自衛隊の鏡像である田母神俊雄と小西誠
2012年 05月 27日
前に、こんなに人がまだ講演したりしてるのかと呆れたという話をしたが、そのことをもう少し。
その航空自衛隊幕僚長・田母神俊雄が、発表することで更迭された「論文」とは、『日本は侵略国家だったのか』という題である。これが問題になって自衛隊を首にされ、それを売りにしている。
まるで、かつて自衛隊で「ブルジョワ政府打倒」などと書いたビラ貼りをしたため首になったことで「反戦自衛官」と騒がれ、これを売りにして極左の団体に入り広告塔となった小西誠元三曹の左右反転である。
このように、努力ではなく騒動で名を売る人は中身が乏しいものである。最初は幻想をもたれても、いずれバカでも気がつく。
しかし、バカな文でもバカが評価すれは受賞する。もちろん懸賞で最優秀賞に選ばれたのは、肩書きのため話題になるだろうという計算もあったはずだが、そうであっても内容がお粗末なのにお構い無しなのは、選者に原因がある。
その田母神が書いて一等賞となった文は、いろいろと受け売りをしていて論文というより読書感想文だと言われているけど、それが読み違いばかりであると指摘されている。
例えば歴史を専門にする右派系評論家の秦郁彦は右派雑誌『諸君!』09年の4月号で「田母神さんは私の著書からも引用しているが、趣旨をまったく逆に取り違えている。一事が万事この調子です」と述べているし、同誌同年1月号では防衛大学名誉教授佐瀬昌盛が「ほとんど子供のもので、彼の年齢、経歴に鑑みると信じがたいほど単細胞というほかない。そういう考えを私は憐れむ」という。
これらと同様の指摘と批判はたくさんある。しかし、そこまで意味内容を突っ込まなくても、ちょっと見ただけで何だコレはと思う文だ。題名のとおり論旨は日本が「侵略国家」(妙な表現だが)であったかどうかだが、それについて「よその国がやったから日本もやっていいことにはならないが、日本だけが侵略国家だと言われる筋合いもない」と書き出しているので、侵略国家だったが非難されなくても良いという話になるはずだけど、そうではなく「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である」という矛盾した正反対の主張をしている。
これは枝葉の細かい部分に難があるということではなく、論旨の中心である。それがこんなのでは駄目だと普通は思うが、それでも最優秀賞に選ばれたのは審査委員長が渡部昇一だからだ。渡部は、自分がまったく同じこと書いて何とも思わなかった人である。
かつて渡部は、『諸君!』82年10月号で「日本がアジアの大陸や諸島を侵略したことは確かである」とか「日本が大陸に侵略し、征服したことは一点の疑念も無い」などと書いていて、そのうえで、にもかかわらず戦犯追及のさい「天皇は裁判の対象にならなかった」のだから良かったと結論づけた。そして、その後に渡部は、考えが変わったとは言っていないけれど、なぜか、日本が侵略をしたというのは東京裁判によって刷り込まれた間違った歴史認識だと繰り返してきた。
これはおそらく、天皇擁護に気を取られて歴史認識で整合性を失うことまで気付かなかったのだろう。それにしてもお粗末である。こんな人が審査委員長だから、普通なら最劣等賞のものが最優秀賞になってしまうのも当然だろう。
この調子で、政治的な左右を問わず、規律正しい自衛隊(本当かな?)で組織に造反した英雄という騒動によりスターを作り上げているのである。
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その航空自衛隊幕僚長・田母神俊雄が、発表することで更迭された「論文」とは、『日本は侵略国家だったのか』という題である。これが問題になって自衛隊を首にされ、それを売りにしている。
まるで、かつて自衛隊で「ブルジョワ政府打倒」などと書いたビラ貼りをしたため首になったことで「反戦自衛官」と騒がれ、これを売りにして極左の団体に入り広告塔となった小西誠元三曹の左右反転である。
このように、努力ではなく騒動で名を売る人は中身が乏しいものである。最初は幻想をもたれても、いずれバカでも気がつく。
しかし、バカな文でもバカが評価すれは受賞する。もちろん懸賞で最優秀賞に選ばれたのは、肩書きのため話題になるだろうという計算もあったはずだが、そうであっても内容がお粗末なのにお構い無しなのは、選者に原因がある。
その田母神が書いて一等賞となった文は、いろいろと受け売りをしていて論文というより読書感想文だと言われているけど、それが読み違いばかりであると指摘されている。
例えば歴史を専門にする右派系評論家の秦郁彦は右派雑誌『諸君!』09年の4月号で「田母神さんは私の著書からも引用しているが、趣旨をまったく逆に取り違えている。一事が万事この調子です」と述べているし、同誌同年1月号では防衛大学名誉教授佐瀬昌盛が「ほとんど子供のもので、彼の年齢、経歴に鑑みると信じがたいほど単細胞というほかない。そういう考えを私は憐れむ」という。
これらと同様の指摘と批判はたくさんある。しかし、そこまで意味内容を突っ込まなくても、ちょっと見ただけで何だコレはと思う文だ。題名のとおり論旨は日本が「侵略国家」(妙な表現だが)であったかどうかだが、それについて「よその国がやったから日本もやっていいことにはならないが、日本だけが侵略国家だと言われる筋合いもない」と書き出しているので、侵略国家だったが非難されなくても良いという話になるはずだけど、そうではなく「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である」という矛盾した正反対の主張をしている。
これは枝葉の細かい部分に難があるということではなく、論旨の中心である。それがこんなのでは駄目だと普通は思うが、それでも最優秀賞に選ばれたのは審査委員長が渡部昇一だからだ。渡部は、自分がまったく同じこと書いて何とも思わなかった人である。
かつて渡部は、『諸君!』82年10月号で「日本がアジアの大陸や諸島を侵略したことは確かである」とか「日本が大陸に侵略し、征服したことは一点の疑念も無い」などと書いていて、そのうえで、にもかかわらず戦犯追及のさい「天皇は裁判の対象にならなかった」のだから良かったと結論づけた。そして、その後に渡部は、考えが変わったとは言っていないけれど、なぜか、日本が侵略をしたというのは東京裁判によって刷り込まれた間違った歴史認識だと繰り返してきた。
これはおそらく、天皇擁護に気を取られて歴史認識で整合性を失うことまで気付かなかったのだろう。それにしてもお粗末である。こんな人が審査委員長だから、普通なら最劣等賞のものが最優秀賞になってしまうのも当然だろう。
この調子で、政治的な左右を問わず、規律正しい自衛隊(本当かな?)で組織に造反した英雄という騒動によりスターを作り上げているのである。
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by ruhiginoue
| 2012-05-27 15:47
| 政治