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by ruhiginoue

東ドイツの政治

 文献が手に入ったため、北朝鮮についての韓国人学者の膨大な論文を読んだことを先日ここで書いたが、今はドイツ人の学者が書いた東ドイツについての論文を読んでいる。
 どちらも冷戦によって分断された国でより閉鎖的な方ということになる。比較すると面白い。
 ところで、東ドイツことドイツ民主共和国では、ベルリンの壁が作られてからも東から西へ出て行く人がいたので、その建設前にはもっと出て行く人が多かった。
 そのとき出て行った人の多くは、西のほうが戦後の復興が早かったからという動機で、これは「マーシャルプラン」が影響している。この戦後復興政策によりアメリカが欧州に対して覇権をとったことは、政治経済の必須みたいな話だ。大学で近代政治史をやったさいに習った人も多いだろう。
 それとは別の事情があって、これが興味深い。
 まだ壁が無くて簡単に出て行けるときに留まった人には、高齢なので愛着がある土地から離れたくない人とか、親戚や友達と離れたくない人とか、そうしたすぐ思いつくような事情の人たちの他に、東ドイツの政権与党の古参党員たちを、たいへん尊敬していたからという人が少なくないという。
 この古参党員たちは、みんなナチスに反対して命がけで闘い、弾圧で身の危険を感じソ連など外国に亡命し、戦後に帰国した人たちだった。この立派な過去にくわえ、人格的にも高潔な人ばかりだった。
 だから、東ドイツ政府の中心となっている人たちは盟主国ソ連の腰巾着だが、そうでない良心的な党員たちに期待して、応援しようと考えた。
 それが上手くいかなかった。なぜなら、そういう人たちは、学者とか芸術家などの文化人や高学歴な人たちばかりで、労働者などの庶民と連帯が無かったからだ。
 それというのも、一般庶民は、かつてナチスを熱狂的に支持してしまい、そのためナチスは反対する者への弾圧がし放題となった経緯があったので、知識階層の大衆に対する不信感が根強かったのだ。
 だから、ポピュリズムによって支えられたファシズムは厄介だ。日本で最近、弁護士崩れのタレント政治家による「ハシズム」と呼ばれているものにも、共通している部分があるように感じられる。 
 
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by ruhiginoue | 2012-10-07 21:44 | 政治 | Comments(0)