高須クリニック院長は確かに誤解している
2017年 05月 21日
この件で前回すでに述べたとおり、高須クリニックの院長が裁判を起こしたのは宣伝と目立ちたがり屋のためであるとしか考えられず、この指摘は誰でもみんなしていることだ。
この推測を補完する事実として、その質問をした大西議員と高須院長とどちらを支持するかという「投票」がネット上で行われ、高須院長は自分の圧勝だと勝手にはしゃいでいる、ということがある。法的問題を素人の多数決に委ね、しかも投票はいくらでも多重にできて、匿名の野次馬による無責任なものである。これを本気で「支持」されたとか「勝」と思っているとしたらよほどのバカであるから、そうではなくただの悪ふざけであろう。
しかも、Twitterで高須クリニックの話に反応する多くがネトウヨのアカウントで、それらは一部の例外を除いて同じ内容のものばかり。tweetもretweetも画像から言葉づかいまで完全に同じなものがほとんどで、ヘイトスピーチとその団体および代表者を支持してることでも共通している。また独りで多数のアカウントを持っていることが確認できたものもある。
そもそも、議会で質問するからにはスタッフが調査をしていて、高須クリニック固有の問題もよく知ってのことだし、高須クリニックが宣伝ばかりしていることを否定するのは不可能だ。
しかし、問題はその宣伝ではない。あの議員の質問は、つぎのようなものだった。
「だからその、非常にですね、CMも陳腐なものが多いんですね」
「皆さんよくご存知のように、例えば『イエス、○○』と、クリニック名を連呼するだけのCMとかですねぇ」
この「陳腐」という表現が高須院長は気に入らないと言う。この語彙は「ありふれている」とか「ありきたり」とかで、よくない意味ではある。
しかし、あの国会質問は医療に関わる宣伝の法規制についてのものであった。だから、その質問趣旨からすると、規制があるため漠然とした具体性のないものにならざるを得ない、ということである。この前提に立ち、そういうものばかり幅を利かせている現状は消費者にとって如何なものか、ということだ。
このため当然ながら、同議員は高須院長が「誤解」していると言ったのだ。
あのときテレビの宣伝に言及したことは質問の趣旨と直接の関係はなく、あくまで例として出すのが目的だった。だから特定の医師や診療所を質問にかこつけて攻撃するものではないという意味で固有名詞は出さなかった。
なのに「名を伏せても判る」という非難は的外れである。
それに、広告の問題を一般論として述べているわけだから、具体的にどこが悪徳かどうかは別問題であり、そういうことはそれに相応しい別の場でやることだ。
こんな当たり前のことも理解できないとは、いくらパフォーマンスでやっていることであっても無様としか言いようがなく、こんなことに付き合わされた弁護士は金のためと割り切っているにしても恥だが、そうと気づかないのだろうか。
by ruhiginoue
| 2017-05-21 13:17
| 司法