先頃、松本零士氏が受賞したとの報があり、新作が公開を控えている時期でもあった。
 彼はかつて70年代後半に時代の寵児と言われ、角川春樹氏と並び称された。そしてどちらも違法薬物で逮捕されるなど一度は転落したが、しぶとく復活してきた。
 どちらも一種のカリスマだったが、西崎氏は当時の若者たちにとって教祖のような存在だった。 


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 そもそも『宇宙戦艦ヤマト』は、過去の名作からの剽窃が多く、B級作品の面白さだと言われてきたし、それが後に著作権争いで裁判をしているのは滑稽だとも言われたものだが、しかし西崎氏はテーマは「愛」だと説き、敗戦から復興して上昇気運の日本に併せてナショナリズムを込め、それが軍国調と批判されると、女性メロドラマの要素を強めて命の大切さを説いて見せ、巧みに時勢に迎合してきた。
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また、欧米のステューデント・パワー発露に影響され日本でも学生運動が盛んになったが、それが行き詰まり衰退すると、サブカルチャーとかカウンターカルチャーと呼ばれるものに若者が引き寄せられ、消費社会の中に埋没しながら連帯ではなくたむろするようになる。
 
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そしてアメリカでは、自由を求めるヒッピー文化が盛んになるが、そのほとんどは一般社会に吸収され、残されたものの一部はカルト化しチャールズ゠マンソン事件などを引き起こした。日本では幼女連続誘拐殺害事件で死刑になる青年がオタクという言葉を一躍有名にしたうえ、オウム真理教事件では、教団で毒ガスを作ってばらまきながら、教団製巨大空気清浄機のことを“コスモクリーナー”と呼ぶ始末であった。あの、最終回で、毒ガス攻撃されたヤマトの危機を救ったメカの名前だ。
 いっぽう、『ヤマト完結編』の製作でシリーズ終了したら、取って代わるように『風の谷のナウシカ』が現れてトレンドとなっていたエコロジーと見事にシンクロした。しかし宮崎駿監督は賢いから、自然保護や原発問題はよくわからないと恍けてみせ、また自分の下で働いていた庵野秀明に対しては、オウム事件とも共鳴する神秘主義を持ちこんでヒットした『エヴァンゲリオン』を作ったことを、当人に面と向かって批判する。
 また、もうひとつの人気作『ガンダム』の生みの親である富野由悠季は、熱狂し続けるファンたちに「はやくガンダム卒業して下さい。そしてちゃんとした大人をやってください」と、もっともなことを言ったものだ。
 ところが、西崎氏は教祖であり続けたいと願っていたようで、ヤマトにも影響した『スタートレック』が製作者のジーン゠ロッテンベリーを事実上追放したことでシリーズが続いたのとは反対に、多くの冷笑にも関らず一部の人たち思い入れによって新作が作られるようになっていた。
 そんな中で、教祖の不慮の死であった。
 
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Commented by nakatsu at 2010-11-08 22:47 x
実写版公開前に亡くなったのが何とも不思議です。

「さらば」で止めておいたら良かったのにとも思いますけど一度掘り当てた金脈を手放すことはできなかったのでしょうね。
ご冥福をお祈りします。
Commented by 石畳 at 2010-11-08 23:01 x
第一作の放映初期には、ガミラス人の体色が肌色になっていた(デスラー、シュルツ、ガンツ等)ことはよく知られている。それが途中から青色に変えられた理由は、「太平洋戦争の復讐」的な筋立てにあるのではないだろうか。それはヤマトの乗組員が全員日本人であり、ガミラス人が欧米人的な風貌に描かれていることからも明らかであろう。制作側はガミラス人を肌色に描くことで、そのような構図が露骨になることを恐れたのではないのだろうか(あくまで私見であるが・・・)。
『宇宙戦艦ヤマト』のヒットが、後のアニメ文化の発展に与えた影響は多大なものがあるが、反面、これほど「ナショナリズム」を、作品の中に巧妙に刷り込んだ作品もないのではないか。地球=日本という設定は、まさに「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の肥大化であった言えよう。
Commented by ruhiginoue at 2010-11-09 09:54
 映画化成功祝賀会で西崎氏は、ヤマトの最後を描く続編を製作すると述べていたので、『さらば』は祭りだったのですが、さらに大ヒット大儲けで気が変わってしまったのでした。
 肌の色が違うと子供に悪役の宇宙人として区別しやすいということもあったのではないかと思います。
 ナショナリズムを利用したのは西崎氏ですが、そのことで右翼的になるとスタッフたちが反発したため松本零士氏は西崎氏に抗議し、深夜に電話して就寝中の西崎氏を起こして二時間くらい言い争った、ということを作画演出担当の石黒昇氏が回想しています。
 
by ruhiginoue | 2010-11-08 11:50 | 映画 | Comments(3)