墓と血統(西部劇ではない)
2016年 12月 08日
キューバ政府は、先月25日に90歳で死去したフィデル・カストロ前国家評議会議長の遺言を尊重し、その名前を道に冠したり、像を作ったりといったことは行わない方針を発表した。
そういえば、レーニン廟を作るという時、未亡人は「そんなものより学校や病院を作ってください。その方が国のためだし、夫だって喜びます」と言ったけどスターリンに無視されたそうだ。だいたい、当人より取り巻き連中が威光を利用しようとするのが相場だから、そんなことするなと遺言したのだろう。
日本では、天皇が火葬を望んでいるということが話題になった。それまでは、遺体を荼毘に付さず棺桶に厳重に封をして墓所に収めていた。これは墓を暴かれないようにということだ。中国では、満州人の皇帝がいたけれど革命で中国人が取って代わり、そのさい西太后らの葬られた墓所が暴かれ棺桶がひっくり返されて、まだ肉の付いた骸骨が散乱したという無残なことになった。これは身に着けていた高価な装飾品などを一緒に入れておいたから、それを目当てに墓荒らしされたようだった。
この墓荒らしのことがあって、後継ぎの愛新覚羅溥儀は中国人に不信感を持ち、日本が傀儡の満州国をつくるという計略に協力し、その責任を戦後に問われ、結局は普通の市民となって死後は火葬された。この辺りは映画で有名だが、映画にも出てくる英国人家庭教師ジョンストンが綴った『紫禁城の黄昏』を読むと、映画より面白いくらいだった。
ところで、もう一つ話題になった天皇の希望すること生前退位だが、有識者に意見を訊いたというのに何でそこに韓国のキリスト教もどきカルト・統一教会のシンパが混ざっているのかと大いに疑問な人選の渡部昇一上智大学名誉教授は、天皇の生前退位に反対したうえ天皇の意思より皇室典範が大事だとか言ったけど、その前には女性の天皇について反対して、大事なのは畑ではなく種だと言った。こういう人が一定の支持を受けてるのだから、同じ発想の判決も裁判で出るはずだ。
それは、タイ人の子供として日本で生まれ育った16歳の少年ウォン・ウティナン君が、「強制退去は不当だ」と国を訴えていた裁判のことだ。東京高裁の812号法廷で小林昭彦裁判長が「原告の請求を棄却する」と判決を読み上げると、傍聴席からは「ひどい」「恥を知れ」と声が上がった。日本で生まれ育ち日本語を使ってきてタイには行ったことがなくて言葉もわからないというのに、親がタイ人だからタイに行けば良いので日本から出ていけということだ。
この発想から、蓮舫議員があのように言われたわけだ。
by ruhiginoue
| 2016-12-08 17:27
| 国際