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by ruhiginoue

ソクラテスはなぜ死んだか

 昨日、オオカミ少年の寓話は曲解されているという話をした。
 悪戯のつもりで嘘をついて騒いでいたら信用されなくなってしまったというのは嘘の解釈で、ほんとうの意味は、狡猾な者は簡単に姿を見せないという意味だ。
 
 その本来の解釈に基づいているのが『ウルトラセブン』の「円盤が来た」という挿話だという例も紹介したが、これは実相寺昭雄監督の相変わらず奇をてらった演出のため、テーマが十分に伝わっていなかった。
 ここで、宇宙人が少年に化けて現れるのを名子役の高野浩之がふんしていた。のちに『謎の転校生』や『超人バロムワン』の活躍でも知られる。成人してからは時代劇に刀さして髭生やして出演していたりする。

 この高野浩之は『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣少年の復讐」で公演し、その演技を山際永三監督が称賛していた。山際監督は高野君が『ウルトラセブン』にも出演していたことを意識していなかったから、演技力だけでの起用だった。
 しかし意識したキャスティングではなくても、「怪獣少年の復讐」も主題は同じだ。列車転覆事故の原因を運転手の誤操作が原因だとされたことに対し、父親の職場を訪ねていたため目撃していた小学生の息子は、怪獣が出たと証言する。しかし父親をかばうための嘘で、子供だからそんな話をすると決めつけられて「オオカミ少年」ならぬ「怪獣少年」と言われてしまう。
 それでひねくれてしまった少年は「ジャンジュネ論」のように意識して嘘をつくようになる。

 この「オオカミ少年」の他にも、曲解の有名な例としては、ソクラテスが哲学問答したことで社会の風紀を乱すとして死罪となった話がある。
 このことについて、彼が逃亡せず処刑されたことを、彼は信念に殉じたとされてきたのに、日本だけは勝手に違う解釈がされ、「悪法も法なり」と彼は言って自ら毒杯を飲み干したのだから、納得できなくても権力に従うべきだという話にしてしまった。
 
 この曲解の仕方は、オオカミ少年と同じである。尊厳と自覚を持たなければならないという話を、従順で隷属するべきだという真逆の話に変えてしまう。

 こういうことをさせるのは、いったい誰なのだろうか。


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by ruhiginoue | 2016-02-20 17:42 | 社会 | Comments(0)