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by ruhiginoue

ロシア戦勝記念日と愛国

 ロシアでは、戦勝記念日で首都モスクワの赤の広場は次の日まで余韻が残り、多くの人で賑わい、そこには昔の軍帽や軍服の人も目立ったという。まるで八月十五日の靖国神社だが、それとは違いロシアは勝っているので愛国的な雰囲気が強烈らしい。
 そのうえ、最近のロシアは「ソ連崩壊」の混乱から立ち直り、プーチン大統領の強気の政治姿勢も受けている。このため歴史からソ連の負の部分が忘れられそうな雰囲気でもあるらしい。ウクライナ危機も愛国の傾向をさらに加速させているようだ。

 これで思い出すのが、プーチン大統領がソ連国歌を復活させた当時のことだ。この国歌は、日本ではビデオゲームの名作「テトリス」でハイスコアーを出した時に鳴る旋律としても有名だろう。もとは旧ソ連で教材としてのハズルとして考案されたものだからだ。
 この国歌の歌い出しは、もとは「ソユース!」だった。これはロシア語で「連邦」という意味だが、歌詞はソビエト連邦を指しているので、今はロシア連邦だから「ロシア!」と歌い出す歌詞に変えられている。
 このように歌詞を変ればいいとプーチン大統領が言い出した時、反対の声もあった。特に文化人から。その一人が世界的に有名なチェリストのロストロポーヴィッチ氏だった。
 彼はかつて、サハロフ博士を擁護する発言をした。サハロフ博士は若くしてソ連科学アカデミーの会員となるなど天才科学者の名声を欲しいままにし、水爆の開発の功績から英雄と称されたが、これで欧米に対抗する軍事力を得られたのだから、あとは軍縮交渉をするべきだと主張したため迫害された。これはアメリカのアインシュタインやオッペンハイマーと共通している。
 ここでロストロポーヴィッチ氏は、サハロフ博士に同情し擁護したことで、ソ連当局から政治的な圧力を受け、非常に不愉快な思いをしたという。だから、こういうことが横行していたソ連で作られた国歌を「いくら歌詞を変えても、起立して歌う気になれません」と言った。

 彼ら著名人は名士でありスターだから、あの「モスクワ名物」と皮肉られた食品店前の行列に加わらなくても良かった。しかし、自分がよくても、軍拡が庶民の暮らしにしわ寄せとなる政治を批判したのだった。
 ところが、行列しなければならなかった一般庶民がプーチン案に賛成した。そんな細かくて難しいことはわからないが、単純明快なことならわかる。「オリンピックの表彰式で、アメリカの国歌と吹奏回数を競っていたのを思い出して、誇りと愛国心で胸が熱くなる」と言って支持したのだ。

 これと同じことで、日本でも、左翼とかリベラルの人たちはもちろん、そうではない穏健で良識を重んじるインテリといわれる人たちまでもが、「日の丸・君が代」を問題にしているけれども、これが庶民には共有されないのだ。


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by ruhiginoue | 2015-05-12 19:10 | 国際