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by ruhiginoue

タン・ドゥンと武満徹と関内の思い出

 今、FMでタン・ドゥンの曲を先週に引き続き放送しているが、これで思い出すのが昔、日本でほとんど知られていなかったタン・ドゥンが来日したとき横浜で聴いたことだ。
 当時の日本では、中国系の新進作曲家がいるという程度の認識しかなかった。
 そして横浜の関内で「新しい耳シリーズ」という前衛音楽のコンサートが毎年開催されていて、よく高橋アキらが出演していたが、そこにタン・ドゥンが出演するということだった。

 このシリーズには毎年のように行っていたが、ついでに関内だから近くの中華街で食事というのが恒例だった。埼玉県のかなり田舎に住んでいたことがあるけれど、その当時は行き来が「旅」のようで帰りが遅くなって大変だった。横浜のほうではこういう文化事業が普通にあるのに対して埼玉は違った。やはり「ダサイタマ」と皮肉られるように、そもそも意識が低い土地柄だった。それで退屈することより、日常生活の中での意識の低さに苛立ちや嫌悪を感じることが多かった。

 ところで、タン・ドゥンが公演したとき、あの武満徹が聴きに来ていて「あ、武満徹だ」と客たちが言っていた。
 そして終わってから、タン・ドゥンが武満徹のところに飛んできて大喜びで挨拶していた。タン・ドゥンは日本語ができないので英語を使っていた。それで、近くで聞き耳を立てていたら、平易な英語だから意味が解り、要するに武満徹が聴きに来てくれて光栄だということだった。
 たしかに、新進前衛作曲家が日本で演奏会したところ武満徹が聴きに来てくれたら、そりゃ嬉しいだろう。

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by ruhiginoue | 2017-05-14 09:28 | 音楽