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by ruhiginoue

ホロコーストと地下鉄サリン事件と光市母子殺害事件

 今日は東京千代田区霞が関で「地下鉄サリン事件」があった日からちょうど17年である。
 あの事件は、震災と原発事故などによって、すっかり霞んでしまった。直前には阪神淡路震災があって、今年は最悪と言われたものだが、その最悪の程度を更新してしまった。
 あのとき、自分がちょうど地下鉄千代田線に乗っていたため混乱に巻き込まれたから、印象的であった。前に述べたとおり、駅の周辺を防護服の人たちが取り囲み、まるで映画『カサンドラクロス』であった。
 そして今年は、中東・北アフリカ諸国へのNATO軍による侵略と、光市母子殺害事件の死刑判決があり、そこに共通するものが感じられる。
 まず、ナチにより強制収容所などで殺害された多くの人たちとは、ナチに反抗的な者やナチにとって不都合な、実に多様な者たちである。それを、ユダヤ人だけが特別に気の毒な被害者であるかのように言って、ユダヤ人には償いや復讐について特権があると言わんばかりに、イスラエルやユダヤ系団体が横暴さを発揮しているから、しばしば国際社会で批判されているのは、周知のとおり。
 いくらホロコーストとかガス室など悲惨な事件があったとしても、それは特権を主張する根拠とはならないし、今となっては大国や大資本の後ろ盾ができて大きな態度をとっているのだから、もはや弱い被害者の人権ではなくなっている。
 これと同じことが、犯罪被害者にも言える。
 例えば、「地下鉄サリン事件被害者の会」(高橋シズヱ代表世話人)が、当時の鳩山邦夫法務大臣を批判した朝日新聞に、抗議した問題である。
 死刑だけは特に、絶対に間違いがあってはならないので、裁判の最終的な結果について、さらに法相が監査する制度となっているが、それをやめて機械的に執行するべきだと言い出したうえ次々と執行署名してしまった鳩山法相は、まるで乱発であり職責を果たしたとは言えないという批判を受けたのだった。
 すると「地下鉄サリン事件被害者の会」は、「(法相は)法に従って粛々と実行したのであり、非難中傷を受けることではない」などとする抗議文を朝日新聞社に送ったそうだが、これではまるで、間違った判決で死刑になる人がいても、自分の憎しみが優先だと言っているようなものである。
 これは光市事件など、他の犯罪でも同様である。犯罪は様々であるから、被害者も様々で、同じような被害に遭った被害者とその遺族でも、考え方は多様であるし、同じ人でもその時々によって考えや感情は変化するものである。
 だから、実際に色々な犯罪被害者があり、その中でも意見の対立とか見解の相違というものがあるし、拉致被害者の家族会でも、副会長だった蓮池透氏が異論を唱えたことで追放されたことは記憶に新しい。
 また、震災でもサリン事件でも、自衛隊が活躍したと賞賛した人たちがいるけど、これには報道されないだけで異論もある。
 そしてサリン事件では、対処に防衛医大が乗り出し、「被害に遭われた方はご相談ください」と広報していたが、それはハッタリでしかないと防衛医大の医師は明言していたのを、自分は直接に知っているし、そのお粗末さと無責任さを、被害者として実体験を持っている。
 だから、被害者なので特権的に発言させてもらえるのか。しかも異論は一切許さないということになるか。藤井誠二あたりの屁理屈を当て嵌めたら、そうならなければならないだろうが、絶対に無理だ。彼等の言う“被害者”“当事者”というのは、あくまで権力の後ろ盾を持つ者か、権力から利用されている者という意味でしかないのだから。
 そういう人たちに同情してみせて、正義の味方を気取る。実に安全な商売である。弱虫にもできるが、恥知らずにしかできないことだ。そんな人間ばかりが、大きな態度をとるようになってしまった。
 つまり、地下鉄サリン事件のあと、日本の社会は対応を間違ったのだ。
 
 
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by ruhiginoue | 2012-03-20 16:36 | 社会