井上靜の気楽な日誌です。気楽にコメントしてください。おたよりも気楽にe-mail:ruhiginoue@excite.co.jpまで


by ruhiginoue

障害者も美容外科医師も人を殺したことは同じだが

 殺人事件の被告が障害者であることを理由に、求刑を上回る判決となった裁判が、先日たいへんな批判を浴びたばかりだ。この被告は「知的障害がない自閉症」であり、対人関係でコミュニケーションに問題が生じるとされる。そして長期にわたる引きこもり状態で、自立するよう叱責した姉に逆上して殺してしまったという事件だ。
 この犯行に、責任はとれるとされたが、情状酌量の余地もある。ところが逆に、求刑より重い判決となった。その理由とは、障害への対処が社会に整備されていないので、再犯の恐れがあるというものだ。
 これでは、厳しい批判も当然だ。障害に対処し支援する体制は不充分ながら存在しているし、これからの充実も計られているので、現状の認識が間違っているし、そもそも刑罰と治療は別である。
 もしも、再犯しないようにする社会になっていないからと、犯行の責任を取らせるためより長く閉じ込めておくべきなら、汚職をした政治家や官僚らはみんな終身刑にしないといけないだろう。

 そして今日、「品川美容外科」の池袋院で2009年、脂肪吸引手術を受けた女性が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた医師・堀内康啓(やすひろ)被告(39)に対し、東京地裁は禁錮1年6カ月執行猶予3年(求刑禁錮2年6カ月)の判決を言い渡したが、鬼沢友直裁判長は「被害者を死なせた過失は重大だが、被告は反省し、二度と脂肪吸引手術をしないと誓っている」と刑の執行を猶予した理由を述べた。
 この死亡事故は、脂肪吸引のための棒状の器具を腹にさし込むさい、角度や深さを十分に確認せずに操作した結果、腸に多くの傷をつけてしまい、患者を2日後に死亡させたというもので、あまりのひどさに専門医がみな驚いていた。
 しかし、もう脂肪吸引をやらない(医師免許返上ではない)と被告が言うので執行猶予である。その保証はない。
 実際、とんでもない事故や過誤を仕出かした医師たちの中には、同じ失敗を繰り返す者がいて、身内に甘い医師会もさすがに重く見て、その分野を止めるか、やるならその前に研修するよう勧告したうえで、医学部や大学院で講習を受けられるよう斡旋までしたのに従わず、また被害を出す者がいる。

 また、この事故をめぐっては、警視庁捜査1課の元警部・白鳥陽一被告(59)=懲戒免職=が、捜査資料を品川美容外科の顧問だった警視庁OBに流出させたとして地方公務員法(守秘義務)違反の罪に問われ、一、二審で懲役10カ月の実刑判決を受けて最高裁に上告中であるし、野田総理が政治献金を受けていたことも問題になった。
 ということだから、一医師の資質だけではない構造的な問題であって、公権力とか利権が絡んでいるから、障害者より遥かに再犯について可能性と危険性の大きさを心配をしなければならないのだが、それでも「もうしません」みたいなことを叱られた子供みたいに言えば、刑が重くなるどころか執行が猶予される。
 つまり、我が国の社会の制度は、そこで持つ責任が重い人だと、取る責任は軽くなり、持つ責任が軽い人なら、持つ責任より取らされる責任が重くなるということだ。
 随分と非常識な社会である。
   

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Commented by 小野哲 at 2012-08-20 23:02 x
 日本の医療過誤に関する裁判は前からお粗末なんですね。
 まず最初に発達障がい当事者への不当判決ですが、明らかに国際法違反ですね。一種の「切断処理」であり、問題の本質が全く見えていませんね。
 それで医師への激甘判決です。これには一種の神話が裁判の世界ではびこっているのでしょう。「先生(教師以外)は正しいのだ」という幻想が。加藤克彦自称医師による福島県立大野病院医療過誤犯罪でもこの神話がまかり通ったではないですか。
 完全に歪んでいますね。
Commented by ruhiginoue at 2012-08-21 18:57
 医学界も法曹界も、まやかしの権威に寄っていることは同じということです。
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by ruhiginoue | 2012-08-20 21:20 | 司法 | Comments(2)