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by ruhiginoue

金を受け取らない名弁護士たち

 手塚治虫は子供の頃、戦争から帰ってきた父親が苦労話をすると、腹が減って食べるものなくて、と言いながら肉を食べていたと言うので、逆に贅沢してるじゃないかと思ったけど、記録映画『ゆきゆきて神軍』を観て、もしかしたらこのことじゃないかと思った、と書いていた。

 うちの祖父は戦争に行ったことがあるから軍人恩給をもらっていた。怪我もせず無事帰国したが、よほど壮絶なことがあったらしく、性格がすっかり変わってしまったと家族に言われていた。その娘である母はビデオで『ゆきゆきて神軍』を観ると、「お爺ちゃんに見せてはダメ」と厳命したのだった。

 『ゆきゆきて神軍』に遠藤誠弁護士が出てくるが、奥崎謙三の他にも永山則夫や帝銀事件の平沢貞通、NHKを訴えた東郷健、反戦自衛官、どぶろく訴訟、などの裁判を引き受け、弁護士報酬を受け取らず大変熱心であったと当事者から直接聞いた。
 金のためだから責任を持ち熱心にやると言う弁護士もいるが、金のために汚いことをする弁護士もいるし、金を取らずに熱心な弁護士もいる。

 ただ、遠藤誠弁護士はもともと民事と商事に強く会社の顧問もしていて、金のための裁判だと負けたことが全くないから稼いでいた。それで反権力反体制傾向が強い裁判で、趣味のようなもんだからと金を受け取らず、労の大きい仕事なのに張り切っていたそうだ。

 大学で世話になった法学部教授も、法学者である傍ら弁護士として研究と実務の二足のわらじをはき、大学から給料もらってるからと、刑事事件の弁護で依頼人から金を受け取らなかった。八王子にあったころの地裁支部でバッタリ再会し、予定を変更して傍聴した思い出がある。
 この先生が言うには、働き盛りの年齢の弁護士たちが金儲けに走らずに刑事弁護を熱心にやれば、下手に制度をいじくる司法改革よりも冤罪が減ると言っていた。

 だから橋下徹弁護士も、タレントで稼ぎながら、労力ばかり多く利益は乏しい刑事弁護をひきうけたりしてれば立派な弁護士だったんだろうけど、そういう安田弁護士らを逆に検察側にくっ付いてテレビで誹謗してたりする。
 しかも、そんなことしてるお蔭でポピュリズムに乗っかって政治家になっちゃったりする。それが日本の現実である。
 
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Commented by ケーキイーター at 2016-08-18 21:41 x
 ベトナム戦争後のアメリカでも、帰還兵が色々と嫌な目に遭ったんでしょ。映画の『ランボー』を見て、「こりゃ自分たちのことを描いているー」って思ったらしいから。
 お師匠さんのお爺さんも似た様なトラウマ抱えちゃったのかな。どこの国の戦争でもそんな事が起きているんだろうな。
 シャーロット姫の叔父さんもそんなことにならないといいんだけど。彼に限らず。
Commented by 王子のきつね at 2016-08-19 09:40 x
 父方の祖父は、昭和天皇と同じ歳だったので、戦争が厳しくなる頃には除隊し、製紙会社の社員として満州や中国で仕事をしていた。兵隊にいたころから、たいへん器用だったので、教育を受けたわけでもないのに大砲の修理ができた。将校たちは、祖父に大砲の修理をしてもらいたくて、賄賂をもってきた。だから、上等兵だったのに、ひじょうに厚遇されたと言っていた。
 そんな祖父も、日中戦争に動員されたときは、中国人から豚を盗んだ話とか、惨殺された敵兵の遺体が川を流れてきて川が血で真っ赤になっていた話をしていた。最晩年に認知症になり、うわ言で「首が飛んだ」と叫んでいたそうだ。
Commented by ruhiginoue at 2016-08-19 16:01
 ベトナム戦争では、虐殺事件を起こした兵士が罪の意識から悩んでいるのに、政治家はそれを隠し、一般大衆が「東洋人なんて殺して何が悪い」と言って、よけいに苦しめたそうですね。

 奥崎健三も晩年には認知症の疑いがあり、言動が変だったことを遠藤弁護士も著書で述べてます。
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by ruhiginoue | 2016-08-18 16:37 | 司法 | Comments(3)