産経新聞が曲解した宇宙戦艦ヤマト
2017年 04月 05日
このところデタラメの垂れ流しが悪化の一途の『産経』だが、今度はアニメ映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』に登場する宇宙人のガトランティス帝国を「野蛮な中韓のメタファー(隠喩)」などと書いており、ファンからは「中韓とは何ら関係ない」「牽強付会が強引すぎる」「制作陣に失礼だ」と批判を浴びている。
おそらくこう書けば喜ぶオタクネトウヨが一定いるので、そのウケを狙ったのだろう。
しかし、すでに指摘があるように、「ガトランティス」は39年前の1978年に劇場公開された映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』に登場した敵方で、この当時は今のような「中韓」ヘイトの流行はなく、「ガトランティス」は明確にアメリカがモデルであり、そのビルが林立する要塞都市はニューヨークの摩天楼を意識したデザインとなっていて、そこから出撃する宇宙艦隊を指揮するのは「バルゼー提督」といい、これは実際の戦艦大和を撃沈した戦闘の指揮をとったアメリカ軍のハルゼー提督をもじったネーミングである。
そもそも『宇宙戦艦ヤマト』の一作目は、軍国主義時代の日本をモデルにした地球が、当時は同盟関係であったナチス・ドイツをモデルにしたガミラス帝国と戦い、続編の『さらば宇宙戦艦ヤマト』では、戦後の復興をする日本をモデルにした地球が、その目標であるアメリカをモデルにしたガトランティス帝国と戦う、というもので、この図式により、内なる敵と戦い自己矛盾を克服するのが『ヤマト』のドラマにあるテーマであった。
さらに『さらば宇宙戦艦ヤマト』の最後に主人公は、敵に対して体当たり攻撃をする決意を述べて、肉体が消滅したら生命は宇宙と同化するので死ではないと説いた。
これは「肉体の無と、大生命への帰一とが同時に完全融合して行はれるところの最高の宗教的行事が戦争である」という、『生長の家』の教祖・谷口雅春の言葉と同じだった。
つまり、この軍国調の基盤にあるものは「反米」なのだが、これは『産経』にとって不都合なものなのだ。右翼活動家の中でも民族派で反米派の野村秋介が、「『産経』なんて右派ではなくアメリカ追従の自民党に媚びているだけだ」と言っていた意味が、ここにも表れているということだ。
by ruhiginoue
| 2017-04-05 20:28
| 映画