海自の哨戒機P1
2016年 11月 17日
海上自衛隊の哨戒機P1が初の海外訓練に出発したという報道で、ニュージーランドがらみということから、最近では同国に不信感をもっているので良い印象ではなかった。
それはともかく、これは前にも日本で作ろうとしていたのに、田中内閣がアメリカの圧力を受けてロッキード社から買うことになったという過去がある。そのロッキードP3Cは、旅客機の機体を基盤としていて、そこにレーダーなどパトロール機としての装備を施したものだった。だから日本の航空機に基づいていても特に変わりはなかった。
なのにアメリカから買えと言われて田中内閣は従い、それでロッキード社から買うことになり、裏で金が動いたのではないか、対潜哨戒ではなく対銭紹介じゃないかと皮肉られ、さらに旅客機で「ロッキード疑獄事件」があり、これで田中角栄総理は後に逮捕までされている。だから、今また田中角栄リバイバルブームで、失脚はアメリカの陰謀だと言われているわけだ。
そして、前にアメリカに屈した日本政府のため悔しがっていた川崎が中心になって国産品を作ったということだが、他にも航空自衛隊のF2を日本で作ろうとしたらアメリカと一緒にF16を改造することになったことがあるので、もう事情が変わったのだろうかと思った。
それで、P1の開発には携わった人たちが大勢いるので、その一人である自衛官(当時)に尋ねたところ、F2の時には背景に日米貿易摩擦があったのでアメリカがとやかく言って来たのであり、その後はやはり事情が変わっていて、そして日本が独自にP1の開発をできたということだった。
また、エンジンと機体は別、機体でも胴体と翼は別、というように、部品による会社の得意分野から、別々の会社が作ったものが合わさっていて、その統括も開発にさいして重要な仕事だったということだ。
これは、アメリカでも部分的にボーイングだったりロッキードマーチンだったりするし、ロシアでもスホーイだったりミグだったりするようなことだろう。
そういうことで完成したP1は、今は普通に飛んでいるようだが、前にできたと思って飛ばそうとしたら機体がボキッみたいなことがあって、あの当時はその自衛官の奥さんが「夫は今たいへん」と言っていた。
このように、設計どおりにちゃんと作れたかは大変な心配だが、そもそも設計が大丈夫なのかということも心配になるという。
その話のとき、余談だがF14はF15より設計的には完璧だったが、設計が完璧だと余地が無いため目的を果たしたら用済みになってしまうという、よく語られることを訊いてみたところ、「たしかに、F14はもう全部退役したけど、F15は改造しながら今でも使っている」ということだ。
これについて、人間もそうではないか、人生設計に欠陥がある者のほうが、長く活躍できるのではないか、と考えたのだった。
by ruhiginoue
| 2016-11-17 18:39
| 国際