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by ruhiginoue

育児放棄死事件母親有罪

 さいたま地裁は、育児放棄死事件で母親に懲役六年の判決。「あまりにも冷酷で非人道的」とのこと。
 弁護側は、家族が育児に協力してくれず孤独感を深めた中でのことだとして、情状酌量を求めていた。
 さて、これはどうなのだろうか。直接に裁判と関わった人たちにだって、本質とか真実が見えているとは限らない。見えていないことのほうが多いだろう。ましてそれをマスコミ報道で間接的に知るしかない者たちにとっては。
 それで思い出したのだが、刑事ドラマの名作(迷作な話も少なくないが)「Gメン75」で、こんな話があった。

 育児放棄で幼い娘を死なせた母親が逮捕された。娘は重度の身体障害者だった。担当の刑事は記者会見で「鬼のような母親だ」と非難し、これが新聞の見出しにもなる。
 世間はひどい母親だと思ったが、母親をよく知る人たちは違うと言う。そこでGメンが調べた。
 その一家は交通事故で全員が負傷し、父親は死亡、幼い娘は寝たきりで、最も軽傷の母親も激しい頭痛が頻繁に起きて苦しんでいた。事故を起こしたのは貧しい少年で、憂さ晴らしに暴走行為をしたというよくある話。だから補償能力無し。働き手の夫を失って体調の悪い母親は障害児を抱えて生活保護を受けることに。やってきたケースワーカーは、若い母親と幼い娘のふびんさに同情していた。
 そんな中で、身体の具合が悪くノイローゼ気味になった母親は育児放棄してしまい、娘を死なせてしまう。
 ずいぶんと気の毒な話で、自分の子供を死なせたことは事実だが、そんなことになってしまったこと自体も、かわいそうなことである。少なくとも「鬼のような母親」というのは酷すぎる。
 そこで担当の刑事を追及するのだが、彼は「どんな事情があろうと、自分の子供を、それも障害があって親だけが頼りなのに、許せない」と、頑なだった。
 実は、彼にも障害を持つ幼い息子がいて、男手一つで面倒を看ていた。子供の世話の大変さからストレスで夫婦喧嘩が絶えず、妻は子供を置いて出て行った。それで彼は、その事件の容疑者である母親に、自分の抱えた事情と重ねあわせて、強い憎悪を持ったのだった。
 職務に個人的感情を持ち来んだ、と彼は批判されるが、こう反発する。同じ立場になった者でないと理解できないことだから、自分は正しい。
 ところが、その後で彼は自分の息子を死なせてしまう。家で独りでいるとき発作が起き、すぐに病院に連れて行けば助かったのだろうが、その日は運悪く仕事が立て込んだため帰宅が遅くなり、戻ったときは息子が既に死亡していた。
 何と弁解しようと言い訳になってしまう。きっと私も世間から叩かれるだろう、「鬼のような父親だ」と。
 そう書き残して、彼は死んだ息子の横で拳銃を取り出し、自分の頭にあてる。

 もちろん一時間枠でタイトルやCM除き正味45分程度のドラマだから大雑把だが、しかし、さまざまな事情が人それぞれあり、すべてを理解することは不可能でありながら、人が人を裁く制度がこの社会に存在している、ということは、よく描けていたと思う。

 
 
 
 
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by ruhiginoue | 2008-09-04 09:29 | 司法 | Comments(0)