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by ruhiginoue

「俺は教師になりたかった」

 高校のとき、授業ではなく文化祭で世話になった若い男性の教師は東京大学を出ていた。
 「どうして東大出たのに、こんな田舎の学校で働いているんですか」
 と訊いたら、
 「俺は教師になりたかったんだ。たまたま、ここに赴任して、田舎だっただけ。田舎が良いと希望したわけでも、田舎だから拒否するわけでもない、ということだよ」
 ところで、裁判の判断も分かれているが、特に石原とか橋下のために学校を追われる教師がでるかもしれないと言われている。家族を抱えて失業したらと悩む人もいるし、教師の仕事が好きで辞めたくないからと悩む人もいる。ここで悩みが深いのは、特に教師になりたくてなった人だろう。  
 さて、文化祭で世話になったというのは校門に架ける装飾のことで、田舎の古い高校で長年にわたり出来なかった大掛かりなものを、初めて作ることができた。それは大学の立て看板を応用したからで、先生の作業は手慣れていて実にテキパキとしていた。
 すっかりノンポリだと思いこんでいたけれど、赤門前に掲げられている立て看板はよく作っていたそうで、そこから話になったら意識が高い人だった。小学校の担任教師とは真逆で、そもそもそういうものなのだろう。
 この先生の担当教科は英語だったが、授業で習う機会がまったくなかった。ほんとうに文化祭だけだった。そのおかげで、授業以外の話ができたようなものだったが。
 それで卒業式のとき、担任とか習った他の教師は型どおりの挨拶、嫌いな人は無視をしたけれど、その先生だけは言葉は無く目で挨拶し、先生も無言のまま微笑みで応じたのだった。
 ただその前に、世話になったと年賀状を出したら返信がきて、勉強をして欲しいと書いてあった。東大出の先生が言うと受験勉強の印象だが、そうではなかった。
 「これから、きっと、俺や君のような者にとっては決して楽じゃない時代が来ると思う。そのときのために、本当の勉強をして欲しい」

 

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by ruhiginoue | 2012-02-09 21:30 | 雑感