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by ruhiginoue

プーチン大統領の訪日と愚かな批判をする人たち

 巌流島の決闘で「遅いぞ武蔵」と佐々木小次郎は言ったが、遅れて来たのは相手をじらすためで、小次郎は宮本武蔵に負けて死んだ。時代劇では有名な話だが、ほんとうは武蔵が弟子たちと一緒に小次郎を殺したともいわれている。
 それはともかく、訪日のプーチン大統領が遅刻して来たのはわざとではないかと憶測されていて、それがどう影響したかは不明だが、安倍総理は手玉に取られているのではないかと言う人たちがいる。

 しかし、安倍総理がアメリカにペコペコしてたのに今度はロシアにペコペコしてると言って非難してる人たちがいるけど、別におかしくない。トランプが大統領になるのだから。それでトランプに挨拶に行き、そのトランプが好意的といわれるプーチンと握手する。当たり前だ。何がおかしいのだろうか。

 また、シリアのアレッポは政府軍により陥落という報道で、反政府勢力は投降や撤退ということに付け加え、捕らえられ殺害される者もいそうだと言われていたが、その見出しが「虐殺か」になり、さらに「アレッポの虐殺」という観念に変わり、独り歩きし、やったのはプーチン、握手する安倍けしからん、と発展する滑稽な反応がネット上では見られる。あくまでネット上でのことで、単純な人たちの発言でしかないが。

 だいたいシリアのアサド大統領と日本の安倍総理はよく似てる。親の七光だったことや、国内で少数が多数を制するために国外の強い国になびくやり方とか全く同じだ。違うことといったら、アサドは学校の勉強ができたけど安倍は駄目だったというくらいのことだろう。もっとも、プーチンがジャイアンならアサドはスネ夫で安倍はのび太だという指摘もあるが。
 それでプーチン大統領は、アサド大統領と同じように安倍総理にも取引を持ちかけ話に乗せる。そもそも外交はそういうもんで、駆け引きなのだから当たり前のこと。なのに安倍がプーチンとヘラヘラと握手してシリアの事は何も聞かないのかとケチつけても、安倍とアサドは同じ立場なんだから、そんな話になるわけない。
 
 これは外交だから駆け引きであり、普段からも駆け引きは必要で、これができないとロシアでは昔から「かぼちゃの頭」と揶揄される。中身が詰まっていないということだ。
 そもそも、プーチン大統領が名をあげ政界入りのきっかけとなったチェチェン紛争は、彼の徹底強硬策のため地元で数万人、ロシア側の兵士も千人くらい、悲惨な被害が出たけど、混乱を収束させたし、もっと長引けば遥かに多くの犠牲が出た。だから評価されたのだ。
 なので、シリアでの強硬策でも内戦が長引けばもっと犠牲者が出ると彼は言うはずで、情緒的に非難してる連中は、まず反論できまい。

 しかも、爆撃が続くシリアの街からTwitterで「最後メッセージ」を投稿した人のうち「今この瞬間に生きている人は何人いるんだろう」とか言っている人たちがジャーナリストにまでいるけれど、それ以前に、そうしたアカウントに本物はどれくらいだろうかと疑ってみてみる必要がある。そもそもシリアの内戦のもとになる混乱もFacebookのヤラセがきっかけで起きたのだから。

 ところが、もともと安倍総理に批判的な人たちの多くが、そうした愚かさを露呈させている。まず、ロシアの後押しするシリアの強硬策に「アレッポの虐殺」などと英仏製プロパガンダを受け売りしてしまう愚。次に、沖縄の米軍基地問題を批判しながら同根である世界各地の紛争で米国側に立つ愚。そして何より、駆け引きを理解できず、現実的で実効性のある対処を提言すら出来ず、ただ情緒的に戦争批判して自己満足する愚。これが日本の左派やリベラルの致命傷だ。
 もっとも、こういうことについては、いつも現実主義者を気取りながら平和主義者を批判する右派とか保守派すら、満足に批判ができない。

 それは相変わらずなので、むしろ飽き飽きしている。それより気になるのが、ロシアが日本に持ちかけると考えられている取引だ。日本は原発事故があり、さらに再稼動までするので、放射性廃棄物の処分が飽和して行き詰まりが目前だから、それをロシアが引き受けてシベリアに貯蔵してやるということだ。
 そして人が近寄りにくい永久凍土に、さしずめゴジラの氷漬けのようにして置くという話であり、これに日本は飛びつくだろう。映画でゴジラを氷漬けにして当分は動けまいとなったが「これで費用を使い果たして、来年度の予算が無くなった。もっとも来年度があればの話だが」というセリフがあるけれど、後先を考えている余裕の無い日本は、アメリカの大統領もプーチンに好意的なトランプになることだしチャンスだ、ということでロシアから持ち掛けられたら乗ってしまい、これで領土問題はお終い。原発のせいで悲願の北方領土返還はなくなる、という予想だ。
 はたして、どうなることか。



by ruhiginoue | 2016-12-16 16:33 | 国際