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by ruhiginoue

ノーベル賞の田中さん京大を去る

 ノーベル化学賞を受けた田中耕一さんが、京都大学の客員教授を退くことになったそうだ。組織改編による大学の都合だが、もともと田中さんも本職が多忙で京大で仕事するのは希だったらしい。
 田中さんは、大学ではなく企業で研究活動していたため、その受賞が珍しがられ話題となった。また、記者会見でのユーモラスな受け答えがテレビウケして一時的に人気者に祭り上げられた。しかし、それによって虚像が作られてしまい、悩んだ田中さんは、一時は外国へ行ってしまおうかとも考えたそうだ。
 今回のノーベル賞で、受賞者の中に日本国籍を離れている人がいて、日本人受賞者に数えていいのかと議論になったが、そこで、独創性を発揮しようとする人にとって日本の社会は居にくいのではないかという、昔からの問題がまた語られたものだ。他人と違ったことをする人を白眼視し、それが海外で認められると誇らしげにする。ところが成功したらしたで妬む。これでは優秀な人材が外国に流出してしまって当然ではないかという問題だ。
 実は田中さんも、日本の教育とか研究の環境に対して問題意識を持っていて、その話をしているのだが、これについてマスコミは地味な扱いをし、あとは田中さんが「会社はちゃんと給料をくれて好きな研究をさせてくれた」と謙遜して言うところばかりを執拗に垂れ流した。そのため、ノーベル賞の研究成果にたいして勤務先が出したのは雀の涙のような報奨金だけで、受賞により慌ててボーナスを出したということを、海外メディアは騒ぎ、世界中の研究者は驚愕したというのに、日本では「田中さんの謙虚な態度を見習え」と、正反対の世論が形成された。
 そして、そのときちょうど、あの青色発光ダイオードの開発者の中村教授が、その利益を不正に企業に取られたことを裁判に訴えていたが、一審で認定された賠償額を、高裁が強引に値切って和解させて、この図式は後に御手洗キャノンの裁判でも踏襲されたが、その露骨な大企業びいきの司法への批判が少なく、逆に、怒りの記者会見で「日本は文系国家」と言う中村教授に対して「守銭奴」「田中さんの爪の垢でも煎じて飲め」などど誹謗する声が巻き起こり、これをネット上の烏合の衆はもちろんテレビで芸能人までが公然と口にしたのだった。
 つまり、日本人の多くが、「他人を出し抜いて良い思いをしようとするのは卑しいことだ」「感謝の気持ちと謙虚さを持て」「弱い者いじめに負けてはいけない」「自分の権利は正当だと考えるなら堂々と主張すべき」などの区別がちゃんとできていない。できるようにならないと、日本は衰退していくはずだ。
 
  
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Commented by at 2008-10-29 13:42 x
恐れ入りますが「日本の教育とか研究の環境に対して問題意識を持っていてその話をしているのだが」ってところをもう少し詳しく教えていただけませんか?マスコミが地味な扱いをした為、寡聞にして存じませんので、、、、
Commented by とよひと at 2008-10-29 23:27 x
たしか田中さんは、日本人のノーベル賞受賞者は何人もいるがその人口と教育水準と比すと少なく、与えられたことをそつなくこなすことばかり求められ試験は減点法で新しい興味や工夫をしても評価されないどころか叱られるなど色々いっていたはずだ。
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by ruhiginoue | 2008-10-23 11:17 | 学術 | Comments(2)