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by ruhiginoue

犯罪者を守る国だから軍隊の責任を問える

 先日、戦争反対で人権反対の芸人たちについて述べ、このような人たちは行き当たりばったりで語るから不見識を露呈させるという話になった。
 ただ、こういうことは一般的にわかっていない人が少なくない。

 これは前に、アメリカ海軍の潜水艦が日本の水産高校の実習船と衝突して沈没し死者を出した「えひめ丸事件」にも反映していた。
 事件があったさい、当時の森総理はたまたまゴルフをしていて、知らせを聞いてすぐに駆けつけるのではなくゴルフ場に留まっていたから、よほどゴルフが楽しかったのだろうと皮肉を言われていた。その様子をキャディは見ていたと週刊誌に騒がれていた。
 その後、アメリカは事故の責任を明らかにするため、艦長を裁判にかけた。この結果、艦長の指揮に難があったとし、ワドル艦長は名誉除隊(日本でいう引責辞任。懲戒免職なら不名誉除隊)となった。
 この裁判が始まるという時、知らせを聞いた遺族は、テレビのインタビューで、「アメリカは犯罪者を守る国だから」と言って裁判が被告に甘くなるのではないかと危惧していた。

 しかし、そもそも、軍隊の責任を追及できるのは、犯罪者を守る国である。どちらも権力を抑制することであるから、同じことであり対立することではない。
 もちろん、潜水艦の事故は、あくまで現場の責任ということだから裁くことができた、ということではある。ベトナム戦争の「ソンミ村虐殺事件」では、責任者のカリー中尉をニクソン大統領が有罪判決に対して政治的に免責を与えてしまった。これは最終的な指揮者にあたる大統領にも責任が及ぶ可能性があったからであると指摘されている。
 そういう問題や限界はあるが、だからこそ公的機関とくに軍隊の不祥事を追及できる国かどうかは、権力の暴走をどれだけ抑えられる国になっているか、ということにかかっているのだ。

 このような、ごく当たり前の仕組みを、まるで理解していない人がいる。それが芸人や一般庶民だけでなく、記者や弁護士や裁判官や法学部教授などにもいて、わかっていない者もいるが、わかっていて無視するたちの悪いやつらまでいるから始末に困る。


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by ruhiginoue | 2015-11-07 07:35 | 社会