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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

靖国神社への間違った認識

 靖国神社に対して、間違った二つの認識を持つ人が多すぎる。
 二つなのは、問題が外交と国内の二種類であるためだ。
 まず、外交について。靖国は戦争を肯定したり美化したりする施設だから、それに参拝すれば批判する国があると単純に思っている人がいるが、そうではない。自国の戦争を美化している国はたくさんあるし、そんなことで批判すれば当否は別にして内政干渉になってしまう。
 真実は、こういうことだ。戦争について日本が反省することにより仲直りしようという外交上の約束をしたにもかかわらず、その戦争で責任がある日本の政治指導者たちを英雄と賛美している施設に、日本国の代表者が参拝するのでは約束違反になる、といって相手国は抗議しているのだ。
 だから、そうした約束をしていない国々も批判している(その一つで、また最たるのが、正式国交のない北朝鮮だ)けれど、日本政府は平気で無視している。
 ところが中国や韓国、それに同調するアメリカのように、戦争で日本が悪かったと反省して付合っている形をとっているため(敗戦国だから仕方なくという不満はあるが、それは別問題だ)、ここでもし関係悪化したら日本の国益を損ないかねない政治経済的影響力のある国々は、無視できない。
 だから、政治家は個人の思い入れや票欲しさで行動しがちだけど、国益を考えたら大丈夫なのか、その調整が適切にできるのか、ということが心配され、いちいち騒動や問題になるのだ。
 次に、国内の問題だ。特定の宗教団体に支持される政治家が、その宗教に方入れするのはしょうがないことだが、それは一議員としての立場をはみ出さない限りのでことだ。大臣その他なんらかの形で政府の一員となっている場合は、その責任から国民全体に公平な態度をとらないといけないし、多数派にも少数派にも配慮しなければならない立場なので、特定の宗教団体や政治思想に偏ってはいけないのだ。
 そうなると、靖国神社は、いろいろある思想の中の一部である宗教の、その中のさらに一部である神道の、そのまたさらに一部である宗派の、そのさらに一部である神社の、そのまたまたさらに一部である施設にすぎない。
 そのうえ、おなじ宗教を信じている人の中でも異論がある。
 例えば、アメリカのゲッテスバーグにある戦没者慰霊碑は、リンカーン大統領が建てたものだが、敵だった南軍の兵士たちも平等に追悼しているのに、靖国神社は前身である東京招魂社のときから賊軍とされた側は祭っておらず、国のために命を捧げた人たちを、たまたま政治的に立場が異なっただけで差別しているのだから、靖国神社自体は否定しないとしても、公式に国の為に命を捧げた人たちを追悼する施設としては不適切である、との意見がある。
 また、そもそも戦争で死んだ人たちが、無念さと恨みから、この世に災いをもたらさないかと心配して造られた施設なのだから、英雄と讃えて政治的に利用するのは死者への冒頭だという指摘もある。
 これについては、かつて國學院大学神道学科の先生も論文で指摘したのだが、神社庁から圧力がかかった。建学の精神である神道について、真実より政治的に贔屓してもらうほうを優先させよというもので、それに大学が屈したため大問題になった。
 
 これだけ問題があるのに、それを知らず、単純な認識と反応で声高に叫んでいる人たちは、日本の国益と文化を無視する迷惑な存在である。

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by ruhiginoue | 2013-04-25 15:54 | 政治