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by ruhiginoue

『戦場ジャーナリスト』なんて曾野綾子と同じ

 大手マスコミ記者は、いつも「報道の自由」と言いながら記者クラブで垂れ流しばかりであるのと同じことで、大手マスコミから元大手までも含むフリーランスの「戦場ジャーナリスト」たちは、「我々のパスポートを取り上げるなー、我々が国民の知る権利をまもってやっているんだぞー」と言いながら、その「報道」とは「NATO軍記者クラブ」でもあるのかよ、と言いたくなるものばかり。

 そう言えば、医療過誤を自分の売名に利用して医療被害者と医療従事者の両方から嫌われている「自称医療ジャーナリスト」の伊藤隼也だって、B級グラビアアイドルやAV女優の写真集を撮っていたカメラマンだったけれど、「フォトジャーナリスト」としてチェチェン紛争などを命がけで取材をしてきたことがあると自画自賛していた。こういう実態があるから、「戦場ジャーナリスト」が本物かどうか信用できないのだ。

 そもそも、金と暇があれば、誰でも現場には行ける。また、その金がどこから出るかによって、見に行くものと行かないもの、見るものと見ないもの、などが決まってしまう、という問題もある。だから行ったこと自体ではなく、そこでどんな取材をしてどんな結論なのか、が重要だ。行って来たはずなのに変だと批判されたことに対し、行って来たという反論は成り立たない。

 これについて、わかりやすい例がある。
 八六年のことだが、古森義久という右曲がりすぎて毎日新聞から産経新聞に転職した記者が、曽野綾子に怒り右翼月刊誌『正論』で批判していた。
 曽野は古森に、自分の言ったことへ否定的な解釈をされたら「国語力を疑う」と書いた手紙を送りつけたそうだ。そういう不愉快を古森は紹介しながら、現地へ行ったことがあってもわからないことはあるし、その逆もあると指摘した。
 そして古森は、自分はソ連に行ったことが無いけれど、他に判断する材料があるから、それに基づいて書くことができるし、実際に書いたこともあると述べていた。

 こんなことを古森が曽野に言ったのには、ちゃんとわけがある。
 曾野は物見遊山のように外国旅行へ行くのが好きで、その話をよくしているのだが、そのさい、自分は行ったからわかるんだ、という物言いをするからだ。

 それにしてはわかっていないという批判を、他のことでも曽野はよく受ける。
 例えば、曾野綾子が難民キャンプに行ったときの話を週刊誌に書いたら、同様に行っていたアグネス=チャンから批判された。曽野綾子は難民たちの態度が悪いと言うけれど、そんな感じを受けなかったとアグネス=チャンは言う。そして、難民を乞食として見下すようにしたから反感を持たれたのではないか、と。

 これは現場で直接見たのではないし、その場に居合わせたとしても主観的な解釈しかできないので、確実なことを言うのは元々不可能だが、ただ、曾野綾子は自分を特権階級とか上流階級とでも思っているようにして庶民を見下すことを書き、そのさい「乞食」とか「妾」などの表現を好んで使用するから、アグネス=チャンの指摘は正しい可能性がある。

 また、曾野綾子が産経新聞に書いて国際的な問題になった、外国から労働者を受入れて人種別に住み分けるべきというコラムの件。
 人種隔離政策の肯定であると南アフリカ共和国などから産経新聞に抗議があった他、海外の有力メディアからも批判的に取り上げられた。
 これについても、南アフリカ共和国に何度も行っているからわかるというのが曾野綾子の言い分だった。

 先の古森義久という記者は、最初の頃は話題になる記事を発表していたが、次第にその見識を疑われることが増えて来た人ではある。しかし、曾野綾子を批判したさいに説いた物の見方については、もっともだろう。そして、これは「戦場ジャーナリスト」たちにもあてはまる。
 この人たちの「悪しき現場主義」は。要するに曾野綾子がよく批判されていることと同じなのだ。


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Commented by L at 2015-02-23 16:13 x
 こんにちは。”悪しき現場主義”いい表現ですね~。
 私のいた業界でも、本質が剥き出しになる非常に大変な職場で働いた経験があっても”本質”が掴めずにノー・トレランスを振り回す空想的な方々にお会いしたものです。厳罰で思うように行くなら、戦争も革命もありえないでしょうに。逆に、分かる人は苦労しなくてもアプリオリに分かっていたりします。
 戦場ジャーナリストも佃煮に出来るくらい、いますから安田純平(人はいいですが)のように手引きした自由シリア軍のプロパガンダという枝葉を掴んでしまう人もいれば、玉本英子さんのように幹にたどり着く人も稀には、いるんですけどね。彼女は、単純にアサドが悪いので、フリーダム・ファイターたる反政府諸派が政権を打倒すれば平和になり民主化されてみんな幸せになるとは言わない。アサドだから治まっていたので、政権を打倒したら、レバノン~リビアに至る各国のように何十年もどこかが勝ち抜くまで泥沼の内戦が続き何百万の死者が出ると見るわけです。
 先日、「イスラム国前史」という集会で、講師の方が「中東の取材をしている人たち、ニュースを買うマスコミは、かわいそうなところしか取材・報道せず、なぜそうなったのか、メカニズムを取材していない。ファクトをとってこない。日本の中東ジャーナリストで、事態を動かすような報道をした人はいない。(センチメントな運動家ばかりだ)。」と言っていました。まあ、イスラム国関連の彼の話を聞いて正しく本質を掴まえていたかはやや疑問でしたけど。またベトナムやビアフラなどの可哀想な写真が政治の動きをずらす事はありがちでしょう。メカニズムのファクトを取るのは労働審判・裁判で使用者の邪な意図の証拠を労働者側掴むのと同じように難しい。ペンタゴン・ペーパーズとかあるけど、リークだから直ちに取材力というわけではない。NYT日本支局のマーティン・ファクラーは、「世の中を良くしようとおもわない人は、この仕事に向いていない」と言っていますから、ジャーナリストが運動家的なことは自然なことだと思います。報道内容の良否はまた別というか、むしろ熱量が高いほうがいいと思うんですけどね。惑星の運動を観測しているわけじゃないのですから。
 この人は、樋口健二さんや福島菊次郎翁などにも否定的なのかしら?メカニズムも捉えているけど、はっきりと運動家です。まあ、このフリーのビデオ記者も悪い人じゃないのですが。
Commented by ruhiginoue at 2015-02-24 12:45
NHKを批判してる人たちが、あいかわらず「それに比べてBBCは立派」とか言ってて呆れますね。
昔の、「ベトナム戦争でニューヨークタイムズは」とか、「ウォーターゲート事件でワシントンポストは」とか、仕組まれた暴露によるニセ報道の自由に騙されていたころから進歩していません。
また、パスポート取りあげ問題で「ジャーナリストが戦場へ行くから国民は知ることができる」と言っている人たちがいるけれど、今まで、イラク、ユーゴ、アフガン、リビア、と戦争に協力して嘘を垂れ流し続けたマスメディアが、突然シリアには真実を報道するようになるという奇跡が、起こり得るでしょうか。
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by ruhiginoue | 2015-02-23 06:11 | 国際 | Comments(2)