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by ruhiginoue

カテゴリ:司法( 509 )

菅野完氏の裁判は不可解

 ノイホイこと菅野完氏が女性に性的暴行を働いた件が裁判になり、一審で賠償命令の判決となった。

 すでに週刊金曜日が報じており、それをここでも話題に上げたことがある。菅野氏はどうして一緒に活動している異性に手を出したのか。活動している中で敵がいる場合、手を出した女性が敵に取り込まれることもあるし、最初から回し者でハニートラップを仕掛けていることもある。
 なのに無警戒で疑問だということを指摘した。 2人きりで会うことはしない。そうなりそうな場合には誰か女性に同席してもらう。
 それが当たり前のはずだ。

 ただ菅野氏の場合、週刊金曜日の記事や裁判の記録や彼の訴訟代理人の弁護士の話を照らし合わせてみると、初対面の女性ではあったが、もともとネット上で交流があり互いに良い印象で、そして直接会ったとき菅野氏はその女性に好意を持ち、インターネットを使いたいから自宅に行っても良いかと持ちかけたところ、その女性は少し迷ったようだったが承諾して招き入れてくれたから、「口説いても良いか」と言い、迫ったということだった。

 まぁこういう場合には普通、よい返事を待つものだ。その間に目を見つめたり手を握ったりするなら、そこで拒否されてもそれ以上しなければ何も問題にならない。
 ところが菅野氏は、下手なのか知らないのか忍耐がないのか、押し倒したうえ顔に口をくっつけてしまった。それで拒否されたからやめて、帰るように言われて素直に従った。

 ここで、本当に悪い奴だったら止めたりはしないだろう。初対面の男性を女性が自宅に招き入れたのは事実だから、彼女の方から誘っといて後から気が変わったとか、いくらでも言えるだろう。

 しかし菅野氏は、やり方はまずいし、やった内容も良くないけれど、それ以上は強引なことをしなかったうえ、自分に非があると認めて謝ってるわけだから、まだ同様の事件の中では悪質さが低い方だと言える。
 少なくとも、薬飲ませて強姦し、逮捕されそうになったら総理に媚びて作ったコネを利用し権力の力で握りつぶしてもらう、なんて奴に比べたら、良心的なくらいである。

 それなのに、なぜ和解できなかったのか。その女性は条件として菅野氏にTwitterを止めるという条件を突きつけてきた。この件についてTwitterで説明をし謝罪をしろとか、あるいは逆にこの件については一切触れるなと言うのなら当然のことだろうけども、 Twitter そのものを止めるというのは、この件と関係がない。

 これはとても相手が飲めるような条件ではないし、また裁判でも認められないだろう。これは最初からわかっていて当然である。だから無理な条件を突きつけることで和解を壊し裁判にしたかったとしか考えられない。

 そうなると、そのときの菅野氏の行動が、よほど女性にとっては恐怖だったか、信頼を裏切られた思いだとか、そういうことで許せなかったと言うことかもしれない。

 とにかく、この裁判は不可解である。


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曇の形が変わり、季節の移りを感じさせる。


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by ruhiginoue | 2017-08-09 13:22 | 司法 | Comments(0)
蓮舫の二重国籍という違法でもないことが騒動にされ、これに便乗して騒ぎデタラメや差別をする人たちの中に、裁判所でよく見かける「阿蘇山大噴火」と名乗る傍聴マニアがいる。
ここで彼は法律無知をさらけ出して差別までした。問題になってから慌ててツイートを削除したとのことだ。

彼はただの野次馬根性で裁判を傍聴して性犯罪などを面白がってたりする男。そんな興味本位と冷やかしの傍聴人は映画『それでもボクはやってない』にも描かれていた。
彼はもともとお笑い芸人で、裁判をネタにして笑いをとってるだけだったのに、それが急に政治の話を始めて野党の代表者を攻撃し始めたということは、背後からそののかした者が誰かいたのではないか、そうでなければ彼はそういうことに関心を持ったり発言したりはしないはずはずだ、という指摘もある。

そういう事はあり得るだろうが、それ以前の問題として、この「阿蘇山大噴火」と名乗る人は、いつも派手な格好して裁判所にやってくるから目立つけれど、裁判所の前で情宣活動している人たちがいても関心を示さず、訴えのチラシも彼は必ず受け取らずに無視をして素通りするから、社会的な関心は全く無い人なんだろう、と裁判所に出入りする人たちは、みんな言っていた。

そういえば「霞っこクラブ」という女性たちもいる。被告を見て面白がる悪趣味集団で、おそらくあの「オウム真理教事件」の時に、教団幹部をアイドルに仕立てる「上祐追っかけギャル」に触発されたのだろうが、被告人の男性に逢いに行くと言ってオシャレして傍聴に行き、はっきりと社会派の関心がある人お断りとあらかじめ宣言している。

それは個人の趣味とはいえ、深刻な人権問題とか社会問題を茶化してしまうのだ。そしていずれ変な利用をされるという図式だから、放置してはいけない。批判するベきは批判しないと。


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by ruhiginoue | 2017-07-24 10:40 | 司法 | Comments(0)
 奈良市の地裁で27日に判決の言い渡しがあったさい、地裁の葛城支部と勘違いした被告側の弁護士が遅刻してしまい、このため開廷が約2時間遅れたそうだ。
 この言い渡された判決は無罪で、その弁護士はマスコミの取材に「せっかく無罪を勝ち取ったのに、場所を間違えてしまい、恥ずかしい。関係者に申し訳ない」と釈明したということだ。

 この日、開廷時間の午後1時10分になっても弁護士が来ず、間違えて同支部に行ったことがわかり、裁判官が午後3時からに変更した。延期を告げられた男性被告は「弁護士が間違えるんですか。そんなことでいいんですか」と不服そうに述べたらしい。
 この被告は奈良県天理市内の男性(79)で、カラオケ店の女性経営者に約1週間のけがを負わせたとして、傷害罪に問われていたが、判決は「女性の供述には不合理な変遷があり、信用性が乏しい」などとして男性に無罪(求刑・懲役1年2月)を言い渡した。判決について検察は、控訴するかどうかなど「判決内容を精査し、適切に対応する」とのこと。

 これは弁護士が交通機関や健康上の問題が急に発生したのではないのに遅刻したのが珍しいということだろう。原告と被告は間違えることが珍しくないし、あと、時間通りに来たけれど緊張してしまいトイレに駆け込むことがよくある。
 これで前に知り合いに頼まれて傍聴したとき、被告の男性がそうだった。裁判官に限らずエライ人は自分が待たされると怒るが、そこは法曹人ではない不慣れな一般人だから緊張してしまうことを弁護士が裁判長に説得していて、裁判長も了承していた。
 そして遅れて来た被告人の男性は「すみません。気が張って尿意を催してしまいました」と言い、裁判長が「しょうがない」というように頷くと「シッコ猶予ということで」と言った。
 これは意識したダジャレだったのか、そんな余裕が緊張しているのにあるのか、と思っていたが、とにかくこの人は微罪ではあるが有罪となることは諦めていて情状酌量を求めていたところ実際に「執行猶予」付きの判決となった。

 ところで、判決の言い渡しで別の法廷になることはあり、伝言ミスか言い間違えか、当日行ってみたら違ったので遅刻してしまうということは過去にもあった。
 これは他でもない自分にも経験があり、これは拙書『防衛医大…』でも述べたとおり、早めに行ったので聞いていた法廷と違うことがわかってから間に合ったが、弁護士は間に合わず、勝訴だったので「だったら聞きたかったな」と弁護士は残念がっていた。

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by ruhiginoue | 2017-06-28 15:45 | 司法 | Comments(2)
 この件で前回すでに述べたとおり、高須クリニックの院長が裁判を起こしたのは宣伝と目立ちたがり屋のためであるとしか考えられず、この指摘は誰でもみんなしていることだ。

 この推測を補完する事実として、その質問をした大西議員と高須院長とどちらを支持するかという「投票」がネット上で行われ、高須院長は自分の圧勝だと勝手にはしゃいでいる、ということがある。法的問題を素人の多数決に委ね、しかも投票はいくらでも多重にできて、匿名の野次馬による無責任なものである。これを本気で「支持」されたとか「勝」と思っているとしたらよほどのバカであるから、そうではなくただの悪ふざけであろう。

 しかも、Twitterで高須クリニックの話に反応する多くがネトウヨのアカウントで、それらは一部の例外を除いて同じ内容のものばかり。tweetもretweetも画像から言葉づかいまで完全に同じなものがほとんどで、ヘイトスピーチとその団体および代表者を支持してることでも共通している。また独りで多数のアカウントを持っていることが確認できたものもある。

 そもそも、議会で質問するからにはスタッフが調査をしていて、高須クリニック固有の問題もよく知ってのことだし、高須クリニックが宣伝ばかりしていることを否定するのは不可能だ。
 しかし、問題はその宣伝ではない。あの議員の質問は、つぎのようなものだった。
 「だからその、非常にですね、CMも陳腐なものが多いんですね」
 「皆さんよくご存知のように、例えば『イエス、○○』と、クリニック名を連呼するだけのCMとかですねぇ」
 この「陳腐」という表現が高須院長は気に入らないと言う。この語彙は「ありふれている」とか「ありきたり」とかで、よくない意味ではある。
 しかし、あの国会質問は医療に関わる宣伝の法規制についてのものであった。だから、その質問趣旨からすると、規制があるため漠然とした具体性のないものにならざるを得ない、ということである。この前提に立ち、そういうものばかり幅を利かせている現状は消費者にとって如何なものか、ということだ。

 このため当然ながら、同議員は高須院長が「誤解」していると言ったのだ。
 あのときテレビの宣伝に言及したことは質問の趣旨と直接の関係はなく、あくまで例として出すのが目的だった。だから特定の医師や診療所を質問にかこつけて攻撃するものではないという意味で固有名詞は出さなかった。
 なのに「名を伏せても判る」という非難は的外れである。
 それに、広告の問題を一般論として述べているわけだから、具体的にどこが悪徳かどうかは別問題であり、そういうことはそれに相応しい別の場でやることだ。

 こんな当たり前のことも理解できないとは、いくらパフォーマンスでやっていることであっても無様としか言いようがなく、こんなことに付き合わされた弁護士は金のためと割り切っているにしても恥だが、そうと気づかないのだろうか。




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by ruhiginoue | 2017-05-21 13:17 | 司法 | Comments(2)
 美容外科の高須克弥院長が、大西健介民進議員と蓮舫代表を名誉毀損で提訴するという。
 これは厚労委での質問の中で同議員が、医療機関によるイメージ宣伝は利用者にとって有益ではないと指摘したことに対してだ。
 そのさい一例として「イエスまるまる」とクリニックの名を連呼するだけのものがあると言っていたが、これは高須クリニックの「YES!高須クリニック」という宣伝を指していることが解るので名誉毀損だと言う。

 これには驚いた。あのCМで高須院長は「YES」と言ってたのか。「Nazis」だと思ってた。普段の発言から、そうとばかり思っていた。

 しかし、あのときの同議員の質問とは、医療機関の広告には厳しい規制があるから具体性の無い広告しかできないが、するとイメージ宣伝が幅を利かせ、この現状はいかがなものかという内容だった。
 この質問自体は当然のことで、一例として出した広告はそうした規制の範囲という趣旨だ。広告を出したほうが怒ることではない。
 そして、すでに法的な指摘が専門家たちから出ている。

 まず、憲法51条に「議院で行つた演説、討論又は表決」は絶対的免責的特権がある。また、国家公務員である国会議員の職務上の行為について違法性を追及するには国家賠償法によらなければならず、その場合は個人責任を問うことが認められていない。
 だから二重に勝ち目がないというわけだ。
 これは法にそう規定のうえ、過去の判決でもそうだった。最高裁平成9年9月9日のスリーナイン判決は、ある国会議員がある病院長の問題行為を例に出して質問したため名誉毀損で訴えられたが、免責となっている。
 しかも、国家賠償請求なら可能とはいえ「職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があること」が要件であるから、これにまったく該当しないことは明らか。

 それでも高須院長が訴えると言うのは、宣伝とか目立とう精神発露とかのパフォーマンスであろう。
 なのに引き受けた弁護士は、法的に無理だと専門家なら解って当然なのだから、勝訴の見込みが皆無に近いのに金のため付き合ったという悪評が立つだろう。

 そういえば昔、東進スクール最初のころ、経営者がネトウヨみたいに「日教組が学校教育を悪くした。だから塾が繁盛している」とわめきちらし、これを日教組の悪口ならなんでも飛びついていた週刊新潮がとりあげ、そうやってタダで宣伝してもらった。
 これと同じことを高須クリニックも意図しているという、毎度のことだろう。



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by ruhiginoue | 2017-05-19 19:39 | 司法 | Comments(1)
 『報道ステーション』というテレビ番組は、周防正行氏をゲスト出演させ「共謀罪」についての批判を語らせていたが、それは彼が『それでもボクはやってない』という映画を作り日本の司法が抱える問題を追及し、これをきっかけに法制審の委員を務めるなど発言を続けていたからだ。
 ところで、この映画は電車で痴漢と疑われ逮捕された男を主人公にしたものであったから、先日の事件すなわち電車で痴漢と言われて逃走した男性が転落死したことについて、何かコメントするだろうと期待した人もいたのだが、この期待は裏切られたという。

 この、痴漢にされそうになった場合の対処について、あるマスコミにもよく出る弁護士は、逃げられそうならその場から一目散に逃げてしまうのが一番だと、テレビなどで公然と発言していた。なぜなら、逮捕されるだけでも大変なことになり、そのあと裁判になったらもっと大変で、しかも裁判が公正とは到底言えない実態があるからだ。
 もちろん、これは逃げきれたらの話で、失敗してしまうこともある。そうなると不利になるだろうし、線路に逃げたら鉄道から損害賠償を請求されるし、それ以前に命の危険もある。
 だから、逃げないで弁護士を呼ぶべきだという弁護士たちがいて、これには疑問や反論が出ている。それらは要するに「きれいごと」だというものだ。

 まず、警察は弁護士を呼べないようにするものだ。「先進国」なら警官は弁護士に連絡する権利を告知しないといけないなどと決まっているが、日本は違う。
 また、弁護士を依頼したところで冤罪から救われる保証はない。日本では逮捕イコール犯罪者に近い。
 なにより、弁護士はあくまで「法の枠内」で勝つ専門家にすぎず、我々はそれより大きな「人生の枠内」で勝たなければならないのだ。罪を被せられた時点で既に大打撃であり、そのあと無罪を勝ち取っても破綻した人生は取り戻せない。
 こうなると、ほんの数パーセントでも賭けて逃走するという考え方も理解できなくはないし、だから弁護士のなかにさえ、それで成功するに越したことはないと言う者がいるのだ。

 そもそも、潔白なのに逃げると危険があるってことくらい誰でも知ってる。言われなくたって解っていることだ。それでも命がけで逃亡するのは、弁護士や裁判官が信用できないからだろう。それほど日本の法曹界は不信を買っているのだ。国選弁護士や弁護士会の当番弁護士に裏切られたとか、裁判は暗黒の魔女狩りとか、そういう現実が歴然とある。これを無視して弁護士を呼ぼうというのでは「きれいごと」と批判されても仕方ない。
 だいたい、有罪でも無罪でも勝訴でも敗訴でも、裁判の結果がどちらにしても、依頼人は人生を浪費してしまった負け組であり、どちらにしても報酬を得られる弁護士は勝ち組である。それでも弁護士に頼もうと呼びかけるのでは、善意で言っても商売のためかと疑われるだろう。

 前にも述べたが、知り合いの男性はカフカの小説さながらに逮捕のうえ性犯罪の犯人とされ刑務所に入ったが、真犯人が捕まり自供したので潔白と判明し国から賠償金が出た。
 このさい彼は国選弁護士に裏切られ、知らぬ間に勝手に犯行を認めたことにされてしまっていたのだった。これが問題になると、その弁護士が所属する弁護士会は、金を出して私選弁護士を雇わなかったのに文句を言うなと開き直った。

 あのとき、逮捕されたころへ来た弁護士が、任せなさいと言うので信用していたら、囚われている間の知らぬ間に犯行を認めたことにされ、勝手に親族を尋ねて被害者に慰謝料を払うからと出させていた。それも自己責任というわけだ。
 そして性犯罪の前科者となり偏見を受け、複数の免許を持ちながら職が無い彼は自殺未遂までした。リストカットの傷跡が痛々しかった。
 その後、名誉回復され社会復帰したが、捜査の不当性を問い国賠訴訟を起こしたら、職場に対し警察が嫌がらせをした。すると「人権派」「左翼」の人たちが「支援」すると寄ってきたが、「反権力」を叫ぶネタに利用されただけ。
 ついに彼は、裁判のため弁護士費用その他で出費がかさみ、無実なのに刑務所に入ったことにより受けとっていた賠償金を使い果たしてしまった。そのうえ心身ともにボロボロになって働くこともできなくなり、生活保護を受けて病気療養している。

 このように、潔白が完全に証明された人でさえ、いったん権力から目を付けられてしまったら人生が破滅的となるのだ。
 これについて弁護士に文句を言っても酷というものだ。どんな名医でも保健福祉政策はどうすることもできないのと同じだ。
 また、不当逮捕され無罪となった経験があるため同じ目に遭った人の相談に乗っている人が「弁護士は自分が逮捕されたことがないので実態を身をもって知らない」と言っていた。これは専門医が病気について詳しく知っていても病人の苦悩は知らないというのと同じだ。
 だから専門家の話は常にそれゆえの限界があるということを前提に話を聞かなければならない。
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by ruhiginoue | 2017-05-14 17:42 | 司法 | Comments(5)
 「政府を、捜査機関を信用しなさい」「犯罪とは無縁の一般人は心配しなくていい」とただ繰り返しても、受け入れられるはずがない。

 これは朝日新聞5月12日の社説『共謀罪』審議 採決ありきは許されぬ」である。まったく正しい。大賛成である。
 しかし朝日新聞の最近の他の記事と整合性を欠いている。ほかの記事では逆のことを主張していた。以下、その4月18日の記事から引用。

 「俺じゃない!」 13日時45分ごろ、車内で女子中学生ら2人の胸や下着を触ったとして駅で降ろされた男性は、こう叫んで線路に飛び降り、走って逃げた。電車は約14分間、運転を見合わせた。都内では3月中旬以降、同様の事案が少なくとも6件起きている。 
 なぜ線路に逃げるのだろうか。鉄道営業法では、正当な理由なく線路に立ち入ることを禁じている。警察は都迷惑防止条例違反(痴漢)に加え、鉄道営業法違反の疑いも視野に捜査している。ある署の幹部は「線路から敷地外に出られる付近の防犯カメラを洗い、検挙する」と話す。
 一連の「逃走劇」には、鉄道会社も頭を抱えている。上野駅で、痴漢を指摘された人が線路に飛び降り、電車にはねられて死亡する事故が起きた。JR東日本によると、線路上に人が立ち入った場合は安全を最優先し、駅員らが人がいないことを目視で確認できた段階で運転を再開する。万が一の見落としも想定し、再開直後は徐行で運転するという。
 地下鉄の場合、さらに危険性が増す。東京メトロによると、線路脇に送電線が引かれている路線では、感電の恐れがある。送電線の電圧は600ボルト。人が立ち入ると電気を止める作業も必要になる。担当者は「地下鉄はトンネルなので、逃げても次の駅まで出られません」と予防線を張る。
 大阪市では12年、市営地下鉄御堂筋線で線路に降りて約1キロ逃げた男が駅員らに取り押さえられた。
 線路に逃げた人たちが、本当に痴漢をしたのかどうかは定かではない。痴漢をめぐっては、ネット上で「被害を申告した人と一緒に駅事務室に行くと現行犯逮捕される」といった内容や、冤罪(えんざい)を避けるために疑われたら逃げることを推奨する書き込みもある。
 これらについて、警視庁の捜査幹部は「申告があれば何でも逮捕するわけじゃない」。申告内容や第三者の目撃の有無などを検討してから判断する、としている。
 もし疑いをかけられたらどう対処すればいいのか。冤罪事件に詳しい立教大の荒木伸怡(のぶよし)名誉教授(73)は「やっていないならはっきり主張し、その場から動かずに弁護士を呼ぶことだ」。線路に降りる行為はやめた方が良いと言う。「業務妨害に問われる可能性があり、鉄道会社から損害賠償を請求される恐れもある」と指摘している。
 
 以上引用。
 この記事には、裁判がデタラメで信用できず、そんなもののために一生を棒に振るから命がけで逃げるのに、そうした司法の問題にまったく触れず、脅すばかりの法律家の話とともに、警察の言い分だけ一方的に紹介している。これでは共謀罪の強行する側が、「捜査機関を信用しろ」「一般人は関係ない」と同じである。

 もともと朝日新聞は、冤罪に対しては読売新聞より権力寄りなのは昔からずっと。
 かつて本多勝一記者が「あるスピード違反」という記事を書き、これは裁判所が警察の一方的な言い分を鵜呑みにするので捕まったら最後の「暗黒裁判」であるという実態を告発したものだった。
 すると、他にも酷い冤罪があるので取り上げてほしいという手紙が大量に来たそうだ。本多記者は周知のとおり司法が専門ではない。だから要望に応えられなかったというが、それなら大量の要望があるのだから新聞として力を入れてもよいはずだ。
 ところがそうはなならない、それどころか逆である。具体例は前にもここで挙げている通りだ。そうしたら、またこんな記事である。映画『それでもボクはやっない』の周防監督も、その時の経験で知った司法の問題から共謀罪を批判しているというのに。
 こんな批判精神も問題意識も無い記事の一方で、社説で国会審議についていちおう批判する。ここに朝日新聞の堕落がある。

 追記
 弁護士など他の専門家たちは、「駅の事務室に連れていかれると、職員に取り押さえられたとの解釈で後から来た警察に現行犯逮捕とされてしまうから、その場で毅然として潔白を主張して立ち去り、自分で言うだけでは相手が納得しないなら弁護士を呼ぶと言うべきだ」と説いている。
 この記事に出てくる「冤罪に詳しい」立教大名誉教授も「その場から動かずに」と述べているので、その前にある「被害を申告した人と一緒に駅事務室に行くと現行犯逮捕される」について、だから行くなという意味で言ったのに朝日新聞の記事ではその説明が欠落して単にネット上の風説であるかのようになっていた可能性がある。

 
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by ruhiginoue | 2017-05-12 17:55 | 司法 | Comments(1)
 法教育に取り組む大学教授ら研究者グループが昨年の9~12月にかけて関東と関西の8高校1370人に法に関する知識や意識を聞いたそうだ。

「法の支配とは、法によって人間のわがままな行為を規律し、それに反すれば厳しい罰を与えるべきであるという考え方をいう」

 この正誤を尋ねると、正解の「×」と答えたのは35%。国家権力が法に縛られるという意味であることを知らない人が多かった。

 しかし、これは知らないとウッカリ言葉を上辺で解釈してしまう。高校生に知らない人が多くても、それは日本の学校教育の現実では仕方ないだろう。教師だって知らない人が多いはずだ。
 ところが、かつて羽仁五郎という有名な左翼のタレント学者が、「刑法」とはなにかという質問に「犯罪者を裁く法律」と答えた弁護士がいたと問題にしていた。しかも反体制派を自認する左翼の優秀な弁護士だった。
 そもそも、犯罪者を裁く法律を作るのは間違いがないようにするためであるのだから、「刑法」とはなにかと問われたら「罪を犯したとされる市民を守る法律」と答えなければならない。

 これは80年代の初期のことだから今は違うかというと疑わしい。そして、専門家しかも反体制派がこれでは、高校生も知らなくて当然だろう。

 「日本国憲法では拷問は禁止されているが、拷問によって得た自白が真実であるなら、その自白を有罪の証拠としても構わない」
 
 これが正しいか聞くと、正解の「×」が66・2%。

「多くの人命にかかわる重大な犯罪が発生しようとしている場合、共犯者と考えられる人に自白を強要してもいいと思う」

 どの程度まで良いかにかかわらず、肯定をすべて合計すると約7割。
 そして、拷問による自白を証拠としてはならないという正解を選びながら自白の強要を容認した生徒が約44%。

 これについて調査した教授は、自白強要が悪だと知ながらもより大きな悪を避けるためには仕方ないという比較しての発想と、ただ悪いやつには厳しくという素朴な発想とがあると分析している。
 そして、悪いやつだと誰がどう決めるのか、自分が悪いやつだと決めつけられたらどうするか、ということが問題であると指摘する。

 そういえば、前に大江健三郎がテレビに出ていて、その当時問題になっていた「盗聴法」について、高校生らの中で肯定する人は、お父さんが言うから従っているのだろうと指摘し、家庭でも権力者として振る舞う人がいることを問題にしていたのを思い出した。

 また、ある同級生が言っていたけど、そのお父さんが死刑制度の問題で、「死刑廃止なんてとんでもねえ。悪いことしたやつはぶっ殺して当然なんだ」と言うので、「悪いことしたかを決めるのは権力だから怖いよ」と指摘したそうだ。
 このお父さんは、かつてヤクザが経営者する店とは知らずに入りボッタクリに遭い警察に訴えたが構ってもらえず、この実体験から警察に強い不信感を持っている人で、そのため息子に言われたことで混乱した様子だったという。

 つまり、高校生が知らなくても当然で、それは大人がしっかりしていないからで、だから高校生に教えて理解させると、今度は親が混乱するということだ。
 これは色々な分野で昔からのこと。





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by ruhiginoue | 2017-04-22 18:30 | 司法 | Comments(0)
 千葉大医学医学部生らによる集団強姦事件の裁判で、「重大と言い難い」と猶予付き判決になるなど、甘すぎるという批判と怒りが巻き起こっている。
 それ自体が酷すぎると多くの人にとって感じられるうえ、しかも、既に言われてきたとおりこの事件の犯人の一人が法曹界の大物一家の息子だから対応も甘くなっているようだと危惧されてきたら、判決までその通りになってしまったということだからだ。

 現実に裁判では、有力者とその家族とか、政府の仕事に関与しているとか、そんな話を特に必要でもないのに、わざわざ書面に書いたり法廷での弁論や準備期日ですることがよくあって、そうしておいてだからなんだとは言わず、しかし結果には見事に露骨に反映するもので、つまり今流行りの「忖度」ということなのだ。


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 私事だが、防衛医大の訴訟のときも、これはさんざんやられた。それでもこちらが勝訴して国は控訴しなかったし、防衛医大の内部からも加害医師に対して批判が起きていた。

 ところが、その後、防衛医大の訴訟代理人をしていた銀座ファースト法律事務所の田中清弁護士(東京弁護士会所属)は、無関係の別の訴訟で受任したという人から、訴訟について不満で結果は敗訴だったと「2ちゃんねる掲示板」に匿名で書かれたことについて事務所のホームページに「井上静事件」と題し「中傷誹謗をしている」と記載した。
 しかし、その2ちゃんねるに書かれた内容を調べてみると、銀座ファースト法律事務の中に入ったことのある人でないと知らないことが書かれていて、その所長である田中弁護士の配偶者が事務所で働いていることや、その趣味についてまで記載されていた。声楽であると具体的な記述も複数あった。こんなことは、同事務所の関係者か、法律相談や訴訟代理人の依頼および受任をした人だけだろう。

 なのに、前に敗訴させられたことがよほど悔しかったのか、その相手方だった者に濡れ衣を着せることで、その後に敗訴した別件で依頼人から文句を言われたことを誤魔化そうとした。それ以外に考えられない。
 そこで、名誉毀損で銀座ファースト法律事務を訴えたが、田中清弁護士は相談や依頼を受けた人について知らないと言い、配偶者の趣味については事実かと求釈明されても無視する。
 これについては、あの稲田防衛相の「法律相談も裁判も受けてない」を国会の中継で見ていて連想したものだ。

 そのうえで田中清弁護士は、まともに反論しないでおいて、自分が尊敬する何某とかいう人の著書の人生訓だというものの複写を提出して、これを読めば原告も揉め事を起こそうという気がしなくなるはずだと嘯いた。こんなことは抗弁でも反論でも事情ですらない体の良い悪ふざけであり、また法廷と相手方に対する侮辱でしかなく、とうてい法曹人が裁判でやることではない。
 そのうえで田中清弁護士は、自分はもと高裁判事であり退官後も政府の仕事をしている立場であると強調した。だから何だと言わないが、まさに「忖度」しろと裁判官に求めた。

 この結果、判決は「被告は訴えられたらホームページを書き変えており、もともとこう書くつもりだったことがうかがえるので違法行為ではない」というもの。これでよいなら、誰だってやりたい放題だろう。
 さらに控訴審では、ホームページのデータを提示して、錯誤により書き換えたという抗弁は虚偽であることを立証した。田中清弁護士はまさに「グーの音も出なかった」が、これに対して高裁の裁判長は法廷で、判決文を書く陪席判事に「田中先生のお立場を配慮しなさい」とニタニタしながら露骨に言い、傍聴席から怒りの野次が飛んだ。
 そして判決は、「反論しただけであって誰の名誉も棄損していない」というふざけたもの。問題になっているのは個人の実名を出して人違いをしたことだ。これを無視した。訴えの握りつぶしである。さらに、銀座ファースト法律事務が弁護士会の内規には違反していないなどと無関係なことが判決文に書かれていた。その判断をするとしても弁護士会の仕事であるし、そもそも訴訟とは何も関係がない。
 つまり、屁理屈すら捏ねられず言うに事欠いて関係のないことを書いて誤魔化したというわけだ。

 この田中清弁護士は、防衛医大の訴訟でも、問題の医師が心無い言葉で患者を傷つけたことについて、ただ「医師ともあろう者がそんなことをするはずがない」というだけで、従って「患者の虚言癖を如実に表している」と侮辱をしたが、この医師は後に千葉県で開業して患者にひどい言葉を浴びせ、薬の誤投与も指摘され、この被害者が大橋巨泉というたいへん有名な芸能人だったからマスコミに騒がれ、週刊誌さらにNHKまで取り上げたことは周知のとおり。

 また、安倍総理がデマをメルマガで流布して菅元総理を中傷して訴えられた裁判でも、嘘を流したけど他のことでそんな気がしたはずだから違法ではないという、むちゃくちゃな判決だったことも周知のとおり。
 これだって、裁判官が自ら、なんとかして今の総理大臣に媚びようと無理をやったという「忖度」だろう。

 このように、今流行りの「忖度」という言葉については、特にひどいのが裁判官であり、もっともしてはいけない立場の、他の者がやったら咎めないといけない立場の者が、当たり前のようにやっているため、社会が大変深刻な状態に陥っているのだ。




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by ruhiginoue | 2017-04-03 19:06 | 司法 | Comments(3)
 これは既に拙書『防衛医大の場合は』で詳しく述べたことだが、裁判の尋問で「ほんとうにそうですか」「間違いありません」「それならこれは何なんですか」と書面をつき出すのは常套手段だ。

 「同意書が無ければ手術は絶対にできない。この同意書をとっている」 
 「これがその同意書ですか」
 「そうです」
 「手術を執刀したあなた自身で実際に書いたものですか」
 「間違いありません。これは確かに私の字です」
 「では、同じ病院の他の複数の医師らが手術したあとから見て診療録に記述した内容と、あなたが書いた同意書の手術名が食い違っているのはなぜですか」
 これで医師は困ってしまった。そして、この問題が判決でも重く視られた。その後、この医師はさらに、これも前に以下に述べた通りの問題を起こしたということだ。



 これと基本的に同じなのが、国会での質問だった。質問した小川もと法相は、前に裁判官と検察官と弁護士をやっていた。答弁した稲田防衛相も弁護士だった。
 しかし稲田防衛相は、関係が無いと強調して法律相談も裁判の代理人も受けていないと繰り返したが、そこへ裁判の書面を出されて、名前が載っているではないかと問い詰められた。

 すると、同じ事務所の弁護士が連名で書面に載ることがあり、それだけだと言った。関与していないけど連名ということは実際にある。コケ脅しのことが多い。大勢の弁護士名が並んでいると、素人に対してはハッタリになる。
 また、有名な腕利きの弁護士だと、相手方の弁護士も緊張する。あの弘中弁護士も、同じ事務所の書面に、実際には関与してなくても名を載せている。しかし稲田朋美弁護士ではコケ脅しやハッタリになるだろうかと疑問だ。

 そして、書面に記名があるだけでなく出廷の記録が裁判所にあることを報じられると、後から詫びて訂正し「突然の質問だったので」と言い訳する稲田防衛相というお粗末。小川議員が「手に入れたばかりでまだ配っていないが」と書面の写しを持ち出したけど、そう言っているだけで、わざといきなり出したに決まっている。法廷では奇襲攻撃が当たり前だ。

 これで、彼女が弁護士として敗訴してばかりであることが納得できるというものだ。
 しかし、拙書『朝日新聞の逆襲』に書いた通り、稲田朋美という人は売れない田舎の弁護士だったが、産経に売り込んで騒ぎ立て、朝日新聞に嫌がらせの訴訟を呼びかけ、支援者集会では弁護士として敗訴を詫びるのではなく選挙演説。日本は無能者がそれゆえ出世するとんでもない社会ということである。


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by ruhiginoue | 2017-03-15 17:39 | 司法 | Comments(2)