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by ruhiginoue

テレビの刑事ドラマ

 大学で刑事訴訟法と犯罪学を習った教授は、もと検察官の弁護士だった。卒業後に八王子の地裁でたまたま再会したこともある。
 この人は授業中に、よく「テレビの刑事ドラマなんて観るな」と言っていた。1時間枠でタイトルとCMを除き正味45分足らずの時間に、事件が解決するという非現実的な話は馬鹿げているからだという。
 時間の制約で非現実的な展開となることは、アメリカのドラマも同様で、いま東京で放送されている『CSI科学捜査班』も、DNA鑑定など本当は数日かかるはずの結果が、その日のうちに出るように見える。
 しかし、『CSI』は日本のテレビとは比較にならない手間と時間と人材と、何より予算をかけていて、実際に高視聴率をあげているだけによく出来ており、まず犯行動機と人物描写などが工夫されていて面白いし、なにより、思い込みと推理ではなく、証拠によって科学的・論理的に結論を導き出す捜査の基本姿勢に好感が持てる。
 また、捜査官たちの職務に対する姿勢が冷静かつ洗練されているので、安心して見ていられる。
 例えば、警官が押収令状の手続きを忘れたため、決定的かと思われた証拠が裁判で採用できなくなってしまい、新たな証拠を苦労して探さないといけなくなったときなど、ウッカリした警官と、その不備を指摘して突いて来た被告の弁護士に、一旦は腹を立てるものの、しかし、適切に手続きをしなければ権力の横暴につながるわけだから、手続きの不備を問題にすることは当然であり、犯罪者を取り逃がしてしまったら危険ではあるが、社会がファシズムになってしまってはもっと危険だという認識を捜査官たちは再確認し、気を取り直し落ち着いて再捜査に当たる。
 このような洗練された感覚は、日本の刑事ドラマに欠落している。それでも今は昔に比べるとマシになっていて、一昔前の日本の刑事ドラマでは、警官たちが当たり前のように「別件で引っ張って締め上げ吐かせましょう」と言い、実際に拷問も同然のことをして、この場面を不正ではなく正義のためだとして描くのが当然だった。そんなものを、石原プロなどが製作して繰り返し放送してきた。
 ドラマ一つとっても、このざまである。アメリカにNOと言うことはできない。

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Commented by 白田川 一 at 2012-12-06 07:10 x
  刑事ドラマというのも結局は権力をヨイショするようなものでしかなく、そういうものについては見ておらず、警察ドキュメンタリー共々直ちに放送禁止処分とするべきと思えてならないものがあります。

  ただ、私の母は「相棒」という作品に夢中になっており、「刑事ドラマにしては社会派」と評しているほどです。でも、「相棒」のどこがいいのか理解しかねますが、オーナー様としてはどのように捉えているでしょうか?
Commented by 石畳 at 2012-12-06 21:56 x
特に、昔放映されていた『西部警察』など、まさに「ヒーロー戦隊ものの大人版」といった観があった。犯罪者や被疑者の人権という観念は皆無に近く、「凶悪怪人」のような扱いだったのだろう。
Commented by ruhiginoue at 2012-12-06 22:54
 「相棒」は受けていることを理解はできるけど、面白いとは感じませんね。
 「西武警察」には、途中からレギュラーで刑事に小林昭二が出てました。もともと刑事役はよくやっていたし、「仮面ライダー」の新シリーズの出演依頼を「同じ役ばかりやっている俳優になってはいけない」と断って出演したら、「西武警察」で警官が安易に拳銃を抜くので驚いたと言ってましたね。
Commented by ケーキイーター at 2012-12-08 19:43 x
刑事ドラマは『水戸黄門』と同じ感覚で観よう。ですか。
Commented by ruhiginoue at 2012-12-09 22:33
 時代劇もそうだし、学園ドラマもです。
 かつて千葉のインチキ知事が森田健作という芸名で学園ドラマに出ていたけど、学園ドラマで不良をカッコよく描いては悪影響があるから駄目だと彼は批判してました。
 しかし、森田健作よりライバル役の志垣太郎のほうが誰が見てもカッコよかったのだから、僻んでもしょうがない。 
by ruhiginoue | 2012-12-05 18:14 | 映画 | Comments(5)