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by ruhiginoue

カテゴリ:映画( 199 )

 矢口洪一元最高裁長官は「22歳で裁判官になれるって、やはりおかしい。大学出て司法研修所に1年行っただけで,世間のことがわかるわけがない」と発言し、40歳以上の社会経験のある人から裁判官を選ぶべきであると主張しているが、そんなことが最高裁長官までやってようやくわかったことなのかという疑問というか呆れというかの声があり、また、外国の例を見ると弁護士として働いた経験のある人が裁判官になるのだが、日本では裁判官もキャリア制度で、辞めてから弁護士になる「法曹逆一元化」だから、世間知らずの裁判官が荒唐無稽な事実認定をするなどの問題を、とっくに指摘されてきた。
 それに、裁判官は専門知識があればよいから、一般常識は裁判員が受け持ち、これを拡充するべきという意見もある。専門知識があればいいわけではないが、社会経験があればいいわけでもなく、例えば大阪では校長先生を社会経験のある人から登用させたら滅茶苦茶になり、しょせん「維新」の連中が関わっていたからだという批判がいっぱいである。

 そういえば、映画『評決』に描かれる裁判で、主人公の弁護士に反感をもつ裁判官が不公正な訴訟指揮をするけれど、この裁判官は「私だって弁護士の経験がある」と言う。これに主人公が「それは腐敗した連中相手の交渉役じゃないか。今も相変わらずだ」と詰め寄るけど、これに日本では輪をかけようになるだろう。法曹一元化をしたところで、辞め判・辞め検に代わって、政治家や大企業の顧問弁護士から転じた裁判官が幅を利かせるようになることは火を見るより明らかだ。

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 ところで、この映画『評決』は、少年時代に新宿の映画館で観たが、この当時よく一緒に映画を観に行った同級生は、興味が無いと言った。彼は、その前の時期に公開された洋画で話題になった『黄昏』『レッズ』『炎のランナー』などのアカデミー賞作品にもまったく興味がなく、当時の公開で観に行ったのは『ET』『遊星からの物体X』『ランボー』などで、アクションとSFの他はアニメしか観ない人だった。「だからお前はガキなんだ。彼女もできないんだ」と声に出さずに呟いたが、大人になっても同じだったから、趣味の問題だったのだろう。
 しかしこの当時、まさか将来自分で医療裁判をやるとは想像もできなかった。SFが現実になることより想像できなかった。

 ただ、『評決』を観た当時、結末に呆気に取られて理解できなかった。『12人の怒れる男』をテレビで見て面白かったので、同じ監督が陪審員をテーマにした映画を撮ったということで興味をもって観ることにした。ところが、『12人』で陪審員たちは、被告人の人種がマイノリティである偏見を排し証拠と証言について論理的に検証して無罪の評決をする過程がスリリングだったのに、『評決』では決定的な証言を裁判官が否定したのに対し陪審員たちは原告の訴えを相当と認めるので、呆気にとられたのだった。

 これと同じ印象をもった人は日本には多かったようだ。あのときポールニューマンふんする弁護士は、最終弁論で陪審員たちに「あなたたちが法であり、正義を実行する稀な機会です」と訴えるだけだから、まるで、情調に訴えたから逆転勝ちしたと誤解してしまいそうだ。実際にそう思ってしまった人たちが大勢いて、ネット上にもそういう意見がいっぱいある。

 しかし、情調に訴えて勝てるなら、『12人』を否定することになる。この被告人はマイノリティだが、これで思い出す米映画は『アラバマ物語』である。グレゴリーペックがアカデミー賞の熱演をした弁護士は、人種差別がもっとも強い時期の南部で、周囲の偏見にも関わらず黒人の被告人を熱心に弁護するが、白人ばかりの陪審員たちは有罪にしてしまう。法廷ではどう見てみても彼の勝ちだったし、白人女性が暴行を受けて負傷したのは父親のDVとしか考えられないのだが。しかも、それを傍聴人たちの前で暴かれて恥をさらした父親から主人公は逆恨みされてしまう。

 このように、『評決』の陪審員たちは証拠と論より情緒に流されたのだろうか。もちろん違う。
 よく映画を観ていると、裁判官が証言を排除しろと言ったのは、証人が証言を裏付ける物的証拠としてカルテのコピーを取っていたが、コピーは改ざんできるので証拠採用しなかった判例があるからだった。
 これに主人公は異議を申し立てて例外を求める。裁判官は異議を考慮するとしか言わず事実上の無視なのだが、これに陪審員が合わせないといけないのではない。また、物的証拠がなくても証言が内容的に周囲の客観的事実と符合していれば信用できるし、そもそもどうしてコピーを取っていたのかというと、その証言をした看護師は事故があった時に担当医の圧力でカルテの改ざんをさせられ、後から問題になるかもしれないと思ったからで、なにも無いのにコピーを取っておこうとするわけがない。
 しかも、専門的見地からは、そのような事故がなんの原因もなく起きるとは考えられず、そうなると、予想外の出来事だったという弁解は責任逃れのために言っているとしか思えなかった、という前提がある。
 さらに、看護師の女性の名を聴いた途端に、被告席の医師らは驚き一瞬狼狽していたし、その看護師は証言しながら、職を追われたことを涙ぐんで話した。これらの様子を陪審員たちは目撃している。これに対して、いくら判例を盾にして証言を排除しようとしても、無駄であろう。
 だから主人公の補佐をしている先輩の弁護士は「証言の効果は変わらないよ」と言うのだ。

 これらをちゃんと見て意味を理解できていないと、情緒に訴えたようにしか感じないだろう。
 そして特に肝要なのは、陪審員とは何かということだ。あの裁判官の横暴な態度と個人的感情に基づく偏向した訴訟指揮ぶりは、陪審員たちが直接目撃していて、それに反感も覚えているだろう。だから、官僚の独裁にならないよう市民がチェックするために陪審員がいるということである以上、裁判官の指示を無視して反対の判断をすることは当然である。
 この認識を日本では多くの人がもっていない。陪審員制度が無くなって久しく、今は裁判員制度があるけれど、これも陪審員と違って裁判官を補佐するものでしかない。このため、映画『評決』をちゃんと理解できない日本人が大勢いるのだ。



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by ruhiginoue | 2017-06-25 16:25 | 映画 | Comments(1)
 おそらく官邸の陰謀だろうといわれている前川元次官を貶める記事のため、読売新聞に「まるで三流週刊誌のような内容だ」という苦情が寄せられ、怒って購読を中止するという長年の読者までいるということが報じられている。

 ところで、先日は新聞の盛んな英国の事情について触れたが、そのさい読売新聞は英国だとデイリーテレグラフ紙に該当すると述べた。同紙は英国の一般紙でもっとも発行部数が多く、他の一般紙でクオリティペーパー(高級紙)として分類されているザ・タイムズとガーディアンの両紙に比べると娯楽性がやや強く、日本で言うところの三面記事を重視し、論説は保守的だから選挙で保守党に投票する読者が多い、ということだ。

 ここに掲載している画像は英国のアニメ映画『風が吹くとき』(原作は82年、映画は86年の発表)の冒頭の場面だが、実写動画からはじまり、それについて報じる新聞を主人公のジムが読んでいる場面へとつなげて本篇であるアニメになる。
 ここでデビッドボウイの主題歌が流れている。『スノーマン』のアニメ化でデビッドボウイがナレーションを担当しているが、原作者が同じである。

 さて、『風が吹くとき』でジムが読んでいるのがザ・タイムズで、右隣にはデイリーテレグラフがあり、左隣にはファイナンシャルタイムズがある。ファイナンシャルタイムズはその名の通り経済紙で、英語で発行している新聞としては世界一の部数だが、英国以外での発行が多い。
 そして英国で発行部数が最も多いのはザ・サンで、これは大衆紙とかゴシップ紙とか言われていて、品の悪いい記事を売りにしているから日本では東スポのようなものだが、下ネタなど男性むけ記事が多いので、芸能やスキャンダルを好む女性は他の大衆紙を読んだりもする。

 この映画『風が吹くとき』で、ジムは硬い記事を熱心だが少し背伸びしたような感じで読んでいる。彼は労働階級である。この話は同じ作者の他の続編というかスピンオフ作品というかの内容で、前の話でジムは刑務所に入ったことがあり、妻に見送られながら護送されていく最後のほうがむしろ悲しい。

 この妻ヒルダは、後の会話でゴシップ紙しか読まないと言っている。だから夫のほうが少し博識であることが話す内容からわかる。
 それにしても、ラジオで戦争になりそうだと報じられているのを聴くとヒルダは「またドイツが攻めてくるんですか」と言う。「今度はロシアだよ」とジムが言うと「スターリンさんは感じの良い人だけど。お鬚が」という調子だ。

 そして、核攻撃で汚染が浸透してくると、田舎暮らしの二人は、お上が指示したとおりの荒唐無稽な対策をとり、政府を信じたまま衰弱して死んでゆく。
 この最後を今の日本は笑っていられない。北朝鮮がミサイル発射実験をしたら、標的となる米軍基地の近くでもないところで、従順な田舎の人たちは、雷対策と同じようにしゃがんだり伏せたりして頭を抱えることを、指図されたまま唯々諾々と従ってやっていた。

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by ruhiginoue | 2017-06-22 15:57 | 映画 | Comments(0)
 『ポチの告白』という、警察の腐敗を告発した映画があった。裁判になる場面があり、裁判官の役であの宮崎学がカメオ出演していて、警察から脅しの電話がかかる。風俗店に行ったことがないかという。警察では防犯カメラを押さえることができるから暴露して報復することをほのめかす。 
 
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 今、読売新聞が呆れられている出会い系バー通いの記事も、そのつもりだったのだろうが、失敗に終わった。 

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 出会い系バーといえば、実話に基づいた映画『ミスターグッドバーを探して』があったのを、久しぶりに思い出した。

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 ところが、『タクシードライバー』で売春宿に客として行きながら家出少女に説教していた運転手が、そのあとギャング相手に銃撃戦を展開するけれど、あの前川氏も出会い系バーに行って若い女性の相談相手になっていたわけで、そして安倍内閣を相手に大立ち回りを演じてマスコミに騒がれている。
 モヒカン刈りで証人喚問に出ていくことはないとしても、事実の弾薬は大量に所持しているだろう。

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 ところで、また思い出したのが「♪人間だったら友達だけど、ロボットだからロボダッチ」というCМソング。そのとき、マエダッチさんは高校生か大学生になったかくらいだったから、プラモデルをもってはいなくても聞いたことくらいはありそうだが、東大に入る当時だからたくさん勉強していてテレビなんて見てないかもしれない。
 マエダッチと呼ぶ女性の世代ではまったく知らないだろう。

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 そういえば過日、親戚の子供がもっているロボットに「ゾイドだね」と言ってしまい「トランスフォーマーだよ」と訂正されたことがある。その子供たちが大人になって映画になったのを観ているわけだ。


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by ruhiginoue | 2017-06-12 16:09 | 映画 | Comments(0)
 宮崎駿監督がまた長編を作ると言いアニメーター募集している。これはよい経験になるから応募したらと言うアニメーターがいて、おそらく宮崎作品を足掛かりにした庵野秀明のようになれるかもしれないということだろうが、しかしヒット作を出してもお金で泥仕合をしているし、それより低賃金労働なんて団結してボイコットを呼びかけるべきではないかと言う業界人もいる。

 たしかに条件が悪すぎる。そして良質なアニメ映画は世界各地で製作されていて、日本製は低賃金労働により安いから世界各地で買われているだけ。なのに世界中で愛される日本アニメとか世界に誇る文化とか言っている人がいて呆れさせられる。
 そんな日本よりは、外国の製作現場がよほど良いらしいことは賃金など数字で判ると言われているが、かつて宮崎駿などを虜にしたソビエト連邦のアニメ製作現場はどうだったのだろうか。日本よりは良かっただろうが、政治的な背景ばかり語られる。

 その点、先日話題にした『森は生きている』は原作に封建制度批判があった。女王がワガママばかり言うのは両親を早く亡くして寂しいうえ跡を継いで即位し権力者になってしまったからだが、こういう視点はディズニーの作品にはない。それでもシンデレラや白雪姫のころとは変わってアナ王女がしょうもない王子をぶっ飛ばしたりはするようになった。
 それにしても、総理は辞書に載っていると言ったけど載ってないので閣議決定してしまうなんでのは、マツユキ草がないうちは新年ではない、今日は1月1日ではなく12月32日、というワガママな女王陛下と同じで、日本は封建時代に逆戻りしたようだ。

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 また、安倍総理は家計氏と「逆らうこと莫(な)し」の親しい間柄「莫逆の友」だと書いた草稿の「莫逆」を「ばくぎゃく」ではなく「ばくしん」と読み違えたらしいが、どうやったらそう読めるのだろうか。かつて新選組をSFにした『バクシンガー』というアニメがあったのを思い出してしまった。

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 そんな自民党に媚びうる人たちがマスコミにはいっぱいで、芸能人にも目立つが、特にひどいのが寿司食ったりしている人たち。志賀直哉の『小僧の神様』じゃあるまいしと思っていたら、今度は総理が三浦瑠璃と会食したそうだ。曽野綾子や櫻井よしこが歳をとりすぎたので次の餌付けということだろう。
 しかし、先日の読売新聞に掲載された「識者」の意見で「国際政治学者」という肩書で三浦瑠璃が載っていたのを読んだある同級生が笑っていた。ヒデエ内容だということだ。これが識者とか国際政治学者とか、最大発行部数の新聞から呼ばれるのかと。
 また、「三浦瑠璃ってラリルレロみたいな名前だな」と言って替え歌を作っていた。

 ♪パーパー瑠璃はー、御用学者ー、自民の為ならエンヤトットドッコイショ、ラリホー、ラリホー、ラリルレロン

 そういえば、ディズニーよりハンナバーバーラのアニメのほうが子供には親しまれてきた。これはオリジナルより吹き替えとか主題歌が良かったからだろう。



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by ruhiginoue | 2017-05-29 20:38 | 映画 | Comments(7)
 安倍総理とカミさんら自民党内閣の連中がやってることは育ちのせいでワガママというのが見て取れるが、まるで『森は生きている』でワガママな女王様が12月にマツユキ草が欲しいと言い出し家来も国民も振り回されてるようなものだ。

 特に、辞書に載っていると言うけど実際には載っていないなら閣議決定するなんざ「マツユキ草がないうちは新年ではない。明日は12月32日」と女王様が言っているのと同じだろう。 

 ところで、この『森は生きている』はアニメ映画になっているが、宮崎駿が影響されたという『雪の女王』と同様に、この当時のソビエトアニメはすごい。

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by ruhiginoue | 2017-05-27 18:50 | 映画 | Comments(1)
 台湾が、アジアで初の同性婚合法化へと踏み出したとの報道。
「嬉しくて泣いている」と、結婚できる人たちは言っているそうだ。

 これで思い出したのは『ウエディングバンケット』という90年代の映画。アメリカが舞台だけど米国人男性をパートナーにする台湾男性が主人公の台湾とアメリカ合作映画だった。
 そんな映画が製作されるくらいだから意識も進んでいたのだろうか、と思ってしまった。ほかにも色々と社会の中に事情があるはずだろうが。

 ところで、この映画が面白いと紹介したら観たという知人たちのうち、印象的だった感想が二つある。
 
 その一つは、劇中で主人公が同性愛であることを親に隠すため婚約者のふりを頼む女性について。これでも女性かというくらいガサツで、主人公のパートナーの男性のほうが家事はできるし神経は細やかだ。
 これを観て、その知人は「この女のガサツさ、俺の妹とソックリだ」と言った。その妹は知っているが、たしかにひどい。

 もう一つは、観て面白かったけどラブシーンが少ないので物足りないと言った男性。この男性は上野の映画館にかかっているものが好きだと言う。そこは「ハッテンバ」と言われ男性同士の出会いの場として有名だが、そこに行くのだから鑑賞だけが目的ではあるまい。

 それはともかく、台湾が変わったことの反映だから良かったのではないか。政治も、かつて台湾の国会は強行採決と乱闘が名物だったが、だいぶ良くなったらしい。日本のほうが遅れていると言えるかもしれない。


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by ruhiginoue | 2017-05-26 20:13 | 映画 | Comments(2)
 デビッドリンチが監督引退を表明したそうだ。彼の映画はみんな映画館で観たけど『デューン砂の惑星』だけ退屈だった。これはベストセラーの映画化だけど雇われ監督だったからだろう。

 引退表明といえばアランドロンも引退を表明したそうだ。二枚目(これはほんらい歌舞伎の言葉だが)の代表みたいに言われ、日本ではかつて喩え話に使われていた。(この場合は「例え」か)
 七十年代の後半、スナック菓子の宣伝で水谷豊が「あなたのライバルは」と訊かれ「アランドロンかなー」と惚けて言うCМが話題になったことがあるし、歌謡曲では榊原郁恵が「アランドロンとアルパチーノを足したより貴方がいい」という意味の題と内容の歌を唄っていた。
 この一方でドリフターズの番組でピンクレディーが唄う主題の中に「ドロンに痺れるお兄さん、遅れた人だと言われるよ。二枚目なんかじゃモテないよ。個性の時代なのを知らないのか」とのくだりがあり、人気絶頂を過ぎていることが歌詞に反映していた。

 さらに後、アランドロンの代表作とも言われる『太陽がいっぱい』についてルネクレマン監督は、アランドロンを起用したわけをインタビューで訊かれると「映画会社が、これから売り出すから使えと言ったからだ」という答え。よくあることではあるが、つづけて「それでも真面目にやれば文句ないが、役作りや演技がいいかげんで、海にロケに行けば遊んでばかりいて撮影に支障を来すくらい日焼けしやがって…」などと頭にきた思い出ばかり話していた。

 そんなアランドロンだけでなく、二枚目だけとバカというのはよくある話で、アメリカにも「バカプリオ」と言われる人などがいる。
 そしてドロンはモテるから、かなり歳になってから年下の女性と結婚したり、子供が複数いるけど母親は別とか、いろいろあって、そういう人が解りもしない政治の話をすれば安易に国士を気取るものだが、ドロンはよく「私は右翼だ」と言って、それらしい発言をしては薄っぺらだった。
 これとよく比較されたのがイヴモンタンで、モンタンは左翼っぽかったが父親がパルチザンだった影響で素養があったから、ことさら言わなくても中身があったということらしい。

 そして今回の大統領選挙でもやはりドロンはルペンを支持していた。 
 しかし、当選したマクロンも大同小異ではないか。それでこき下ろすならルペンのほうがやりやすかった。前はサルコジ大統領を猿乞食と言っていたが、次はルンペン大統領と言いたいところだった。ところが今度はマカロンを連想する。これだと人によっては美味しそうに感じる。前に銀座の専門店で買って食べたときはそんな美味しいとは思わなかったが。

 ところが、そんなマクロン大統領について、24歳年上の女性と結婚しているとかくだらない話ばかりマスコミは騒いで、政治がちゃんと語られていない。
 前にミッテラン大統領は、妻との間以外に子供がいて「隠し子」と報じられたが、それについてテレビのインタビューで「ええ、娘がいます。だから?」それで終わり。今度の大統領もそうだ。年上で教師だった人と結婚しているというけど、だから何なのか。政策とは全然関係がない。

 これだからドロンのことばかり言えない。マクロンはルペンほど右派ではないが、戦争をしかける恐れはむしろ強い。トランプよりヒラリーが危ないと言われたように。こういう話をしないで私生活の話ばかりしてウケると思っているマスコミは、市民をバカにしている。

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by ruhiginoue | 2017-05-11 17:42 | 映画 | Comments(4)
 小学館の子供向け歴史漫画が、日本の首相からマッカーサーに提案した憲法の戦争放棄を、改訂版で逆にマッカーサーの提案に改変しており、見事に歴史修正主義を発揮していたことは周知のとおりである。これは中曾根康弘が作詞した『憲法改正の歌』にも歌われており、そうした政治的意図を受けてのことだろう。
 もちろん嘘はいけないが、誤解している人もいるだろう。日本国憲法は全部アメリカ側が作って日本は英文を和訳しただけだという勝手な思い込みがあって、NHKから学校の社会科の教師までが何の根拠もなく本気で言っていたくらいだから。
 ところが、今年はNHKが正しいドキュメンタリーを作っていたので話題になっている。その前から、個人的には『マッカーサー』という映画にその場面が描かれていたから、最初は映画のほうが史実と違うようになっているのかと疑い、調べたら映画が正しかった。

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 この77年に日本で公開された映画『マッカーサー』では、グレゴリーペックが軍服を着てサングラスをかけてコーンパイプ咥えて出てきて「アイ シャル リターン」とか「オールド ソルジャー ネバー ダイ」と言っていた。
 この直前、グレゴリーペックはリンカーン大統領の役を演じたらどうかと提案されたが「リンカーンは56歳のとき暗殺されていて、その年齢を私は過ぎているから早いほうが良いけど、納得のいく脚本に出会っていない」と言っていた。
 のちにテレビでグレゴリーペックはリンカーンに扮するが、歴史上の人物にふんすることについて、「いくら実在の人物でもナポレオンやネロは御免だ」と言っていた。
 ところが、そのあと立て続けに実在人物を演じるが、まずマッカーサーに扮すると、徹底的に調べて役作りをしたので外見はソックリだと言われたのだが、このときグレゴリーペックは「マッカーサーについて詳しく知ると、彼を見直す部分が出てきた。その前までは批判的な部分が多かった」と言った。
 よくグレゴリーペックはリベラル派といわれ、ニクソン大統領の「敵になりそうな有名人リスト」に、レナードバーンスタインやジェーンフォンダらと一緒に載っていたそうだが、そんな彼らしい話だった。
 そのあとグレゴリーペックは『ブラジルから来た少年』でヨゼフメンゲレに扮した。グレゴリーペックは親が薬剤師だった影響で医学部に入ったことがあり、俳優になったら知的で誠実な二枚目役が得意で、アカデミー賞の『アラバマ物語』などで弁護士役は何度も演じているが、今度は医師の役しかし実在の悪い人しかもナチスの狂信者だから、彼がこんな悪役をよくやったものだと意外に受け取られた。
 
 このリベラル派のグレゴリーペックが批判的だったけどよく知ったら見直したというマッカーサーについて、よく言われるのは日本の民主化とくに女性差別撤廃に貢献した部分だ。アメリカでも、そこまではよかったが、そのあとがダメで、特に朝鮮戦争の「仁川上陸」が無茶苦茶な作戦だったので余計な犠牲者が出たと言われている。
 これを美化した映画もあった。統一教会系のワンウエイプロ製作『インチョン/仁川』で、この映画の話は前にしたとおりなので以下省略。 
 ただ、安倍内閣は、この映画と同じ水準である。



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by ruhiginoue | 2017-05-03 14:53 | 映画 | Comments(8)
 最近公開された北朝鮮軍の演習の映像を見ると、かつての東宝特撮映画の円谷英二が演出した場面みたいで、音楽を『地球防衛軍』に差し替えたらピッタリだが、北朝鮮製の軍歌は伊福部昭の音楽と雰囲気が似ていることがよくある。これは戦意を煽りながら民族性を強調しているからだろう。

 こうした特撮映画で自衛隊が出てくる場面の伊福部昭の音楽はストラヴィンスキーやムソルグスキーにそっくりだが、これは北海道出身だからだろう。北朝鮮も地理からロシアの影響がある。
 あと北朝鮮の怪獣映画『プルガサリ』でプルガサリの中に入って演じていたのはゴジラ役者の薩摩剣八郎だが、ストーリは大魔神であった。彼がその時のことを綴った『ゴジラの見た北朝鮮』という本が面白かった。

 ところで北朝鮮の放送を聴くと、受信状態が良くないので音質は悪いが、音楽は実に面白い。韓国も同様。朝鮮半島は昔から音楽が盛んで、日本の伝統的音楽は大変な影響を受けている。日本的と言われる音楽の多くが実は渡来したものに基づいていて、例えば日本人の苦手な三拍子など朝鮮半島ではむしろ主流だ。日本の民謡もそれに倣っている。 
 あと興味深いのは、北朝鮮の放送では時々トピックや音楽の合間に意味不明の数字を読み上げることだ。おそらく工作員に伝える暗号だろうと昔から言われている。だから公安や自衛隊情報隊の皆さんは解読のため聴いているはず。日本人でもっとも熱心に聴いていて、音楽にも親しんでいるだろう。

 さて、映像を編集するソフトの扱いを練習しているのだが、それでまず音楽を被せる作業をやってみた。

 





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by ruhiginoue | 2017-05-02 17:35 | 映画 | Comments(3)
 スチーブンキングの小説『ファイアースターター』が、再映画化されるそうだ。
 この前の映画化は84年だったが、小説を読んだ人たちは内容の改ざんに驚きあきれたものだった。小説で描かれた内容をうまく映像で表現できないとか予算の都合でお寒いとか、そういうことならよくあることだが、この『ファイアースターター』の映画化である邦題『炎の少女チャーリー』は、その改変の仕方がひどかったのだ。

 例えば、映画では主人公の父親が政府機関に追われて救いを求める手紙を出すと雇われた殺し屋が郵便局員を殺害して手紙を奪ってしまうのだが、原作の小説では政府機関の職員が権力を笠に着て郵便局員から手紙をひったくり開封してしまうのだ。それも、自分は政府の者だと堂々と名乗って。
 「令状はあるのか」と郵便局員か問うと「そんなもの要らない」と高圧的な態度。「それではだめだ。政府の仕事でも、裁判所に申請して令状を取らないといけない。通信の秘密は憲法で保障された国民の権利であり…」
 「うるさい。我々には憲法なんて関係ない。痛い目に遭いたくなければ黙れ」
 これに郵便局員は、相手は国家権力が背広を着て立っていると感じた。そして、自分の父親は戦争で国のために戦ったが、それは自由と権利を守る国のためで、こんな横暴は許せないと悔しがる。地元の議員に相談しようと思うが、果たしてそれで力になるだろうかと不安でもある。

 また、最後に映画では、主人公チャーリーがたまたま出会って親切にしてもらった農場の老夫妻が、そこへ押しかけてきた政府の諜報機関の横暴に怒り、マスコミに訴えようとチャーリーを連れてニューヨークタイムズ社を訪れ、これで大丈夫という結末。
 しかし原作では、政府の者だと言えばよいという態度で令状なしに当たり前のように不法侵入してきたことを目の当たりにした老夫妻は、これではどこでも手が回っているだろうと察し、マスコミに取り上げてもらい世論に訴えようとしても圧力がかかって報道はしてもらえないかもしれず、政府の機関ならとうにお見通しだろうから、ニューヨークタイムズ社へ行ったらそこのロビーで待ち伏せされているかもしれないと危惧する。
 この老夫婦の会話を聞いたチャーリーは、迷惑をかけないようにと置手紙を書き独りで出ていく。そして、訴えを聞いてくれるところはないかと悩み、図書館を訪ねて司書なら教えてくれるかもしれないと質問する。この質問に司書は困惑する。
 「ほんとうの報道をするところはどこですか?独立したマスコミはありますか?政府の紐付きではないところは」

 このように、小説で作者が突き付けている問題が、映画化では気が抜けたようになっていたのだ。これをリメイクしたら、どうなるのだろうか。




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by ruhiginoue | 2017-04-30 18:04 | 映画 | Comments(12)