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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

奨学金未回収

 アメリカの人気ドラマ『CSI』に、高校生が父親を事故に見せかけて殺そうとした話がある。
 この高校生は成績優秀で、名門大学の入学試験に合格したが、父親が学費を出さないと言い出した。家族を養うため懸命に働いているのに妻が無理解とわがまま放題のため嫌になってしまったことに加え、中卒たたき上げが誇りだったから息子の学問への憧憬が理解できなかった。それで意地悪になってしまったわけだが、そんなことで将来の希望を潰されたくない息子は、父親がいなければ奨学金が得られると考えて、事件を仕組んだという話だった。
 学費が出せそうな収入が親にあると、奨学金は得られない。しかし、収入があるのに出さない親もいて、上記ドラマのように家族仲が上手くいっていなかったり、学問に無理解とか偏見があったり、などの事情とか、他にも不倫に金を使ってしまっていたりして子供に学費を出さないなど、いろいろある。それでも、あくまで家庭内の問題だとして機械的にはねられてしまう。
 自分もその類の一人だったので、奨学金を借りておいて踏み倒す人がいるという話を聞くと嫌な感じがする。「日本学生支援機構」(旧日本育英会)の未回収は、かなりの部分が管理ずさんによるものらしいが、しかし借りた者も、失業など事情はあっても、後の者たちへの影響を考えたら踏み倒しはなかなかできないのではないだろうか。それでもやってしまうのは余程のことか身勝手か、どちらかだろう。
 どうであれ、この種の話は人の心を荒廃させてしまう。
 前に、やはりドラマのように中卒たたき上げの人がいて、その人は父親から高校を中退させられて家業を継がされたため昔は父親を恨んでいたそうだが、その話をしながら「それでも親が学校に行かせてくれないとか学費を出してくれないとか不満を言ってはいけない。親には絶対になにか考えがあってのことなんだ」と非難の言葉を浴びせられてしまった。
 彼は自分の息子は学費が特に高い私立大学に、それもマイカー通学させ、しかも入学祝いまで買い与えていた。それが悪いとは言わない。むしろ自分ができなかったことを子供にはさせているから偉い。だが、そうしておいて、苦学しているよその子に自分の昔の不満をぶつける。自分が不満ながら親の言いなりになっていて、裸一貫から事業を興したのではなく家業はしっかり継いで生業としていて、なのに、自分が出来なかったことを苦労して完全自力で成し遂げているよその子を罵ったのだ。
 そのときは不愉快だったが、そのうち、なんと情けない人かと呆れ、しかし、普段明るくて社会人家庭人としてはしっかりしてる人でさえ、傷ついてしまったら治らず、自分の内に秘めておくことも出来なかったのだな、と考えるようになり、すると妙な気持ちの落ち着きを感じた。不愉快とか呆れたとかはしょせん感情だが、そうではなく理解して認識したからだろう。

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by ruhiginoue | 2009-09-30 18:10 | 社会