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by ruhiginoue

『はだしのゲン』弾圧は右派だけではない

 『はだしのゲン』に難癖をつけて弾圧している人たちがいる。そう言う人たちは「右曲り」だろうが、こういう感覚に政治的左右の違いは無いのだ。
 自分が小学生の時に担任だった、当時まだ二十代後半の女性教諭は、戦争の描写が子供には刺戟が強すぎるから読んではいけませんと言った。弾圧の口実ではない。なぜならこの人は、夫婦で旧社会党員だった人で、しかも党内最左派の社会主義協会に属していた。
 また、松本零士の「戦場まんがシリーズ」は、戦争美化だから読んではいけないと叱った。小学生の当時、ドラマの内容はやや薄いが戦争を悲劇として描いてはいると思っていたし、成人してから改めて読んでみると、作者の政治的認識に深みがないから薄味だが、それでも戦争の悲劇を描く姿勢は真面目なものだとの感想は変わらなかった。
 しかし、戦闘機や軍艦や戦車が出てくるから、ただカッコイイと思ってしまう、ということだった。しょせん子供こどもだから、と。
 そんな調子なので、同僚の教師が持っている『カムイ伝』を読んだ児童が、農民一揆首謀者処刑の残酷場面に吃驚したところ、その男性教師が「封建時代には普通のことだった。だから、こんなこと駄目なので、人権という考えが出来たんだよ」と教えたが、その女性教師は「こどもにわかるわけがないでしょう」とヒステリックに反発した。
 また、松本清張や森村誠一が原作のドラマが教室で話題になると、放送時間が遅いから駄目と言った。これには親が怒った。幼稚園か一年生ならともかく、高学年で、もうじき中学だ。社会派ドラマに興味もって当然だ。ちょっと寝るのが遅くなるのと、「ウルトラ」や「ライダー」を卒業できないのと、どっちが問題か、と。
 もっとも思い出して不愉快なのは、思い通りに従わない児童を、教室でクラス全員により集団吊し上げをする手法を好んだことだ。自分でも被害に遭った。あれはまるで『はだしのゲン』で、ゲンの父さんが竹槍訓練なんて馬鹿げていると言ったために非国民と迫害されたのと同じだ。
 そう抗議されると激怒し、「戦争中の日本とは違いますよ。私は中国の人民裁判を見習っているんです。民主主義なんです」と言った。
 これはギャグみたいだけど、こういうことを大真面目に言う人たちが一部にいたのだ。
 つまり、漫画の一部を取り出して難癖をつけている人たちには、もちろん政治的な意図があるのだろうけど、それ以前に読む人を信じていおらず、子供だからと見下しているのだ。
 しかし、そういうアンタなんかより、よほど思考力や判断力が豊富な、しっかりした子供たちは相当いるということを、まず知るべきだ。

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by ruhiginoue | 2014-03-22 22:30 | 社会