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by ruhiginoue

ハイジャックして北朝鮮からご挨拶に苦笑

 これは、ある「人権擁護団体」の機関紙の新年号に掲載された広告である。
 赤軍派を名乗る極左過激派が、旅客機「よど号」をハイジャックし、北朝鮮に亡命した事件から45周年であると、当事者たちから新年の挨拶だ。
 
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 これだから「人権擁護団体」ではなく「左翼団体」だと言われてしまうのだろう。

 昨年も、北朝鮮の首都である平壌に在住する三人が原告となって、日本側を相手に裁判を起こしていた。
 日本人拉致に関与した疑いで逮捕状が出ていたが、この逮捕状を撤回し、逮捕状によって被った精神的苦痛に対する賠償をしろ、と請求する訴訟を起こしたのだった。
 その結果、東京地裁と東京高裁とも赤軍派側の敗訴だったが、むしろ問題はこれを支援してきた人たちの体質だろう。

 この裁判について「救援連絡センター」の機関紙上で、支援者の代表をしている井上清志という人が、敗訴で裁判所を批判していたが、ただ判決が気に入らないとし、続けて「怒り。」という、わけがわからない文だった。

 彼は元赤軍派活動家で爆弾テロ事件の元刑事被告人だ。その世代だから、仲間も年齢七十歳前後の老人が多い。
 彼は、この裁判の体験から「国賠ネットワーク」という団体をつくり、国賠裁判に関わる人たちに連帯を呼びかけたが、集まって来た人たちに向かって、左翼運動がらみの公安事件になった者だけがエライという態度をとり、ごく普通の市民が遭った権力犯罪の被害に対しては嘲笑する。
 悲惨な被害者を指さしながら大声でゲラゲラと嗤うだけでなく、時には権力犯罪の被害で身障者になった動きの不自然さに「あれえっ、なあに、やってんだあ」と揶揄したり、女性ならセクハラ発言を浴びせたり、それはそれは、ひどいものだった。

 このうえで、上記の広告の団体と提携し、この他にも周囲には極左過激派の関係者が何人も。
 これに反発する人たちに対して、井上清志は「オウム真理教の信者の裁判も支援しているから良いんだ」と繰り返す。だが、それは、元信者やその子供までが偏見や差別を受けているから、人権侵害として問題にしているのであって、宗教的な共感ではない。
 同様に、北朝鮮との外交問題に便乗し、軍拡や民族差別の口実にすることに対しては、右派も左派も保守もノンポリも関係なく、心ある人たちは反対や危惧をしているのであって、政治的な共感ではない。

 ところが、井上清志と仲間たちは、「北朝鮮のハイジャック犯と拉致容疑者の支援なんて、反感を持たれるばかりで支持が得られないのではないか」と質問される度に「でも、国賠ネットワークの普通の市民の人たちが支援してくれています」と繰り返していた。実は、政治性より人間性を疑うべきほどひどい嫌がらせをしていながら。

 よく、日本の人権状況は先進国の水準ではないと国内外から批判されている。これは、人権擁護運動が実質的に存在せず、これに名を借りた左翼運動があるだけだから、ということも一因だろう。


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by ruhiginoue | 2015-01-21 18:51 | 国際