コメントの他に、表示されている著書をクリックしてその感想をアマゾンのレビューに投稿してくださることも歓迎です。おたよりはこちらへruhiginoue@excite.co.jp


by ruhiginoue

全盲の演歌歌手・竜鉄也氏が死去

 『奥飛騨慕情』で知られる「全盲の演歌歌手」竜鉄也氏が死去したそうだ。
 彼は歌うと同時に、全盲であることで悔しい思いをした体験を語ってもいた。例えば、タクシーに乗ったら遠回りをされてボラれたという良くある不正はもちろんのこと、料金表示が見えないことに付け込まれて実際より高い料金を請求されたり、壱万円札を渡したら五千円札だと言われ、違うと言うと運転手はせせら笑う口調で「旦那ァ、目明きをからかっちゃいけませんや」と侮辱して言われたりもしたそうだ。
 こうした不良運転手はいつも問題になるが、なんであろうと身障者虐めは最低であり、こういう差別を無くさないといけないと考えて、竜鉄也氏ら身障者の芸能人を招いてチャリティー・リサイタルを企画したのが、ゲイ雑誌発行人の東郷健氏だった。
 この東郷氏は選挙に出てマイノリティーの人権を訴えることでも有名だが、彼はチャリティーに協力を求めチケットの購入を頼んで廻っていたところ、障害者への偏見を露骨に示して拒否した人もいたそうで、だからそのような差別を無くさないといけないと、政見放送で訴えた。
 そのチャリティーには、竜鉄也氏とともに、事故で車椅子生活となり俳優を廃業した八代英太氏も出演することになっていたのだが、それを聞いて「メッカチ、チンバなんて見たくない」と視覚障害者と肢体不自由者への差別用語を使い嫌悪感を剥き出しにして言った人がいたそうだ。
 「こんな偏見と差別を早く無くさないといけません」と東郷氏は政見放送で訴えたのだが、なんとNHKは、差別用語だからとその部分の音声を無断で消してしまい、このためその部分は東郷氏が何を訴えているのか判らなくなってしまった。内容を考えずに機械的対処をしてしまったわけだ。
 これを問題として東郷氏はNHKを訴えた。あの遠藤誠弁護士が義憤にかられ無報酬で訴訟代理人を引き受け、一審判決は、そのまま放送すべきと規定があるのに削除したのは公職選挙法違反であるとしてNHKに賠償命令を言い渡した。
 これに対しNHKは控訴したが、NHK側の弁護士は、控訴しても結果は同じだと思うからNHKとしては強制執行される前に支払っておくと、遠藤弁護士に伝えてきた。
 しかし遠藤弁護士は、警戒していた。一審より二審にタチの悪い裁判官が出てきて逆転させることが多い。権力へのゴマスリや弱い者虐めした功績により、地裁から高裁さらに最高裁へと昇進する悪しき官僚機構となっているからだ。
 そこで遠藤弁護士は知り合いの法学者に頼んで意見書を書いて貰い主張に補足をしたのだが、危惧した通りとなってしまった。差別を未然に防ぐための措置だからNHKは正しいと言う。とんだ屁理屈だと遠藤弁護士は怒り、法学者たちからも批判の声があがった。こんなひどい差別を無くせという主張をする中で、そのひどい差別の実例を挙げたというのに、この判決は無茶苦茶すぎる。
 ただ、このあとNHKは騒動で懲りたのか何を政見放送で言っても削除はしないようになり、「NHKなんて要らない」だから「受信料の不払いをしよう」「放送センターに放火しよう」とまで言ってもそのまま放送されるようになったから、騒動になった意義はあった。
 それはともかく、悪どすぎるタクシー運転手とか、差別用語を言い放つ者とかは、たまたま不良とか無神経がいたのではなく、NHKや裁判所も含めた社会全体の構造から、出るべくして出たのだ。
 そうしたことも教えてくれた竜鉄也氏。ご冥福を。

人気ブログランキングへここをクリックして投票をお願い
[PR]
Commented by ケーキイーター at 2010-12-30 23:11 x
「差別用語の基準」て曖昧ですよね。
昔私が散々言われて嫌だった言葉がこれ。「ケーキちゃんにはできないから、やってあげるよ」
Commented by ruhiginoue at 2010-12-31 06:47
 だから個別に判断するべきだけど、マニュアルがないと駄目な人がいるわけですね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
by ruhiginoue | 2010-12-29 09:58 | 芸能 | Comments(2)