十字軍以外の何者でもない
2011年 03月 22日
米英仏のリビア侵略について、ロシアのメドベージェフ大統領は、同国のプーチン首相が「十字軍」と表現したことについて、「文明の対立を招く」として批判したというが、これは実際に文明の衝突であり、十字軍以外の何者でもない。
前に指摘したとおり、今回のリビア軍事介入は、異なる文明を認めず、自らに従属することでしか存在させないという英米仏の価値観の告白である。
石油利権だけなら、カダフィ大佐がすでにこれを利用して欧米との関係改善を薦めてきたし、独裁体制が悪いなら、すでにカダフィ大佐は息子に実権を委譲し引退目前であり、穏やかに民主化することも公約されていたのだから、それを実行するよう国際社会から圧力をかければ、血を流すことも経済的損失もなく、得策であった。
そして英外相がついに、カダフィを殺したいという本音を漏らした。内戦により一般市民が巻き添えとなる空爆を防ぐための飛行禁止空域設定が、軍事介入の目的である。だから、米軍指揮官も、カダフィ殺害は予定に入っていないし、反体制派を支援することもないと、あわてて否定したのだ。
また、これまでリビアでは、カダフィ大佐が欧米との関係改善をすすめ、アルカイダを批判し、アメリカのフフガン空爆まで支持したので、すくなくともアメリカの政府も報道も、カダフィに好意的であった。
ところが、ヨーロッバで突然、カダフィ一族が私腹を肥やして民衆は貧しいというステレオタイプの非難が始まった。これはちょうど、フィリピンでマルコス大統領の追放が始まったときと酷似している。報道では、独裁者マルコス大統領とその家族とくに婦人が贅沢三昧しているという一大キャンペーンだったが、実際にフィリピン人と話すと、話はまるで違う。日本にはフィリビン人が多く出稼ぎなどで来ているので、報道はアメリカの工作だと疑い始めた人が多い。アメリカの報道を批判する日本の報道も現れた。
また、マルコス大統領死後その婦人だったイメルダ氏が、アメリカに滞在しているとき、マスコミによるつるし上げとともに、不正疑惑について裁判にもかけられたが、まったく冤罪であったとして無罪となったが、このときの弁護士は、ゲーリー=スペンスという有名な法廷弁護士である。
スペンス弁護士は、故シルクウッド氏の遺族の弁護をした人としても有名である。ちょうど今日本でも大変な原発だが、原子力プラント放射線漏洩で、職員だったシルクウッドという女性は、告発のため資料を持ちテレビのキャスターに会いに行く途中、不可解な自動車事故で亡くなった。散乱していた資料は、警察が来た時はこつ然と消えていた。スリーマイル島事故と公開が重なりヒットした映画『チャイナシンドローム』にソックリな場面が描かれるのは、このシルクウッド事件がモデルである。
シルクウッドの遺族は、原子力プラントの欠陥で彼女が健康を害していたとして訴え、その部分では勝訴することができた。事件そのものは『シルクウッド』という映画になっていて。名女優メリル=ストリープが一大決心をして出演し、熱演によりアカデミー賞確実といわれながら、ノミネートもされなかったので、圧力ではいなかと言われている。
そうした巨大な背景にもかかわらず弁護を引き受けたスペンス弁護士が、悪い大統領の婦人として贅沢していたと叩かれるイメルダ氏を弁護し、無罪を勝ち取っている。彼女は自分のためではなく、諸外国からの来賓をもてなしていただけであったのだが、それを政治的な意図から歪めて報じられていたのだった。
これと、今回のリビア情勢に付随するカダフィ大佐の家族の報道は、似過ぎている。しかも、もともとリビア報道ではヨーロッパのプロパガンダにすっかり追従している「毎日」が、裏付けもとらず大げさな表現で垂れ流し報道をしている。
もっとも、「毎日」は迎合しているのではなく、先に指摘したように、甘い幻想を持っているため騙されている左派の一種なのかもしれないが。
とにかく、石油であれ原子力であれ、裏があって当たり前の問題については、うがった見方をしなければならず、派手に垂れ流されている欧米発の情報だけは確実に嘘であると判断すべきである。
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前に指摘したとおり、今回のリビア軍事介入は、異なる文明を認めず、自らに従属することでしか存在させないという英米仏の価値観の告白である。
石油利権だけなら、カダフィ大佐がすでにこれを利用して欧米との関係改善を薦めてきたし、独裁体制が悪いなら、すでにカダフィ大佐は息子に実権を委譲し引退目前であり、穏やかに民主化することも公約されていたのだから、それを実行するよう国際社会から圧力をかければ、血を流すことも経済的損失もなく、得策であった。
そして英外相がついに、カダフィを殺したいという本音を漏らした。内戦により一般市民が巻き添えとなる空爆を防ぐための飛行禁止空域設定が、軍事介入の目的である。だから、米軍指揮官も、カダフィ殺害は予定に入っていないし、反体制派を支援することもないと、あわてて否定したのだ。
また、これまでリビアでは、カダフィ大佐が欧米との関係改善をすすめ、アルカイダを批判し、アメリカのフフガン空爆まで支持したので、すくなくともアメリカの政府も報道も、カダフィに好意的であった。
ところが、ヨーロッバで突然、カダフィ一族が私腹を肥やして民衆は貧しいというステレオタイプの非難が始まった。これはちょうど、フィリピンでマルコス大統領の追放が始まったときと酷似している。報道では、独裁者マルコス大統領とその家族とくに婦人が贅沢三昧しているという一大キャンペーンだったが、実際にフィリピン人と話すと、話はまるで違う。日本にはフィリビン人が多く出稼ぎなどで来ているので、報道はアメリカの工作だと疑い始めた人が多い。アメリカの報道を批判する日本の報道も現れた。
また、マルコス大統領死後その婦人だったイメルダ氏が、アメリカに滞在しているとき、マスコミによるつるし上げとともに、不正疑惑について裁判にもかけられたが、まったく冤罪であったとして無罪となったが、このときの弁護士は、ゲーリー=スペンスという有名な法廷弁護士である。
スペンス弁護士は、故シルクウッド氏の遺族の弁護をした人としても有名である。ちょうど今日本でも大変な原発だが、原子力プラント放射線漏洩で、職員だったシルクウッドという女性は、告発のため資料を持ちテレビのキャスターに会いに行く途中、不可解な自動車事故で亡くなった。散乱していた資料は、警察が来た時はこつ然と消えていた。スリーマイル島事故と公開が重なりヒットした映画『チャイナシンドローム』にソックリな場面が描かれるのは、このシルクウッド事件がモデルである。
シルクウッドの遺族は、原子力プラントの欠陥で彼女が健康を害していたとして訴え、その部分では勝訴することができた。事件そのものは『シルクウッド』という映画になっていて。名女優メリル=ストリープが一大決心をして出演し、熱演によりアカデミー賞確実といわれながら、ノミネートもされなかったので、圧力ではいなかと言われている。
そうした巨大な背景にもかかわらず弁護を引き受けたスペンス弁護士が、悪い大統領の婦人として贅沢していたと叩かれるイメルダ氏を弁護し、無罪を勝ち取っている。彼女は自分のためではなく、諸外国からの来賓をもてなしていただけであったのだが、それを政治的な意図から歪めて報じられていたのだった。
これと、今回のリビア情勢に付随するカダフィ大佐の家族の報道は、似過ぎている。しかも、もともとリビア報道ではヨーロッパのプロパガンダにすっかり追従している「毎日」が、裏付けもとらず大げさな表現で垂れ流し報道をしている。
もっとも、「毎日」は迎合しているのではなく、先に指摘したように、甘い幻想を持っているため騙されている左派の一種なのかもしれないが。
とにかく、石油であれ原子力であれ、裏があって当たり前の問題については、うがった見方をしなければならず、派手に垂れ流されている欧米発の情報だけは確実に嘘であると判断すべきである。
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by ruhiginoue
| 2011-03-22 18:46
| 国際