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by ruhiginoue

弁護士役が得意の俳優・宇津井健が死去

  俳優の宇津井健が、82歳で亡くなったそうだ。

 宇津井健と言えば、テレビドラマの『ザ・ガードマン』が有名で、他に語り草なのがSFヒーロー『スーパージャイアンツ』のタイツ姿だったが、弁護士役も得意だった。
 山口百恵が主演のテレビドラマ「赤い」シリーズで、三國連太郎らと共演していたさいは検察官の役で、『鬼警部アイアンサイド』を意識したような車椅子の弁護士という役もあった。

 そもそも、宇津井健がよくドラマで弁護士の役する原点は、若いころに出た『松川事件』だった。実際の共産党と労働組合への弾圧の冤罪事件を描き、リアルタイムで社会に訴えた映画で、千田是也とか宇野重吉など新劇の大御所である左派の演技陣がふんする弁護士らと共闘して大奮戦する若い弁護士を熱演していた。
 この映画の監督は山本薩夫。彼の三人の甥たちが俳優として知られている山本三兄弟。同監督は、共産党員であることを公言しながら、腕が良いからと色々な仕事が来て、アクションやスペクタクルの描写も得意で「赤いセシルBデミル」とも呼ばれたが、娯楽性と社会派を共存させることで告発ものでも面白く見せた。
 同じ山本薩夫監督の映画で、宇津井健が熱演したのは『人間の壁』だった。原作は石川達三が日教組を取材して書いたもので、権力の迫害にめげず組合歌を熱唱する若い教員に、宇津井健は扮していた。

 というような映画の話を、近所の人と話したことがあり、その中に引退した元教師で年金者組合の爺さんが「ああ『人間の壁』 ね。あの映画よかったよな」と言い、傍で民青の兄ちゃんがポカンとしていた。「松川事件って本当にあったんですかあ」とも。最近の共産党員はこんな調子だから、「共産党に対する長年の信頼が少し損なわれてしまった」と羽仁五郎の言葉を借りて言いたくなる。
 この言葉は「全共闘のバイブル」とも言われた羽仁五郎著 のベストセラー『 都市の論理』の中に出てくるのだが、ここでも「ポポロ座事件」に触れられていた。松川事件の芝居をしようとした劇団を警察のスパイが監視したという事件だ。憲法の表現の自由の話で必ず出てくる事件である。

 そういうことを知らなくても、昔と違ってDVDで幾らでも名画が見られるのだから見ればいいのにと、かつて思ったのを宇津井健の逝去の報で思い出した。


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by ruhiginoue | 2014-03-14 21:36 | 芸能