コメントの他に、表示されている著書をクリックしてその感想をアマゾンのレビューに投稿してくださることも歓迎です。おたよりはこちらへruhiginoue@excite.co.jp


by ruhiginoue

日本の戸籍制度の特殊性

 卵子は当人のものだが、子宮の病気のため他の女性に依頼して代理出産された子を、実子として届けたが、これは最高裁の判断によって受理されないこととなったらしい。
 戸籍は何のためにあるのかと言えば、まず扶養や遺産相続といった財産上の意義で、次に、優性学的見地から近親結婚を防ぐため。
 今回の場合、遺伝的には実の親子だから、近親結婚防止のためには実子と認めた方がいいのだが、そもそも代理出産の技術が無かった時代に作られた法律なので、予定してない事態となったわけだ。
 代理出産には、もちろん問題がある。様々な危険が伴うことはすでに指摘されていて、だから代理出産そのものを認めてはならないという指摘はもっともであり、お墨付きを与えてはならないという意見も正しい。しかし、ここでは産まれてしまった子供の戸籍の話である。
 高裁はアメリカの判例をここでも有効とすることで実子と認めてよいと判断したが、これを最高裁は否定した。法制度の不備であることは最高裁も認めており、無い制度に無理して対応しては問題が起きるということだ。
 それは戸籍制度のためだ。そもそも日本の戸籍制度は世界的に見ても特殊で、家族は経営体という観念が強い。だから戦前までは「家制度」があり、戦後も法務大臣がその立場にもかかわらず「戦後憲法は個人主義的で、家制度を否定したのが良くない」と公言したように、信奉者が多い。同じ感覚で「夫婦別姓で家族制度が崩壊する」などと真顔で言う人もいるくらいだ。
 つまり、日本の家族制度は、個人の結合ではなく、また、血縁関係とか遺伝などよりも、機構に組み込まれているかどうかのほうが重要なのだ。だから、女性の再婚禁止期間なる法規定がある。DNA鑑定もできるようになったし、そもそも子供が出来るのは生物学的なことであって法律上の結婚によって出来る訳ではない(だから出来ちゃった結婚なんていうのがある)けれど、こんな不合理な制度の廃止ではなく期間短縮にしようとの発想で、とにかく形式だけは保とうとする。
 こうした制度に今のところは従わざるを得ないと最高裁は判断したわけだ。
 
 
Excite %u30A8%u30AD%u30B5%u30A4%u30C8 : %u793E%u4F1A%u30CB%u30E5%u30FC%u30B9
[PR]
Commented by lklk at 2007-03-24 16:36 x
>産まれてしまった子供

自然発生したわけでもなく、この夫婦がゴリ押しをしようとして計画的に生まれてきた子供でしょう?


>そもそも日本の戸籍制度は世界的に見ても特殊で

日本は独立した一つの文明で、近隣諸国でさえ別の文明に属しているのですから、「特殊」で結構。
Commented by ありえない、あってはいけない at 2007-03-24 21:45 x
IKIKさんは正しい。こんな倫理に反する出産は認めてはいけない。
拳銃を認めているような国の判例などは以ての外である。
島国として外部とは情報も文化も全て隔てられた閉鎖的な状態で
明治を迎えた我々日本人は外国人には理解できない文化と習慣がある。
すべてアメリカナイズされるのではなくその倫理感を大事にしなければ
日本はダメになってしまう。今後どうようなケースがあっても代理出産は認めてはいけないと考えています。
日本の文化や価値観は我々日本人が守らないといけません。
Commented by ruhiginoue at 2007-03-24 22:06
 そのご夫婦について、心情的には理解不能ではありませんが、本件のような、法制度が未整備なのに、先走って既成事実を作り、事後承諾を求めるやり方については、いかがかと思います。
 プロレスに喩えると、場外乱闘の結果をレフリーに認めろというに近いかもしれません。
 また、倫理的問題について、社会的な議論と合意もありません。
 だから、今回の件を法的に追認してしまっては、将来に禍根を残すでしょう。
 ただ、既に産まれてしまった子供に、その責めを負わしてはいけません。責任はあくまで両親にありますから。特別養子など複数の制度を併用することで、将来の結婚などに支障を来さないよう対策が求められます。
 
Commented by seto2007 at 2007-03-25 02:47 x
法制度が整うまで待ってたらいつまでかかるんでしょうかね?
法を犯すことと法の想定外のこととでは意味がちがうのに
まるで犯罪者扱いなさってる方も多いですね。

今回の判決は代理出産の是非を問うものではないので
倫理観とかは関係ないんですけどね。
Commented by ruhiginoue at 2007-03-25 16:15
 そうですね。裁判で争われたのは、代理出産ではなく、代理出産による子供を実子として届けて認められるべきかです。
 そして、産んだ人とは別人の卵子によって出来た子供である事実は法の想定外だけど、産んだ人が母親という法の規定にもかかわらず、産んでない人が実の母子だとする届け出をしたために不法であるとして受理されず、それでも受理すべきか裁判で争われたけれど、受理は認められなかったということです。
by ruhiginoue | 2007-03-24 13:15 | 司法 | Comments(5)