井上靜の気楽な日誌です。気楽にコメントしてください。おたよりも気楽にe-mail:ruhiginoue@excite.co.jpまで


by ruhiginoue

法務大臣の言い分と食い違うサリン被害者の会

 例の「死神」という皮肉について、「地下鉄サリン事件被害者の会」(高橋シズヱ代表世話人)は、「(法相は)法に従って粛々と実行したのであり、非難中傷を受けることではない」などとする抗議文を朝日新聞社に送ったそうである。
 この通りだとしたら、法務大臣の言い分とは食い違う。
 鳩山法務大臣は、死刑執行署名を早いテンポで行ったことについて批判されると、間違いがないかどうかきちんと判断したうえでのことだから乱発ではないと反論している。
 これは、そもそも鳩山法務大臣が、署名などいらないようにしてしまえと言い出し、これに対して、死刑だけは間違いがあった場合に取り返しがつかないのだから、法務大臣が自ら確認する制度となっているのに、それを特に根拠もなく否定するものだと批判された前提がある。
 過去の法務大臣たちは、潔白を主張しながら死刑判決が確定してしまった人の家族から陳情を受けたさい、調べた上で陳情を相当と判断すると、自分が法務大臣である間は執行署名しないから再審請求するようにと告げたりしていたものだった。
 そうした職責を否定したのが鳩山法務大臣である。国民から選ばれた代表者を排除して官僚に国民の生殺与奪を丸投げせよとトンデモナイことを言ったのだった。
 この法務大臣の無責任と不見識を擁護する人たちはだいたい奇妙な意見の持ち主だった。他の政治家が口出するのではなく司法の頂点に居る法務大臣の関与なのに、司法権の独立を侵すという珍説を唱えていて、また三権分立とは互いにチェックしあうためのものであるのに、それぞれが勝手なことをするものと錯覚してもいた。そんな擁護しか無かったのだ。
 このように。鳩山法務大臣はめちゃくちゃだったから、ただでさえ、こんなにテンポが早いのでは適切な判断ができるのか怪しいのに、そのうえめちゃくちゃな発言をしたばかりの法務大臣だから、ますます怪しがられるのだ。
 そして、ここで鳩山法務大臣は、前の発言があろうと、今の仕事は慎重にやっていると反論したのだった。「粛々と」仕事をこなしたとは言っていない。
 粛々とは「謹んで」「落ち着いて」やるという意味であるが、これを政治家や官僚が「言いなり」「右から左へ」「機械的に」「事務的に」というのを誤魔化すために使う。
 つまり、本件の問題は、まさに官僚任せではいけないという話なのだから、「法に従って粛々と実行」したというのではぜんぜん擁護にならないどころか「だから悪いのだ」ということになってしまうし、なにより鳩山法務大臣は、自分なりに慎重に判断したうえのことだと反論しているのだから、そんなところへ言って欲しくないはずだ。
 もちろん、鳩山大臣が一時的なヒステリー状態によって煙幕を張ろうというなら別である。しかし、長い目で見れば、この「被害者の会の抗議」は過酷を残すものだ。これでまるで、「自分が憎い犯人を早く死刑にするためには、無実で死刑になる人がいてもいい」と言うような意味になってしまう。
 だから抗議するなら、法相の発言を無視して勝手に「粛々と」と言うのではなく、正確を期して「法相は慎重にやっていると言っている」としたうえで、「だから皮肉よりも、ほんとうに慎重か内容を検証するのが報道の務めだ」と言うべきだ。


Excite �G�L�T�C�g : �Љ�j���[�X
[PR]
Commented by 銀杏 at 2008-07-04 11:41 x
そうですね。問題をまぜこぜにしてはいけませんね。
死に神と揶揄されたことが不愉快ならあくまで法務大臣本人が抗議することであり他の人がすることではありません。
死刑執行してほしい団体が抗議するとしたら、いままでの法務大臣は死刑制度反対論者とか怠け者でなかなか署名しなかったけれど鳩山さんは違ったという場合に、信条の違いとか働き者であることをバカにしてはいけないと言うべきものです。
しかし鳩山さんは責任を持ちたくないと言って批判されたら次々とやっちやったので皮肉られた。だからほかでもない鳩山さん自身が、自分は慎重に判断して署名しているのであって事務的にやったのではないと反論したうえで「死に神」とは不当であると抗議したのでした。
「あすの会」「サリン被害者の会」は死刑執行に必要な慎重さが問題になっていることがわかっていないで間違った抗議をしています。
そこへわからない人たちが死刑制度に是非とか朝日新聞の姿勢とか脱線して騒いでます。

〉この法務大臣の無責任と不見識を擁護する人たちはだいたい奇妙な意見の持ち主...

どこのブロクとは申しませんが、このようなバカ丸出しを書いている人が何人かいますね。
Commented by からんちもち at 2008-07-04 18:04 x
例の朝日新聞のコラムは、全文をちゃんと読めば、たった二ヶ月の間隔で死刑にゴーサインをして新記録を作ったと批判したうえで死に神だと皮肉っている。
あきらかに、精査したうえでのことではなく事務的に冷淡にやっていることを批判しており、死刑制度の是非とは無関係。
それを、「悪いことした奴を死刑にしている正義の味方を中傷している、けしからん」という曲解によって誹謗している。
だから悪いのは朝日でも鳩山でもなく、あすの会とかサリン被害者の会のほうである。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
by ruhiginoue | 2008-07-04 00:15 | 司法 | Comments(2)