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by ruhiginoue

経営機構としての家族制度

 離婚後、女性だけ再婚が6カ月間禁止される民法の規定は、時代遅れなうえ性別で故なき差別をしていると批判されてきたものだ。
 このため、再婚を7カ月待たされてしまい後精神的苦痛を受けたと言う岡山の女性が、国に165万円の損害賠償を求めて、岡山地裁に提訴したそうだ。
 このような問題になるのは、まず再婚して生まれた子供の父親が誰だか判らなくなってしまうのを防ぐために法の規定が出来たけれど、今ではDNA鑑定があるのだから無意味となってしまったことが背景にある。
 しかし、法律上の結婚をすることで子供が生まれるのではない。また子供は結婚してから作る人ばかりでもない。前者はもちろん、後者だって、昔も今も変わらない。なのに再婚禁止の規定が作られたのだから、生物学的な親子関係を明確にする意図はそもそも無かったはずだ。
 ではなぜかとなると、財産の問題によって作られた規定だ。財産は家族単位で創出し維持するのが基本なので、生物学的な関係など実は無関係であるから、形式的に家族を構成している者が当事者となることが基礎となり、それ以外は跡継ぎが居ないなど何か事情があった場合の例外として認められる。
 これを踏まえて、非嫡出子相続差別問題でも、最高裁は「合理的な根拠がある」ととして合憲の判断をした。同じ親を持つ子供でも、正規に結婚している間と、そうでない場合とで、遺産相続に大きな差をつける法規定は、そもそも社会制度としての家族とは財産のために存在している前提だからだ。
 そうなると、今回の訴えは認められない可能性が高い。法の下の平等に反し憲法に違反すると訴えても、あくまで財産のための家族制度の形式に収まった中でどうかという問題だから、今はDNA鑑定があると言ってみたところで無意味だ。では男性にも同様の規定があるべきと考えられるが、それを民事訴訟にしても提起する女性にとって直接の利益が無いので、裁判に訴えるより法改正を国会に訴えるのが筋ということになってしまう。
 つまりほんとうの問題は、家族と財産が密接に絡んでいることであり、それを拠り所にしないといけない社会が、まだ続いていることだ。

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社会総合 - エキサイトニュース
by ruhiginoue | 2011-08-04 18:44 | 司法