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by ruhiginoue

山崎雅弘のデタラメ発言

 歴史の研究家を自称する山崎雅弘という人は、いちおう進歩的な立ち場から発言をしているが、その中身はかなりひどいものだ。彼の著書を読んだら典型的な「司馬史観」だったという指摘があり、また、NHKを批判する内容はいちおうごもっともだが、それに比べてBBCはエライとか言うのでずっこけてしまう。
 しかし、デタラメを書いて特定人を中傷することは、単に意見の違いではすまされない。著書の内容を正反対にして紹介して誹謗しているのだ。 
 
 山崎雅弘は、ちいおう歴史修正主義を批判しているが、そうしながら朝日新聞に連載されて後に単行本となった本多勝一記者の『中国の旅』を、中国側の話を鵜呑みしたような記述が多いので歴史修正主義者たちに突っ込まれているとツイートに書いていた。

 まるで事実と違う。本多勝一は同著でもその他の著でも繰り返し書いているが、あの当時の日本では、大本営発表のように軍の広報であったり、在野の新聞でも権力の統制下にあったり、ということで武勇伝ばかり垂れ流されていて、これとは異なる証言や報道があっても弾圧されたり圧力がかけられたりして発表できなかった。
 そこで、それに対して外国からの証言として中国人の証言を現地で得て、また日本人からの証言も元兵士や従軍記者などから得て、これらは内容的に一致しているから確かであるという話だ。
 そもそも中国などへ戦争に行った元日本兵たちが、一部は罪の意識を持っていたけど、だいたいは悪いことしたとは思っておらず、殺人や強姦を武勇伝として自慢していた。そういう話を爺さんたちが威張って話していて、みんな聞いていた。これに対して、被害者からすればとんでもないことだったと本多勝一の『中国の旅』さらに『南京への道』が聴き取り調査して告発した。
 そして、同じ事実を異なる視点から観ることでより本質に迫れるという趣旨だから、対立する言い分の片方だけをただ紹介したのとは全然違う。

 また、中国の庶民が日本軍の暴虐を様々に証言しながらも、しかし戦争は過去のことだからこれからは前向きになろうとか、戦争中は苦労したが今は平和になってよかったとかいう態度で、最後は必ず異口同音に取って付けたように、これもすべて中国政府と中国共産党と毛沢東主席のお陰様であると言い添えるから、明らかに中国政府の意向を気にしているし、もしかすると言わされているのだろうと明記している。

 こうした、中国の庶民の証言に最後は必ず付け加えられる空々しいほどのお世辞について、本多記者は、記録だからそのまま収録したと断り書きし、そうすることで中国政府を直接批判するのではなく、逆に意向のとおりにした形をとり、これによって中国の政府と庶民との乖離や齟齬を浮き彫りにしている。
 つまり、中国政府の公式見解と今後の外交方針とは違い、中国の庶民がほんとうに語りたいのは生々しい戦時中の記憶のほうであるということが読者に伝わってくる。

 そして最後の衝撃となる。
 本多記者は帰りぎわに、日本の新聞記者が戦争の取材に来たと聞いた老人が走って来て、駆け寄ると当時に戦火で負傷した手の変形した指を、無言で突きつけられる。
 これが『中国の旅』の凄まじさだ。だから、同じような記事本は他にもあるのに、特に注目されて、攻撃もされたのだ。
 
 それなのに、ということだ。一見は進歩的な発言をしている人が実は無茶苦茶というのは、珍しくないのだ。

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by ruhiginoue | 2015-12-23 17:30 | 社会 | Comments(0)