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by ruhiginoue

沖縄の自然を踏みつぶす米軍と告発しない日本のメディア

 アメリカの戦略研究所に勤務してきたアジア情勢の権威である国際政治学者のチャルマーズジョンソン氏は、沖縄を「最後の植民地」と定義し、独立国だったのに日本に併合され、米軍基地によって犠牲を強いられている実態について問題にしていた。
 そして、アメリカ軍が安全保障上の必要性を説くものの、それは世界情勢が変化するたびに具体性が乏しくなりアヤフヤさが増していると、彼は指摘している。これはアメリカの政治家がアメリカ軍の上層部に騙されているためであり、実は風光明媚な観光地で軍の上層部が日本に出させた金で遊びたいだけだと批判していた。

 実際に、傀儡自民党政権によって「おもいやり予算」と称された米軍向けの支出は、アメリカ軍の要求によって増額され、米軍用のゴルフ場を空軍と海軍と別に作れと要求したり、司令官の妻のネイルサービスの費用まで出させたりしており、そのうえで軍の広報が、遠隔地に転勤しても沖縄なら楽しいことがいっぱいあると謳っているという。

 また、沖縄では米兵の犯罪も頻発しているが、それとともに劣化ウラン弾を使った訓練が米国内と違い所構わずの無神経さだし、水陸両用車は沖縄の貴重な珊瑚を破壊している。これは環境破壊として問題になっており、外国のことでは済まないとアメリカでも批判する人たちがいる。
 
 ところで、89年(平成元年)に朝日新聞は、心ないダイバーが珊瑚に落書きしたという写真を1面に掲載したが、それは撮影したカメラマンの自作自演であったことが発覚した。犯人と疑われたダイバーが具体的にいて、その人は無実とわかったからカメラマンに疑惑の視線が転向した。カメラマンが不正を認めたため、朝日新聞は読者にお詫びを掲載したうえ社長も辞任したが、騒動の張本人である本田というカメラマンは朝日新聞社から懲戒免職となったものの、その後は普通に写真の仕事をしていて、まるで映画『大理石の男』の、労働英雄のレンガ積み職人に焼けたレンガを渡して妨害したのは誰か、みたいな疑惑が持たれた。

 このカメラマンの行為は不可解なままで、様々な憶測がなされたが、日本の代表的な新聞の不祥事を他のメディアがあげつらう姿も醜いものだった。雇った会社の責任ではあるが、不良社員の行為を嘲って悦に入ることだけでも同業者としてみっともないことだし、それよりもっと問題なのは、他のメディアが朝日新聞をちゃんと批判しなかったことであり、ちゃんと批判できないのは、もともと同罪だったから、ということだ。
 
 そもそも朝日新聞は、上記のような大規模破壊とその背景にある深刻さの追及や、その原因である米軍と日本政府への批判ではなく、観光地でマナーの悪い者がいるという他愛無い話を1面に持ってきて、米軍の水陸両用車に蹂躙された沢山の珊瑚ではなく、ダイバーに落書きされたとする一つの珊瑚の写真をカラー刷りで大きく掲載したのだ。このほうが、カメラマンの自作自演より、よほど報道機関として深刻な問題だろう。
 そして、これは他のメディアも同罪である。だから報道姿勢を批判するのではなく失敗を笑うことしか出来なかったのだ。

 平成元年から日本の言論と報道はこんな調子だったのだから、今も沖縄の米軍が深刻な問題でありつづけても当然だろう。


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by ruhiginoue | 2014-07-22 15:57 | 国際