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by ruhiginoue

マイケル ダグラスの発言と主演『ブラックレイン』

 先日、アメリカの俳優マイケル ダグラスが日本の原爆禍に言及したそうだが、彼の父親カーク ダグラスは盟友のバート ランカスターとともにアクションスターであると同時に反骨の人であった。
 その影響を受けているので、例えば原発を告発した『チャイナシンドローム』の製作に加わり出演していた。

 マイケル ダグラスの主演作に『ブラックレイン』がある。これはSFみたいな刑事ドラマだった。監督はリドリー スコットで、その前にSFの刑事ドラマ『ブレードランナー』を撮っていた。音楽はシンセサイザーのヴァンゲリスで、悪役に扮したルトガー ハウアーが印象的だった。
 ルトガー ハウアーはその前に『ナイトーホークス』でテロリストに扮し、シルベスター スタローン扮する主役の刑事を食ってしまったと言われた。音楽はキース エマーソンで、これもSFみたいな刑事ドラマと言われた。

 SFみたいな感じがするのは、ヨーロッパからアメリカに潜入したテロリストは手術で顔を変えて執刀医師を殺害しているため人相が不明という設定のためだ。日本でも逃亡犯が手術で顔を変えていたという事件があり、この映画を連想させるということは拙書『華麗なる美容外科の恐怖』でも写真入りで言及したとおり。

 『ブラックレイン』は、アメリカで殺人事件を起こした日本人ヤクザを追う警官の話で、大阪を舞台にマイケル ダグラス扮する刑事が高倉健の扮する日本の警官から協力を受けて捜査をする。そのヤクザに扮する松田優作の凶暴そうな演技が話題となり、名優ロバート デニーロが共演したいと言うなど国際スターへのきっかけとなったが、そこで病に斃れたのだった。

 この映画の題名は井伏鱒二の小説『黒い雨』と同じで、空襲の後に舞い上がった黒煙のため黒い雨が降るという意味だ。ただし原爆ではなく大阪の空襲である。
 この思い出を語る若山富三郎の扮するヤクザの親分が、戦争で破れた日本にアメリカが自由とか個人の尊重などの価値観を押し付けたので、あの松田優作の扮する佐藤のような仁義もなく利己的な日本人が発生したと、まるで今話題の「日本会議」のようなことを言う。

 それに対する回答として、マイケル ダグラス扮するアメリカ人の刑事は、佐藤を追い詰めて射殺することもできたのに、同僚を殺害されて憎いのだが、その気持ちを抑えて生かしたまま逮捕し手錠をかけて日本の警察署に連行すると、法の適正な手続きに則り被告人の基本的人権を尊重して裁判を受ける権利を行使させる。
 これができなかったから、日本は軍国主義に走り戦争で敗北したということだ。

 この意味が理解できなかった観客もいた。主人公が人道的な行動をとっただけなら、わざわざほんの一場面のセリフ一言が題名になるわけがない。この要点を捕らえ損なうとドラマの本質が解らず面白さが半減してしまう。

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by ruhiginoue | 2016-05-17 12:00 | 映画 | Comments(0)