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by ruhiginoue

漫才師の深刻な職業病

 漫才の宮川大助が脳出血で倒れたとき、相方の宮川花子は一人で舞台に立ち、闘病中の夫がいかに大変かという話をしながら「あのとおり顔が大きいからCTスキャンで検査しようとしたら頭がつかえて困った」など笑いにもしていたけれど、その裏で実は笑いごとではすまないことを、大助が発病したときにしてしまったと花子が後悔を述べていた。

 それは最初に自覚症状があって気分が悪いと大助が言ったときのこと。稽古の最中だった。花子は大助が貧血を起こしたと思い、たまたまそこにあった菓子パンを与えて、甘いものを食べれば気分がよくなると言ったのだが、大助はぐったりして食べることができなかった。
 それで漫才の調子で勢いよく「食べろ」と言って、それでも食べないので、ぐったりしている大助の口に無理矢理に菓子パンを突っ込んだ。
 しかし、どうも様子が変なので、病院に連れて行ったが、救急車もタクシーも呼ばず歩いて病院に行き、その途中でフラフラしている大助に、花子は漫才の調子のまま「早く歩け」と、どやしつけた。
 そしてやっと病院に到着して診察を受けたところ、脳出血で深刻な状態であったと判明した。ここには専門医がいて迅速に適切な治療を受けることができた。運がよかった。もし、そうでなかったら手遅れとなって命に関わるところだった。
 これは、普段から夫婦漫才をやっているため、日常生活でも同じ調子になってしまったということだ。その意味では職業病というべきだろう。

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 これより前のことだが、やはり漫才で活躍していた今は亡き内海芳江が、テレビで視聴者からの悩み事相談に対し「そんなことはね、気にしなきゃいいのよ」と強い調子で言い放ったが、この相談とは、生まれつきの身体的特徴を学校で男子たちから集団で揶揄されている女子の悩みだったから、ほかの出演者や共演している子役の女の子にも、それは違うと指摘されてしまった。
 この内海芳江は、江戸っ子の血を引いているからと非情とも取られかねないほどの毒舌を吐いて、たびたびバラエティ番組で共演者に対し容赦ない辛口コメントを飛ばしていた。この調子で、深く考えずに勢いに任せて言葉を吐いたから毒舌ではなく暴言になってしまったのだろう。
 これも職業柄のことで、やはり内海芳江も漫才やっていたことで罹った職業病だったと思われるが、しかしなぜ、同じことを言うにしても「こう言い返してやりなさい」とはならなかったのか。そう力強く言われたなら、悩む人も励まされたはずである。そうではなく、逆に悩む人に対して、気にするお前が悪いと責めた。

 つまり、お笑い芸人の毒舌と勢いは、それによっていじめている者に対し反撃するということではなく、いじめられている者に忍従せよと言うことで、いじめている者と一緒になって攻撃してやる、という発想なのだ。
 これは、すでにいろいろ指摘されていて、最近は特に問題になったりしているとおり、日本のお笑いには風刺がなく、逆に差別や弱い者いじめの劣情でウケをとろうというものであるからだろう。
 だから、漫才師らの職業病の症状が、自己保身を考えずついキツイことを強い相手に対して言ってしまった、というのではなく、逆に弱い者や困っている者をつい虐げてしまう、という形で表れるのだろう。





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by ruhiginoue | 2018-01-08 12:40 | 芸能 | Comments(0)