なだいなだ氏の著書には感謝している
2013年 06月 15日
作家で精神科医のなだいなだ氏が6日に83歳で死去していたことが9日に分かったと報道されている。
なだいなだ氏の著書は、十代のころに熱心に読んだが、それらはすべてエッセイの類いだった。数年前に、ネット上で意見を申し上げたら、きちんと返事をくださったので、嬉しかった。残念ながら全く納得できなかったが。
なだいなだ氏が書いたうち、最も印象に残っているものが、朝日新聞に連載されたコラムのうちの一つであった。これは老人が過去を美化してしまう危険について述べたものであった。
なだいなだ氏がまだ老人ではない年齢の時、もっと年上のすでに老人となった人が、コインロッカーに赤ん坊が捨てられていたという報道に、「最近は道徳が廃れている。昔はコインロッカーに子供を捨てる者はいなかった。昔は良かった」と言う。しかし、昔はコインロッカーがまだ無かっただけで、捨て子は昔からあった。それに「昔は、農家に人買いが来ませんでしたか」と、なだいなだ氏が尋ねたら、そのお爺さんは思い出したらしく、急に涙ぐんだという。
昔から捨て子はあったし、育てられなくてこっそり捨てるどころか、堂々と人身売買が行われていた。特に貧しい農家が、労働力や買春に、未成年の子供を供給していた。そこに多くの悲劇があった。なのに、昔は捨てなかったと言ったら、昔は売れたから捨てなかったのだろうと皮肉の一つも言われるだろう。
また、過去の辛いことを思い出したくないからと忘れて美化し、昔は良かった、今は悪くなった、などと、実際とは逆に言ってしまうことが、他にもいろいろある。これはとても危険だ。その最悪なのが戦争についてだ、ということを書いていた。
これを読んだうえで世の中を見渡すと、確かにそういう危険がいっぱいある。例えば、昔は貧しかったので子供が犯罪に走ることが多く、少年法も無かったから更生もなかなかできなかったのに、それを、昔は厳罰にしたから少年犯罪は少なかったのに、更生させるという少年法が甘いから少年犯罪が増えた、などと言う人たちがいて、それに司法まで振り回されている。
そして、例の橋下とその周辺の連中のえげつない認識と発言であり、これはもう説明するまでもないだろう。
告白すると、自分でも、子供の頃に親とか教師とか周囲の大人たちが言うから、昔は良かったのに今は不道徳になったと思っていた。その認識が変わったのは、なだいなだ氏の書いたものを読んでからだ。
だから、これには感謝している。

なだいなだ氏の著書は、十代のころに熱心に読んだが、それらはすべてエッセイの類いだった。数年前に、ネット上で意見を申し上げたら、きちんと返事をくださったので、嬉しかった。残念ながら全く納得できなかったが。
なだいなだ氏が書いたうち、最も印象に残っているものが、朝日新聞に連載されたコラムのうちの一つであった。これは老人が過去を美化してしまう危険について述べたものであった。
なだいなだ氏がまだ老人ではない年齢の時、もっと年上のすでに老人となった人が、コインロッカーに赤ん坊が捨てられていたという報道に、「最近は道徳が廃れている。昔はコインロッカーに子供を捨てる者はいなかった。昔は良かった」と言う。しかし、昔はコインロッカーがまだ無かっただけで、捨て子は昔からあった。それに「昔は、農家に人買いが来ませんでしたか」と、なだいなだ氏が尋ねたら、そのお爺さんは思い出したらしく、急に涙ぐんだという。
昔から捨て子はあったし、育てられなくてこっそり捨てるどころか、堂々と人身売買が行われていた。特に貧しい農家が、労働力や買春に、未成年の子供を供給していた。そこに多くの悲劇があった。なのに、昔は捨てなかったと言ったら、昔は売れたから捨てなかったのだろうと皮肉の一つも言われるだろう。
また、過去の辛いことを思い出したくないからと忘れて美化し、昔は良かった、今は悪くなった、などと、実際とは逆に言ってしまうことが、他にもいろいろある。これはとても危険だ。その最悪なのが戦争についてだ、ということを書いていた。
これを読んだうえで世の中を見渡すと、確かにそういう危険がいっぱいある。例えば、昔は貧しかったので子供が犯罪に走ることが多く、少年法も無かったから更生もなかなかできなかったのに、それを、昔は厳罰にしたから少年犯罪は少なかったのに、更生させるという少年法が甘いから少年犯罪が増えた、などと言う人たちがいて、それに司法まで振り回されている。
そして、例の橋下とその周辺の連中のえげつない認識と発言であり、これはもう説明するまでもないだろう。
告白すると、自分でも、子供の頃に親とか教師とか周囲の大人たちが言うから、昔は良かったのに今は不道徳になったと思っていた。その認識が変わったのは、なだいなだ氏の書いたものを読んでからだ。
だから、これには感謝している。

by ruhiginoue
| 2013-06-15 17:32
| 文学





