イギリスの選挙投票と購読新聞との関係
2017年 06月 14日
下のグラフは英国選挙での有権者の購読新聞ごとの投票先。
政党は、青が保守派「保守党」、赤が革新系「労働党」、橙が中道「自由民主党」、黄色が民族主義「スコットランド民族党」、緑がエコロジー「緑の党」、紫が右派「イギリス独立党」、灰色がその他つまり諸派か無所属。
一番上の保守党支持が圧倒的な『テレグラフ』は一般紙の発行部数一位、論調は保守的で保守党議員に元記者がいるなど親密、一般紙だが三面記事重視、ということで日本なら明らかに『読売』である。
その下の『エクスプレス』『メール』はどちらもタブロイド紙で保守的であるからライバルだが、部数では『メール』が三倍と圧勝。
その下の『サン』は右派でゴシップなど下品で有名だが、それだから売れていて英国で発行部数一位である。日本なら『東スポ』だ。
上記は庶民の読者が多いが、その下にある『タイムス』は高級紙(クオリティペーパー)で、富裕層や知識階級とかインテリとか言われる人に読者が多く、論調は保守的。
その下の『ファイナンシャルタイムス』は経済紙で、英国より外国での部数が多く、英字紙で発行部数が一位。日本ではしいて言えば『日経』か。
その下の『スター』は芸能や下ネタが多く、『サン』のライバルのような存在。
その下の『ミラー』は中道左派で、労働党支持を公式に標榜している。英国メディアがイラク戦争に翼賛か日和見だったのに対し、唯一反対を表明した。
その下『インディペンデント』はリベラルな高級紙で、かつては紙の新聞も出していて『ガーディアン』から読者を奪っていたが、経営の問題からオンラインに特化した。
一番下の『ガーディアン』は『タイムス』とともにジャーナリズム研究分野で英国の新聞としては世界的高級紙とされ、インテリ好み、保守の『タイムス』よりリベラル、娯楽味がある『テレグラフ』より硬い記事が多めである。日本なら『朝日』に近い。
この調査が正確なら、イギリスでは新聞の傾向と選挙での投票がはっきりしている。これに対して、日本ではここまでにはなるまい。宅配が多くて報道や論調を意識しないでいる人たちがけっこういるからだ。
by ruhiginoue
| 2017-06-14 20:36
| 国際