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by ruhiginoue

刑事ドラマの変遷

 経営難をいわれる石原プロが、そのためか過去の刑事ドラマをDVD化している。それを観たが、お決まりの「現在では不適切な内容や言葉が含まれていますが、作品の歴史的意味を尊重してそのまま収録しています」という字幕が入っている。
 この問題があったため、「コンテンツ」の商品化に難色ということだったとも言われている。
 しかし大学で刑法を習った元検事で弁護士の教授が、「刑事ドラマなんてデタラメだから観るな」と言っていたが、そのさい、しかし『太陽にほえろ』など初期はまだ良かったとも述べていた。
 そうだと言う人は多い。それで人気が出たけど次第におかしくなっていったということで、その点ではもっと極端なのが同じく石原プロの『大都会シリーズ』だった。
 最初の『大都会 闘いの日々』は、倉本聰脚本とか降旗康男監督など名手を起用し、重厚な人間ドラマに仕立てていたし、けっこう社会派でもあった。
 これは語りぐさだった名セリフだが、渡哲也ふんする主人公の刑事は、上司の指示に疑問を感じ「警察ってなんでしょう」と問うと、ベテラン刑事役が得意の高品格が言う。
 「犯罪はなんらかの原因があって起きるものだ。簡単に言えば世の中が犯罪の原因だ。それをどうにかするのは俺たちの仕事じゃない。原因を見ないふりして強引に片をつけるのが仕事だ。だから警察はゴミ箱の蓋さ。ただ、蓋がないと世の中が臭くてしょうがないだろ」
 また、新人だった神田正輝のふんする新聞記者が、若さと情熱による正義感から、いつも人命軽視の捜査をする警察を批判しても、記者クラブの他の記者たちから青二才と嘲笑され、掲載される記事は警察のお手柄というものになってしまう。
 ところが、これで好評だったから『大都会PART2』『大都会PART3』と続編が作られるにつれて、「もっと視聴率を」という要請からドラマよりアクション重視となって、銃をぶっ放したり車をぶつけたりしてばかりになった。そして『西部警察』に発展してエスカレートする。
 この『西部警察』は、テレビ朝日が他局からそっくり引き抜いた形であったため、人気番組だった『大都会シリーズ』の出演者らを横取りされた結果の日本テレビは、渡哲也(本名・渡瀬道彦)の実弟の俳優・渡瀬恒彦を主役に起用し、『大激闘マッドポリス80』と、その続編『特命刑事』を製作する。
 このマッドポリスシリーズは、SFではないのに近未来の設定となっており、日本中の暴力団組織が全国統一したうえ海外のマフィアと提携した「ジャパンマフィア」と化して暴虐の限りを尽くすため、警視庁が荒くれ警官ばかりを集めた部隊「マッドポリス」を結成して対抗するという話で、警官にふんしている俳優たちが渡瀬恒彦の他に梅宮辰夫や志賀勝らヤクザ役で鳴らした俳優ばかりのうえ、警官が軍用自動小銃や手榴弾まで用いて大暴れするという、刑事ドラマ史上もっとも荒唐無稽なものだった。
 そして前半の最後は、沖縄の離島にある麻薬製造工場をマッドポリスが急襲し破壊したため、最大資金源を断たれたジャパンマフィアは壊滅。後半は少し普通の刑事物になったものの、最終回では、細菌兵器の研究を密かにしていた自衛隊の一部の陰謀を知ったマッドポリスが、それを叩き潰すため陸上自衛隊の一個師団相手に壮絶な銃撃戦を繰り広げて勝ってしまうという、とんでもない話であった。
 ここまでやれば、その開き直りが、かえって面白い。しかしビデオにもDVDにもなっていない。是非また観たいのだが。

追記
DVDは発売されましたね。


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Commented by ケーキイーター at 2013-01-06 17:43 x
『西部警察』って私の友人(男性)が笑いの種にしていたな。私自身は未見状態。昔『太陽にほえろ』を見ていて「露口茂さんが素敵だなあ」と思っていた程度かな。
Commented by ruhiginoue at 2013-01-06 23:37
 『西武警察』は最初から、狂信者に盗まれて暴れる軍事装甲車と闘うというものでしたから、笑いのネタになって当然でしよう。
 『太陽にほえろ』は『大都会』と同じで、最初は魅力的な俳優がいろいろ出ていて、だんだんつまらない訳者ばかりになって行きました。
 視聴率が下がってくると人気のある俳優を殉職させるという安易な手を使ってばかりだったからでしょうか。 
Commented by ruhiginoue at 2013-01-08 22:53
 どうも悪い印象になると「西武」あるいは「コクド」を連想してしまうんでしょうね。
Commented by ケーキイーター at 2013-01-09 16:41 x
『西武警察』で面白い話が一本作れそうだ。
Commented by ワニのオナニー at 2013-03-28 01:07 x
伊豆のぐらんぱる公園でその装甲車が1回300円くらいで体験試乗の退役興行してましたが実際は軍用車輌でなく農業用だかの未整路地での作業、運搬用車輌に鉄板張り付けた改造車とかで車体の真ん中から左右に折れ曲がりハンドルを切る作りでビックリした。そんだけですが、やっぱり西部警察は笑い話ですよね。カッコ良くてたまらないと思っていたのは小学生だけで。
スーパーの駐車場での撮影でスーパーカーだか暴走して見物人跳ねちゃったのもそうでしたか?
Commented by ruhiginoue at 2013-04-03 23:10
 大勢のパトカーが出てきて走ったりぶつかったりするのは当時話題になっていた映画『太陽を盗んだ男』の影響とも言われ、だから『西部警察』第一話の装甲車で暴れる狂信者の老人に、伊藤雄之助がふんしていたのかもしれません。
 
Commented by ケーキイーター at 2017-03-16 20:41 x
 地井武男さんもいいかな。裕次郎そっちのけで。
 パトカーがぶつかるのは、『ブルーズ・ブラザーズ』が面白かった。アリーサ・フランクリンにはまだまだ長生きしてほしいな。
Commented by ruhiginoue at 2017-03-17 19:37
地井武男も、テレビドラマで売れる前は、肉体派の俳優として活劇やポルノに出ていましたね。
Commented by ケーキイーター at 2017-03-17 20:53 x
 それは知らなかったけど。とにかく、裕次郎はそっちのけ。
Commented by ruhiginoue at 2017-03-18 19:36
地井武男は、『青春の殺人者』にワンシーン出ているけど、その監督が脚本を書いたサスペンス仕立てのポルノ『濡れた荒野を走れ』で悪役主役だし、その主演女優と共演したテレビの活劇『電撃ストラダ5』が、シリアスなのでは今井正監督の『海軍特別年少兵』がありました。
Commented by ケーキイーター at 2017-03-19 21:09 x
 そうやって、役者は鍛えられていくわけですか。
 おばさんキャラが大好きなのは、押井守監督だけど、私は渋いおじさんキャラや俳優が好きみたい。十年くらい前に、「あ。近藤真彦って、かっこいいんだ」って認識した。新御三家でも同様。レーシングチームの監督やっているマッチの方が、たのきん時代よりずーっとグーです。ところで、「ギンギラギンにさりげなく」は未だに「どういう意味だろう」と悩んでいる。話がとんでもない方向に飛んで行ってしまった。
Commented by ruhiginoue at 2017-03-20 14:19
All That Jazzに出演したときのロイシャイダーが、俳優なので体力の維持には気をつかっていたけどダンサーにはかなわなかったと言っていて、この話に知り合いの舞踊家は、役者なんて不摂生だと言ってました。
by ruhiginoue | 2013-01-03 22:37 | 映画 | Comments(12)