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by ruhiginoue

松田聖子の80年代

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追記 動画はアップロードした人自らによって削除されたそうです。
 
 youtubeで偶然発見したのだが、この甘い声と愛らしい容姿と表情と仕草と清純さ。これを観る限りでは、後に身持ちの悪い女性の代名詞のように言われたりするのが信じられない。
 よく「日本の80年代は松田聖子が開いた」と言われる。これは、たまたま80年代に入るとほとんど同時に松田聖子が活躍し始めたというだけではない。
 当時から活躍していたベテラン美容師が言っていたのだが、例の「聖子カット」を当時は日本中の美容師が練習したそうだ。でないと、商売にならなかった。たしかに、80年代前半は街で真似していない女性を見つけるほうが難しいほどだった。そして松田聖子が次にどんな髪型をするかと多くの美容師たちは気にしていて、新しい髪型になるたびにやり方を覚えた。
 しかし、外見だけなら単なる流行でしかなく、その程度のことができたスターなら前にも後にもいる。ところが松田聖子は違う。
 彼女はスタイリストの奨める髪型も服装も拒絶して、かなり強引に聖子カットも例のヒラヒラドレスも、自ら持ち込んだという。そこに、多くの女性が何か感じるものがあった。男性ファンが可愛いと言って喜んでいる以上に深い意味で女性を惹き付けた。だから、さらに彼女が私生活で、もう説明するまでもない周知のとおりの遍歴だが、叩かれもするけれど、そこにある我の張り方や押しの強さに憧れる人が多いのも事実だった。
 そしてそれと彼女の歌は不可分だった。ただし彼女は、ウーマンリブの70年代に実力で世の中を渡っていく強い女の象徴だったバーバラ・ストライサントとはまったく異なるし、歌もフォークやロックやレゲエのようなメッセージソングではない。松田聖子はアイドル歌手として他愛無い恋愛の歌を唄っていた。しかしそこには一貫した思想があってイデオロギーとすら言えるものだった。これは最初に誰が言ったのかは不明だが「恋愛至上主義」と呼ばれていて、80年代に成立した消費社会の象徴だった。
 つまり、ただその時期に活躍して流行にもなったというにとどまらず、時代を体現した存在だったわけで、これは実際に社会学的な見地から論じられることまであった。それほどまでの歌手は松田聖子の他は美空ひばりだけで、スターはいろいろ居るが、格が違うのだ。こればっかりはプロであれアンチであれ、認めざるを得ないことだろう。
 好むと好まざるとにかかわらず、松田聖子という存在の大きさは認知しなければならなかった。そして80年代と昭和が終わりバブル経済が破綻して「失われた十年」となり、21世紀を迎え『蟹工船』がまた読まれるようになってしまったことについては、別の機会に話したい。


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by ruhiginoue | 2009-04-19 01:06 | 芸能