コメントの他に、表示されている著書をクリックしてその感想をアマゾンのレビューに投稿してくださることも歓迎です。おたよりはこちらへruhiginoue@excite.co.jp


by ruhiginoue

法の支配を知らず拷問を肯定する高校生の意識

 法教育に取り組む大学教授ら研究者グループが昨年の9~12月にかけて関東と関西の8高校1370人に法に関する知識や意識を聞いたそうだ。

「法の支配とは、法によって人間のわがままな行為を規律し、それに反すれば厳しい罰を与えるべきであるという考え方をいう」

 この正誤を尋ねると、正解の「×」と答えたのは35%。国家権力が法に縛られるという意味であることを知らない人が多かった。

 しかし、これは知らないとウッカリ言葉を上辺で解釈してしまう。高校生に知らない人が多くても、それは日本の学校教育の現実では仕方ないだろう。教師だって知らない人が多いはずだ。
 ところが、かつて羽仁五郎という有名な左翼のタレント学者が、「刑法」とはなにかという質問に「犯罪者を裁く法律」と答えた弁護士がいたと問題にしていた。しかも反体制派を自認する左翼の優秀な弁護士だった。
 そもそも、犯罪者を裁く法律を作るのは間違いがないようにするためであるのだから、「刑法」とはなにかと問われたら「罪を犯したとされる市民を守る法律」と答えなければならない。

 これは80年代の初期のことだから今は違うかというと疑わしい。そして、専門家しかも反体制派がこれでは、高校生も知らなくて当然だろう。

 「日本国憲法では拷問は禁止されているが、拷問によって得た自白が真実であるなら、その自白を有罪の証拠としても構わない」
 
 これが正しいか聞くと、正解の「×」が66・2%。

「多くの人命にかかわる重大な犯罪が発生しようとしている場合、共犯者と考えられる人に自白を強要してもいいと思う」

 どの程度まで良いかにかかわらず、肯定をすべて合計すると約7割。
 そして、拷問による自白を証拠としてはならないという正解を選びながら自白の強要を容認した生徒が約44%。

 これについて調査した教授は、自白強要が悪だと知ながらもより大きな悪を避けるためには仕方ないという比較しての発想と、ただ悪いやつには厳しくという素朴な発想とがあると分析している。
 そして、悪いやつだと誰がどう決めるのか、自分が悪いやつだと決めつけられたらどうするか、ということが問題であると指摘する。

 そういえば、前に大江健三郎がテレビに出ていて、その当時問題になっていた「盗聴法」について、高校生らの中で肯定する人は、お父さんが言うから従っているのだろうと指摘し、家庭でも権力者として振る舞う人がいることを問題にしていたのを思い出した。

 また、ある同級生が言っていたけど、そのお父さんが死刑制度の問題で、「死刑廃止なんてとんでもねえ。悪いことしたやつはぶっ殺して当然なんだ」と言うので、「悪いことしたかを決めるのは権力だから怖いよ」と指摘したそうだ。
 このお父さんは、かつてヤクザが経営者する店とは知らずに入りボッタクリに遭い警察に訴えたが構ってもらえず、この実体験から警察に強い不信感を持っている人で、そのため息子に言われたことで混乱した様子だったという。

 つまり、高校生が知らなくても当然で、それは大人がしっかりしていないからで、だから高校生に教えて理解させると、今度は親が混乱するということだ。
 これは色々な分野で昔からのこと。





[PR]
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
by ruhiginoue | 2017-04-22 18:30 | 司法 | Comments(0)