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by ruhiginoue

ピアノと住宅事情

 前にブーニンの話をしたが、彼は日本で人気が出て来日したさい「赤旗まつり」のステージにもゲストとして出演し、得意のショパンを演奏していたことも思い出す。曲は『英雄』だったが、これはポーランドがロシアに抵抗する曲だと司会がわざわざ解説していたので、当時ソ連共産党と険悪になっていた日本共産党の当てこすりではないかとも言われた。
 
 また、ブーニンは日本の電子ピアノが便利だと買って帰ったとも言われてる。これは住宅事情の良くない日本ならではの発明であった。

 七十四年に、川崎の団地で、小さい女の子が近所迷惑もおかまいなしでピアノを弾き、そのくせ子供の母親がよく「いま子供が昼寝をしているので静かにしてください」という張り紙をドアにしていたから、同じ棟の別の部屋に住む男性が怒っていて、ある時ついにブチ切れてしまい、文句を言いに押しかけて、その勢いで子供と母親を殺害してしまった。
 そのあと自殺を図ったが死にきれず逮捕され、死刑判決を受けたものの精神状態から責任は問えないという鑑定結果となり、裁判をやり直すべきということになったけれど、もともと自殺するつもりだった被告は死刑判決を受け容れ確定させてしまったので、どうすることもできず執行されない死刑囚として最長記録となったのだった。
 これは「ピアノ殺人事件」と騒がれ、住宅の貧困な日本を象徴するものとされた。

 そんなこともあったので、電子ピアノに弱音ペダルというものが作られ、まさに「必要は発明の母」ということだった。
 高橋悠治はプロだが自宅にはピアノが置いてないことを誇りとしているそうで、確かに、ピアノはかさばるし音も大きいし高価だから、公共の場に誰でも好きな時に使えるくらい置いてあることがノ望ましいのではないか。
 高橋悠治と一時は喧嘩したが仲良しであった武満徹は、売れないころにピアノを欲しくても変えなかったので、音が聞こえる家を訪ねて使わせてくれと頼んでいたそうで、その話を聞いた黛敏郎が大いに同情し、自分のピアノをあげてしまったという。
 
 昔、自分が持っていたピアノはバイトして古いものを買ったので弱音ペダルが無く、転居するとき運賃ばかりかかるから処分して買い換えようと思ったが、しかしペダル二つのピアノはもう中古でも売れないと言われ、それで近所の小さい女の子にあげてしまった。
 高低調整の椅子と、カヴァーは暖簾と同じで冬用とは別に夏用のレースの涼し気なものと両方をつけて。年に一度は調律をとご両親に念を入れたのだが、そこがやや心配だった。
 本人と同じくらい喜んでいたのがその子のおばあちゃんで、孫娘はお稽古に通うようになったが、おばあちゃんも見よう見まねで弾いていると言う。良かったと思った。
 ただ、前にもこの話をしたと思うが、そのさいのおばあちゃんの話は、ピアノ教室にもお茶や生け花などのような流派があると思っていて、そのつもりで「ヤマハ」と言うのだった。時々思い出して可笑しくなってしまうことだ。


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Commented by ケーキイーター at 2015-11-15 19:36 x
 ピアノを含めて、音楽に「流派」ってあるんですか? (とマジで質問しているケーキイーター)
 ちょっと自分で考えてみた。いわゆる西洋音楽には無い、とか。日本の、例えば「琴」にはあるのかな、とか。そうしたら、アフリカ辺りはどうなのかな、とか。
 やはり「発明は必要の母」ですね。悲しい話だね。
Commented by ケーキイーター at 2015-11-15 21:53 x
 また間違えた~。「必要は発明の母」だった~。しょうのない話だ。
Commented by ruhiginoue at 2015-11-16 17:13
流派みたいだけど実質な学閥とか家元というものですね。
あと、先生の音大教授が、発表会を開いたら、弟子らはチケットをどれだけ捌くかで評価されたり。自民党の派閥のパーティー券みたいに。
Commented by ケーキイーター at 2015-11-19 21:29 x
 音大生が下宿するアパートって防音対策がかなりしっかりされているって、本当ですか?
Commented by ruhiginoue at 2015-11-20 08:52
防音を売りにしている集合住宅は、あります。
それで思い出したけど、埼玉県で「音大生むけマンション」と謳い、防音設備しているのを宣伝していたけど入居者が集まらなくて、普通のマンションとして貸し出しのがあります。
埼玉県にある武蔵野音大は山の中だから、無用だったようです。
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by ruhiginoue | 2015-11-15 18:50 | 音楽 | Comments(5)