屋根に上がって作業する危険と思い出
2017年 12月 16日
15歳の少女がアルバイトの作業中に13メートル下に落下して死亡するという痛ましい事故があったとの報道。
警察の発表によると、茨城県古河市の工場で14日午前のこと。点検会社でアルバイトしている少女が屋根に取り付けられた太陽光パネルの点検などをしていたところ、天窓のガラスが割れて13メートル下のコンクリート製の床に転落して死亡したという。
このため警察が、安全管理に問題がなかったかなどを調べているそうだ。
もともと、住宅屋根の上での施工・メンテナンス作業時に作業員の転落事故が発生することは、よくあるという。転落事故防止の「安全帯」という命綱にあたる装備もあるが、これは有効であるけれど絶対確実というわけでもない。
また、もともと屋根は傾斜角度がきつく材質が滑りやすいものという状況で、作業員はパネルを踏んではいけないとか屋根を傷つけてはいけないとかの点に注意を払わないといけないため、一般的な建設現場などの作業に比べて作業員の転落事故のリスクがはるかに高いそうだ。
こうした命がけの作業を、なんと15歳の少女にバイトとしてやらせていたというわけだ。
そもそも年少者労働基準規則の第8条で「24 高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」「25 足場の組立、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く。)」で、18歳未満の者を働かせてはならないという規制もあった。
このようにいろいろと問題があったわけだが、屋根の上の作業といえば忘れられない思い出がある。
かつて住んでいた住宅の雨どいに枯葉が詰まったことが原因で室内に雨漏りして壁に染みができたから、屋根に上って枯葉を取る作業をしたのだが、それを見た隣の家のおじさんが「雨合羽を貸してあげようか」と声をかけてきた。
それは無用だ。その程度のものくらい持っているので、要るなら着ている。動きにくいから着たら危険である。また、すでに雨で濡れてしまったし、すぐに終わる作業だ。そうしたら風呂に入って温まるよう用意もしている。そう説明して「ご配慮ありがとうございます。でも結構ですので」と言った。ところがー
「ねえ、雨合羽、貸してあげようか」
まだ食い下がるように言う。無用だし、着るために屋根から降りてまた上ってはかえって時間と手間がかかるし屋根が濡れているから危険だと伝えた。それでもー
「ねえ、雨合羽」
必要ないし、危険だし、すぐ終わると言った。
「ねえーあま…」
気が散るから声をかけないでくださいとキツイ調子で言った。こっちも命がけである。
「ねえ~」
落ちて死んだらあんたのせいだぞ!と怒鳴った。それでも…
「ねえ~」
もう無視して作業を終えて黙って家の中に入った。
この話に家族が、隣のおじさんは人がいいけど親切が必ず迷惑になる人だ、と言った。この件に限らない。だから隣の奥さんも、この夫にしばしば困るらしい。
そして、もう危険な作業はしないようにと言われた。業者を頼もうということになった。
そして、悪意の人にはあらかじめ警戒できるが、隣のおじさんのように善意が危ない人は不意打ち食らわされるから、そういう人のいるところでは何もしないよう避けるしかないという結論となったのだった。
この教訓は今も有効で、普遍性があると思う。
by ruhiginoue
| 2017-12-16 15:18
| 雑感