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by ruhiginoue

ETV特集 製作者の人間性の薄っぺらさ

 NHK ETV特集「終わりなき戦い ある福島支援プロジェクトの記録」が、ひどかったという声は、既に関心のある人たちなら聞いているはずだ。
 「地物のマツタケを食べたい」という住民に、例の安斎育郎という「学者」が「食べたほうが良いですよ」とまで言っている姿も映っていた。放射性物質で汚染された食物を食べることを住民が望むなら、少量ならばと、食べることを勧めた。汚染された環境での計測も作業も被曝防護なしで実施した。東電や政府に要求をしても通らなければ住民に自ら対応させた。
 そこまでして住民に追加被曝をさせたい理由が、安斎という人にはあるのだろうが、自分は納得できないという被災者がいたし、仮に自分は食べるとしても他の人にまで食べろと言ってしまうのは変だと感じた人もいた。

 この、キノコ食え、というのは同調圧力で、だから、まるで昔の怖い映画『マタンゴ』だと皮肉ったことがある。

 また、ETV特集を見た某大学先生は、福島の高齢男性らが「偉い先生」から「食べて大丈夫」と言われ「孫に食べさせてしまい、これを嫁は拒めない家庭内権力の構図」を危惧したが、番組製作者から「会った年寄りは自分だけ食べると言った」と反論され「無知に基づく想像だった」と詫びてしまった。「皆が実際にそうだと良いけど」と言うべきなのに。情けない先生である。
 現実として、子供のことを心配して遠くに避難していた家族が、親や舅に嫌々呼び戻されてしまったということがあるし、福島から出て他の土地で暮らしている人たちからは、そういう福島の保守性が嫌だから、原発事故とは関係なく生家を離れて他の土地に出たと言う話をよく聞く。

 こういうことへの洞察が、この番組のスタッフには欠落しているが、それとともに、「福島のリアリズム」などと実質の伴わない虚しい言葉をツイートで踊らせており、ようするに、追い詰められた人々のあがきを、生きる英知と絆のように、後付けの言葉で飾りたてていたということだから、しょせんはその程度の軽い意識だったわけだ。

 そもそも、福島のリアリズムと称し、原発事故に向き合う地元の人たちの苦労と英知を褒める人やテレビに対しては、事故の責任を免罪するプロパガンダであるという批判が出ているが、それとは別に、自分の経験から非常に違和感がある。
 自分の場合、医療裁判での苦労と英知をよく褒められたが、少しも嬉しくなかった。ほんとうはしなくて良い苦労を強いられて人生を浪費しただけなのに、それを何やら有意義な努力をしたかのように納得させようとするからだ。
 
 だから、このETV特集を製作した人の言うことなんかをきいてると、権力によって人生を狂わされ一生が台無しになったというような人間の苦労を、さっぱり理解できない薄っぺらい精神の人なんだな、と思った。

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by ruhiginoue | 2015-04-21 18:10 | 社会 | Comments(0)