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by ruhiginoue

「象は鼻が長い」と「へんなおじさん」

 「象の鼻は長い」ではなく「象は鼻が長い」という言い方があって、これが日本語の助詞を語るさいよく出る例文なのは、周知のとおり。主語は何でどうなのか、ということだ。

 これについて研究した国語学者は、すでに明確な答えを出している。「は」は、その文の中ですでにわかっていることに付き、「が」は、その文でまだわかっていなくてこれから言うことに付くものだ。
 すなわち、「象」はそういう動物がいると知っているのを前提しているから「は」で受けて、「鼻」はもちろん知ってはいるが、それがどうしたのかをこの後から述べるのだから「が」で受ける。

 これを井上ひさしが作文教室で説明しているのを読んだら、こういう例えを出していた。
 「私は井上ひさしです」だと、私を見たり聞いたり会ったりでわかっている相手に、こういう者である、との意味になる。
 「私が井上ひさしです」だと、井上ひさしという人は知っているとか聞いているとかでわかっているところへ、それは私であると初対面の人に言う意味になる。

 それで気づいたのだが、志村けんも「私が変なおじさんです」と言っていた。「私は変なおじさんです」では、誰だかわかっている人が奇行を自覚して言う意味になる。しかし、志村けんが扮している人は正体不明であり、だから「このおじさん変なんです」「なんだ君は」と言われて「私が変なおじさんです」と言う。そして「変なおーじさーん」と歌い出す。



 作文を書いているとき、誰でもだいたいは無意識に使い分けていると、井上ひさしは言っていたが、こうして明確にすると、より表現しやすくなる。それを考えながら文法の本を読んでいたら、変なおじさんのコントまで思い出したのだった。

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by ruhiginoue | 2014-07-10 22:14 | 文学