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by ruhiginoue

『沈黙』と三浦朱門の死

 映画化で話題になっている『沈黙』の原作者である遠藤周作はキリスト教徒で、その縁から三浦朱門と親しくしており、信仰だけでなく政治的にも一緒になって右翼同人誌を発行してたりする人だったので実際に右曲がりの言動があったけれど、映画化と作者は違うことがある。

 この映画のマーチンスコセッシ監督は前に『最後の誘惑』という映画を撮っていて、デビッドボウイがピラト総督の役で最後に出て来るなど異色の出演者で話題となったが、それと同時に、福音書に基づいた話なのに勝手な脚色がされているという宗教界からの批判があった。
 そして今度の『沈黙』も独特な解釈だという指摘がある。スコセッシ監督は自身がカトリック教徒だとし、だから『最後の誘惑』の脚色も善意だと言っていた。

 なので、また映画化と原作者とで違うということが言えるが、ただ、遠藤周作は三浦朱門と親しかったけれど、そんなに露骨な発言は無かった。三浦朱門は文化庁長官として民間入閣した在任中に、女性を強姦する体力がない男性は失格だと雑誌上で説いたため、下品な表現と女性蔑視の発想が問題になったが、この他にも、外国の危険な所に自衛隊を派遣して自衛官の身に何かあったら改憲のために利用する犠牲にしようと発言するなど、政治性より人間性を疑われる発言が目立った。

 こうした三浦朱門の発言は夫婦お揃いだということは周知のとおりで、しかし曾野綾子のほうは人種隔離政策推進発言で国際的に顰蹙を買うなど、妻のほうが夫よりやや凶悪さのスケールが大きかった。
 これについては、それよりずっと前から指摘があり、例えば筒井康隆の『文学部唯野教授』(岩波書店)で、三浦朱門は小説が売れなくなり、曽野綾子が売れているから妻のおかげで知名度を保っているという意味の記述をされていた。
 そして死んだらやはり「作家」「妻は曽野綾子」と新聞の見出しになった。

 三浦朱門は認知症で介護が大変だったらしい。だから曾野綾子が「老人は適当な時に死ぬ義務がある」と書いて、これは暴言だという批判とともに、あれは自分が夫のために苦労しているという意味ではないかと指摘されていた。
 そうかもしれない。だから、やっと解放されたということで安堵し悦んでいるのではないか。そうでないと、もしも他人に対してあんな心無い言葉を吐いたとしたら、それこそ人非人である。よほど苦労して、つい言ってしまっったと善解しておくべきかしれない。



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Commented by ケーキイーター at 2017-02-06 20:38 x
 そのうち、二人とも煉獄で会えるでしょう。わーっ! 私、とんでもないこと書いちゃった~。
Commented by ruhiginoue at 2017-02-07 17:46
中川信夫監督の『地獄』か、ダリオ・アルジェント監督の『インフェルノ』みたいなことに。『インフェルノ』の話はむちゃくちゃだったけどキースエマーソンの音楽は良かった。
Commented by ケーキイーター at 2017-02-07 20:35 x
 情けない話だが、どちらも未見。すまぬ。
Commented by ruhiginoue at 2017-02-07 22:06
https://www.youtube.com/watch?v=7M6hOLc0xOQ
インフェルノ
Commented by 王子のきつね at 2017-02-08 11:21 x
 認知症の介護は、自分でやるとたいへんだが、プロに任せれば楽である。
 父に認知症状が出たときは、自分で介護をしたが、すべてに不慣れだったこともあり、イライラしっぱなしだった。昨日までできていたことができなくなったときのショックとか、この先どうなるんだろうという不安とか、とにかくたいへんだった。その父親が、肺炎になり、病院のICUに1か月入院して亡くなった。わずか半年間の介護だったが、安堵感はハンパなかった。しかし、不思議と早く死んで欲しいとは思わなかった。
 現在、伯母が認知症で、施設に入っており、父に代ってキーパーソンを引き受けた。ケガや病気で病院に連れて行くのはたいへんだが、そうでないときは大した負担ではない。子どもでもないのに、「母の日」に感謝の手紙を書いて、みんなの前で読み上げるのは、正直、面倒くさいが…。
 金持ちの場合、自宅介護でも、優秀な介護スタッフを雇うことができるので、文字どおり「自分の手を汚さず」に介護することができる。しかし、目の前に要介護老人がいることに変わりないので、そのことへのイライラはなくならないだろう。でも、「老人は適当な時に死ぬ義務がある」と発言するのは、やはり曾野綾子氏の人間性だと思う。
Commented by ケーキイーター at 2017-02-08 20:40 x
 字幕が無いけど、時間を作ってボチボチ見ることにします。ありがとう。
Commented at 2017-02-08 20:44 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ruhiginoue at 2017-02-08 21:30
英語が聞き取りやすいし、大したセリフは言ってないので、音楽だけ聴ければよいのです。
キースエマーソンはオーケストラを利用してみたいけどバンドの財力ではきついので映画の製作費から出してもらえるから引き受けたと言っていて、しかしオーケストレーションは詳しい人から協力を受けたそうで、Xジャパンのヨシキは自分でできるように勉強していると言っていたけど、その後はどうなったのでしょうね。
by ruhiginoue | 2017-02-05 17:10 | 映画 | Comments(8)