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by ruhiginoue

笠原和夫と百田尚樹の落差

 前から思っていたのだが、長谷川三千子と言う人は極右雑誌『正論』になぜか旧仮名遣いで書き、少し前に死去した丸谷才一も「進歩的な岩波」の雑誌『図書』に旧仮名遣いで書いていて、当人たちがこだわっている割には意義や効果が無いのではないか。

 ところで、長谷川と百田尚樹は、東京裁判を否定する発言を繰り返すので、NHKの経営委員としての中立性が問題にされているけれど、それより疑問なのは、その裁判が天皇の責任を免罪するためのものでもあったことには踏み込まない、ということだ。
 その視点を持っていたのは、例えば名脚本家中の名脚本家・笠原和夫だった。『二百三高地』などの戦争映画は、『永遠の0』などバカらしくなるほど、緻密な調査に基づく見事な構成と巧みな台詞回しである。続く『大日本帝国』では、東京裁判を戦勝国による一方的なものと批判的に描いていたために右翼映画と批判されたが、天皇の責任を追及しており、戦犯として処刑される兵士が「天皇陛下お先に参ります」と叫ぶ場面が公開当時に物議となった。
 また、戦地では兵士が大本営を「上に居る者ほど楽をしている」と批判し、一方、大本営発表をラジオで聴いた兵士の妻らが次のように会話する。「大元帥閣下ということは、天子様は戦地で指揮をとられているの?」「いや、天子様はいつも宮城に居られる」間接的だが痛烈な描写だった。
 処刑される兵士に扮したのは篠田三郎で、その代表作だった『ウルトラマンタロウ』の山際永三監督に訊いたら「笠原和夫は右翼だが天皇が嫌いだ。右翼で天皇嫌いは結構いるよ。ヤクザなんか社会の底辺だし」と言った。笠原脚本には『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』などヤクザ映画の名作があった。

 つまり、自分で筋を一本通していれば、構造から訴えることができるということであり、それがNHKの委員たちには無いから半端なのだ。そして自分を持っていないから、立ち位置が不明確になり、逆に中立性もなくなるのだ。


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by ruhiginoue | 2014-03-12 22:16 | 映画 | Comments(0)